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S&P500とは? インデックス投資の第一歩

「S&P500」は米国の株価指数のひとつです。米国の経済状況は日本のニュースでも取り上げられることが多いため、見聞きしたことがある方もいるでしょう。

株価指数はインデックスとも呼ばれ、投資信託の「インデックス投資」において重要な役割を担っています。「インデックス投資に興味はあるけれど、今さら聞けない」という方もいるのではないでしょうか。

今回はS&P500に焦点を当てて、「株価指数とは何か」「インデックス投資とは何か」を詳しく解説します。

S&P500とはどのような指数なのか

S&P500は正式名称がStandard & Poor’s 500 Stock Index、スタンダード・アンド・プアーズ500種指数で、米国を代表する株価指数のひとつです。米国の主要な株式市場であるニューヨーク証券取引所、NASDAQなどに上場している約500社の株価を基に株価指数を算出しています。

S&P500とNYダウの違いは?

「NYダウ(ニューヨークダウ)」も米国の代表的な株価指数で、「ダウ平均」「ニューヨーク平均株価」とも呼ばれています。正式名称は「ダウ工業株30種平均」で、米国を牽引する30銘柄で構成されています。

NYダウとS&P500は、どのような点が違うのでしょうか。

– S&P500は米国大型株の時価総額を指数化

S&P500は、構成銘柄の時価総額から算出されます。

時価総額は「株価×発行済株式数」で計算され、企業規模を表します。時価総額に基づく指数は、構成銘柄の中でも大型株の影響を受けやすいといえます。S&P500のうち時価総額上位100銘柄で構成された「S&P100」というサブ指数にも注目するとよいでしょう。

S&P500は、米国株式市場全体の時価総額の約80%を占めています。そのため、S&P500の動きは米国経済の動向そのものと見なされています。

– NYダウは米国を牽引する有名企業の平均株価を指数化

NYダウは、米国の主力企業30銘柄の平均株価を指数化したものです。

平均株価による指数は、構成銘柄のうち株価が高い銘柄の値動きの影響を大きく受けます。優良株30銘柄で構成されているNYダウは、特に個別銘柄の影響を受けやすいという特徴があります。

NYダウを構成する銘柄は、米国主力産業の変遷に合わせて不定期で入替が行われます。2025年3月時点の構成銘柄には、アップルやボーイング、ナイキ、コカ・コーラ、エヌビディアなど世界的に有名な企業が多く含まれています。

S&P500とナスダック(NASDAQ)100の違い

S&P500やNYダウと並ぶ米国の代表的な株価指数としてナスダック(NASDAQ)100があります。S&P500は、ニューヨーク証券取引所とナスダックに上場する米国企業約500銘柄で構成されていますが、ナスダック100はナスダックに上場する上位約100銘柄(金融業を除く)で構成されている指標です。

業種で見るとS&P500と比べてIT系の銘柄の比率が高くなっています。ナスダック100は、時価総額重視で選ばれ新興企業を多く含むため、企業の成長スピードが速い特徴があります。そのため米国経済が強い場合、ナスダック100の上昇率も高くなりやすい傾向です。

S&P500イコール・ウェイト指数

またS&P500には、イコール・ウェイト指数もあります。S&P500イコール・ウェイト指数とは、S&P500の銘柄に均等(イコール)に比重(ウェイト)を付けて計算する指数のことです。

S&P500では、どうしても企業の規模によって指数への影響に違いが生じてしまうため、企業規模(時価総額)の大きい企業の株価動向に左右される側面があります。S&P500イコール・ウェイト指数は、時価総額の大きさに影響されない投資が期待できます。

S&P500と日本の株価指数の違いは?

