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投資初心者によくある失敗とは? 失敗例を知って未然に防ごう!

投資初心者によくある失敗とは? 失敗例を知って未然に防ごう!

投資初心者によくある失敗として、長期投資のつもりが価格下落で不安になって売ってしまったり、ドルコスト平均法で毎月購入することが大切と理解しながらも下落相場では積立を辞めてしまったりするケースが挙げられます。

今回は、そのような失敗の原因とそれを防ぐためにできることをお伝えします。最後まで読んでいただくと、その失敗は知識不足ではなく僕たち人間の心理としては自然な行動であること、それを防ぐためには、仕組み作りが必要ということが理解できると思います。

「長期投資」と「人間の性質」は相性が悪い?

長期投資を実践している人たちは理性に訴えかけることが多く、「下がっても売ってはいけない」とか「データで見れば長期投資は成功する確率が高いということを忘れてはいけない」などというアドバイスをよくされます。

このアドバイスは間違っていると思いませんし、言われていること自体は正しいです。しかし、この点をもう少し深く考えてみたいと思います。

僕たちは理性と感情の二つを持ち合わせており、計画とは理性的な自分が作るものですが、実践するのは感情的な自分であるということです。つまり、計画の難しいところは理性的なプランを感情的な自分が実行しなければならないという部分です。

ダイエットはその典型的な例です。だからこそ、良いダイエット計画とは多少のサボり癖や人間の甘さを考慮して、それでも達成できるものだと思います。そして、長期投資も同じように考えると成功確率が高まると考えています。

長期投資で失敗する多くのケースは、『不安』や『怖さ』といった感情に押され、合理的な判断よりも衝動的な行動を取ってしまうことにあります。つまり、投資の失敗は知識不足ではなく、人間の自然な感情から生まれるものであり、ここを理解しておくことが重要です。

そして、感情のパワーは理性より強いということは、科学的にも支持されています。

人は不合理な生き物で合理的な行動が苦手

なぜ人は理性で考える合理的な行動より、感情的な不合理な行動をするのかについては行動経済学によって研究されています。

例えば、プロスペクト理論によって、人は「利益」と比較して「損失」に対して過剰に反応することがわかっています。簡単な質問でこの理論を紹介します。以下の質問のどちらかを選ぶならあなたはどちらを選びますか?

【質問1】
A:確実に9万円をもらえる
B:90%の確率で10万円もらえる

【質問2】
A:確実に9万円を失う
B:90%の確率で10万円を失う

ほとんどの人は質問1では確実に9万円をもらえる「A」を選ぶ傾向があります。そして、質問2では「B」を選ぶ傾向があります。つまり、「A」では10%でもらえない損失リスクを回避し、「B」では10%の可能性にかけて損失リスクを避けようとするということです。

このプロスペクト理論から、人は損失を避ける傾向が強いということがわかっています。

そして、行動経済学で人には様々な傾向があることがわかっています。

  • 将来よりも今の不安を優先してしまう「現在バイアス」
  • 自分にとって都合の良い情報ばかりを集めてしまう「確証バイアス」
  • 自分の能力を実際以上に高く評価してしまう「自信過剰バイアス」

つまり、下落相場になると人は損失から逃げたくなるし、その時に未来のために投資を継続することより今を大切にしたくなる傾向があり、そのための自分を肯定できる都合の良い情報ばかりを集めてしまう傾向があるということです。

人は思っているより無意識下の影響を受けてしまう

さらに人の不合理性を考える上で重要なことは、僕たちは無意識下で様々な影響を受けているということです。

例えば、エイドリアン・C・ノースらの店内の音楽が商品選択に与える影響の実験では、人が無意識下に外部の影響を受けてしまうことがわかっています。

この実験では、ワインショップにて音楽が購買に与える影響を調べており、結果としてドイツの音楽が流れていたらドイツ産ワイン、フランスの音楽を流すとフランス産のワインが買われる傾向が見られました。そして、重要なことは本人はそれを認識していなかったということです。

他にも同様の傾向が見られる実験が多く存在します。これらの実験から学ぶべきことは、僕たちは不合理な生き物だということです。

一般的に計画のイメージとしては「カーナビに目的地を入れて、あとはナビに従うだけ」と思いがちですが、実際は「紙でできた地図を見ながら馬に乗って目的地へ向かう」ようなものなのです。

感情で動く自分を計画に入れることが良い計画

ここまでの話を踏まえて良い計画を立てるとするならば、感情的な行動を抑制することより、感情的に行動することをある程度組み込んだ設計が大切だということです。

具体的には以下を計画に組み入れてみましょう。

  • 暴落時に読む自分宛の「手紙」を書いておく
  • 価格を見ない習慣/積立を自動化して強制力を持たせる
  • 無意識下の影響を考慮してSNSとの距離を取る
  • そもそも「今この判断は感情に基づいていないか?」と立ち止まるトリガーを用意する

感情に流されそうになったら、紙に書いた投資指針を読み返したり、自分宛の手紙を書いておき、それを読み返すことは衝動的な行動を抑えることが期待できます。

また感情的な行動を抑えることより、そのきっかけを減らす方が簡単です。SNSを見ることが感情的なトリガーになるのであれば、それを見ない仕組みを作りましょう。資産額を見ないことで感情的にならずに済むなら、家計簿アプリから投資資産を見えないようにしましょう。

もっと言えば、リーマンショックの大底で今のポートフォリオを組むだろうか? などと考えてみてもいいと思います。人間の不合理性を考慮して投資計画を立てることが失敗を防ぐ本質的な対策だと思いますので、この記事を参考に計画してみてはいかがでしょうか。

※本記事は投資に関わる基礎知識を解説することを目的としており、投資を推奨するものではありません。
※本稿は著者の見解に基づくものであり、Wealth Roadの運営会社の見解を示すものではありません。


著者:井上ヨウスケ
役者から転身した異色のファイナンシャルプランナー。演劇で培った「伝える力」を活かし、「誰よりもわかりやすく」をモットーにお金の知識を発信。27歳でFP資格を取得し、独立系FPとして講演や相談業務を展開。動画講座やYouTubeでも活動し、「どこでも働ける」を実現。投資や保険の知識に加え、価値観を軸にした柔軟なお金の使い方も提案する。現在は高知県在住。

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