日本の株式市場を代表する指数としては、日経平均やTOPIX(東証株価指数)などが有名です。

日経平均は、東京証券取引所第一部上場銘柄を代表する225銘柄の平均株価から算出された指数で、「日経225」とも呼ばれます。TOPIXは、東京証券取引所第一部上場の全銘柄の時価総額を基に算出される指数です。「Tokyo Stock Price Index」の略でTOPIX(トピックス)と呼ばれています。

– S&P500の動きと日本株式市場の動きを見比べる

S&P500が米国株式市場全体の動きを表すように、日経平均やTOPIXは日本経済のバロメーターとされています。

指数の値動きがグラフ化されたチャートを見ると、S&P500がおおむね右肩上がりであることがわかります。一時的に値下がりすることはありますが、数年で持ち直して成長を続けてきました。2008年のリーマンショックや2020年のコロナショックも乗り越えて、2021年には当時の最高値を更新しました。(※2025年3月現在での史上最高値は2025年2月に更新)

またS&P500は、2023~2024年においても好調に推移しました。2年続けて20%を超える成長率を記録し、米国企業の高い成長率をうかがい知ることができます。2024年にS&P500が好調だった理由は、AI関連株や半導体関連株が好調だったからです。今後のAI需要の高さを考えると、しばらくS&P500の上昇傾向は続く可能性があるとも考えられます。

一方で日経平均やTOPIXのチャートは上がったり下がったりを繰り返しており、S&P500の値上がり率には及びません。それぞれのチャートを比較すると、米国市場に投資する人が増えている理由がわかります。

ただしトランプ大統領が就任したことによる影響は、企業や市場ともに、いまだ計りかねている状況です。これからのトランプ大統領の政策いかんによっては、S&P500、日本市場ともに大きな影響が出る可能性があります。

S&P500に投資する方法

過去の値動きが将来を約束するわけではありませんが、S&P500のさらなる成長を期待する人は多いでしょう。S&P500への投資に興味が出てきた方もいるのではないでしょうか。

株価指数への投資は、指数に連動した投資信託などが簡単です。

投資信託は、株や債券など複数の金融商品を組み入れたパッケージ商品です。構成銘柄一つひとつに投資をする場合はまとまった資金が必要になりますが、投資信託は少額からでも投資できるのが特徴です。また、運用はプロに任せられるため専門的な知識は不要で、手間や時間もかかりません。

株価指数との連動を目指すインデックスファンド

投資信託の運用では、株価指数などをベンチマークとすることがあります。中でも、指標に連動する運用成果を目指す投資信託を「インデックス(指標)ファンド(投資信託)」と呼びます。

一般的にインデックスファンドでは、連動を目指す株価指数とほぼ同じ構成になるように銘柄選定と配分調整を行います。S&P500インデックスファンドに投資することで、米国の上位500社に投資するのと同じ効果を得られるわけです。

S&P500は分散投資効果が高い

S&P500は構成銘柄数が多いため、分散投資を効果的に行えるというメリットがあります。

資金を1つの銘柄に集中すると、運用結果によっては大きな損失を被ることがあります。一方で複数の金融商品に分けて投資すると、どこかで損失が出ても、その他で利益が出た場合はトータルでプラスになる可能性も出てきます。

S&P500は、米国企業の上位約500銘柄で構成されています。分散先が約500銘柄もあるため、大きなリスク低減効果が期待できるわけです。

S&P500との連動を目指す投資信託の選び方

S&P500インデックスファンドには多くの種類がありますが、同じ指標との連動を目指して運用するため、基本的には同じような値動きになるはずです。したがって投資信託を選ぶ際は、コストや付加価値などを判断材料にするとよいでしょう。

– 低コストにこだわる

投資信託への投資には、さまざまな手数料がかかります。売買時にかかる「購入手数料」「売却手数料」は証券会社によって金額が異なり、無料としているところもあります。

運用期間中は、専門家に運用を任せるための「信託報酬」がかかります。信託報酬料率は投資信託によって異なります。

運用期間の途中で投資信託を売却する場合は、「信託財産留保額」が必要です。信託財産留保額とは、投資信託に組み込まれた金融商品を売却する際の諸費用を解約者が負担するというものです。投資信託によって金額が異なり、費用がかからないものもあります。

これらのコストの違いで、トータルリターンに差が生じます。証券会社の公式サイトの銘柄情報や投資信託の目論見書で、購入前にしっかり確認しておきましょう。

– NISAのつみたて投資枠を利用する

投資信託にかかるコストは手数料だけではありません。運用で得た利益には、通常20.315%の税金がかかります。

しかし2024年1月から始まった新たなNISAの「つみたて投資枠」では、年間120万円までの非課税投資枠が用意されています。非課税投資枠内での投資から得られた利益には、税金がかかりません。2023年12月までの旧つみたてNISAの非課税投資枠を拡大した制度になっています。

旧つみたてNISAでは、年間40万円の非課税投資枠が最長20年続く制度でした。「つみたて投資枠」では、非課税期間が無期限化され年間投資枠も拡大されています。そのため1ヵ月あたり3万円程度の積立投資を長く続けたいなど、少額の投資を長い期間行いたい人にとって、お得な制度といえるでしょう。

また旧つみたてNISAで購入した投資商品をそのまま「つみたて投資枠」へ移すことはできないので注意しましょう。

海外商品に投資する際の注意点

S&P500インデックスファンドは日本の証券会社や銀行など金融機関を通じて購入することができますが、投資先はあくまでも米国です。海外資産に投資する際は、以下の3点に注意しましょう。

– 為替リスクと為替ヘッジ

基本的に、海外資産に投資する際はその国の通貨に換金して運用を行います。S&P500インデックスファンドに投資すると言うことは米国株に投資することになるので、米ドルで運用されるため、日本円を米ドルに交換する必要があります。

為替相場の変動によっては、外貨と円貨の交換による差損が生じることがあります。これを「為替リスク」と呼びます。

為替ヘッジとは、為替リスクを軽減するための工夫のことです。外貨と円貨の交換を一定期間一定のレートで行うことで、価格変動による差損を回避します。ただし、為替相場が有利に動いた場合の差益は得られなくなります。

また、為替ヘッジを行うには別途コストがかかるため、慎重に検討しましょう。

– 日本の税金と米国の税金

外国資産に投資する場合、運用によって得た配当金や分配金は外国で課税されます。例えば、米国ETF(S&P500連動のETFなど)に投資した場合、米国で配当金に対して10%の源泉徴収税がかかります。その後、日本での課税(約20%)が加わるため、二重課税となります。この場合、日本での「外国税額控除」を利用することで、米国で支払った税金(10%)を日本の税額から控除でき、二重課税を回避できます。

もっともこれについては、2020年1月1日の税制改正によって、外国で支払った税額を考慮した課税を行うことで、二重課税にならないよう調整が行われることになりました。二重課税調整の対象となる投資には自動的に適用されるため、手続きを忘れる心配もありません。

–米国株式に偏るリスクを避けるための分散投資のすすめ

S&P500は、米国の幅広い銘柄に分散投資するものです。しかし分散投資といっても、実情は米国株のみに集中投資していることになります。

S&P500のみに投資をしていると米国の景気が悪くなったり円高になったりして米国企業の株価が相対的に下がると、大きな損失が出る可能性があります。このリスクを減らすためには、さまざまな国への分散投資が有効です。

例えば米国だけではなく、日本や欧州あるいは株ではなく債券などに分散投資すれば、米国株式で損が出てもそのほかの利益で相殺でき、大きな損失を防げる可能性があります。

市場参加者からの注目が期待されるS&P500連動投資信託

米国の代表的な株価指数となるS&P500は、「米国経済の動向を表す指数」ともいわれます。S&P500指数は、2023年・2024年と2年続けて20%を超えるパフォーマンスを記録し、市場参加者から注目され、S&P 500に連動する投資信託は2025年第1四半期の販売動向をみると引き続き人気があります。

ただ、今後も良好なパフォーマンスを出せるかどうかはわからないので、米国経済の動向を注意深く見ながら投資を検討していくことが重要です。

※上記は参考情報であり、株式投資や債券投資、そのほかの投資を推奨するものではありません。
※運用実績などは過去のものであり、将来の運用成果を示唆・保証するものではありません。
※税務の詳細はお近くの税理士や公認会計士にご相談ください。

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