「資産管理」といえば、老後の備えとして預金や不動産などの金融資産形成をイメージする人も多いのではないでしょうか。しかし今後、人生100年時代が到来し、寿命が延び続けていくと、「健康」についても資産の一部として捉える必要があるでしょう。そこで今回は、「健康管理」を資産という観点から解説します。
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資産は「金融」だけとは限らない
「人生100年時代」という言葉が現実化していくにつれて、社会全体の高齢化だけでなく自分自身の長寿命化についても、考えざるを得なくなりました。100年というのはあくまでも1つの指標に過ぎないものの、それが「60歳定年」に異議を唱え、「長い老後をどう過ごすのか」という発想にも広がっていることは間違いありません。そして、長い老後のために必要な生活資金についても議論がなされています。
一方で忘れがちなのが健康についての意識です。いくら金融資産が充実していても、健康でなければ有意義な老後生活を過ごすことは難しくなります。日本人は健康志向が強いものの「長い老後をいかに健康的に過ごすか」という議論については、まだ少ないのが実情です。しかし平均寿命を超える長寿の可能性についても念頭に置くなど、老後と健康について考えておくべきことはたくさんあります。
例えば、2019年5月に経済産業省が公表した「人生100年時代に対応した『明るい社会保障改革』の方向性に関する基礎資料」によると、男女ともに死亡年齢の最頻値は、平均寿命よりも高い年齢になっているというデータもあるのです。
出典:「人生100年時代に対応した「明るい社会保障改革」の方向性に関する基礎資料」経済産業省
なぜ資産としての健康管理が必要なのか
そこで考えておきたいのが資産としての健康管理です。お金に資産管理が必要なように、自らの健康についても管理しなければなりません。ここでは、なぜ資産として健康管理が必要なのかについて掘り下げてみましょう。
平均寿命と健康寿命
長寿命化といったとき、問題となるのは「寿命」です。寿命は大きく分けると「平均寿命」「健康寿命」の2種類があります。このうち平均寿命は亡くなるまでの寿命ですが、健康寿命は「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」です。平均寿命と健康寿命の差が広がってしまうと、すこやかな生活ができないだけでなく、介護費用などをはじめとする家計の負担が増えるなどの問題が指摘されています。
健康の蓄積は非常に難しい
経済産業省の同資料によると、主観的幸福度に与える影響のうち「最も大きな要因は健康」とするデータもあります。結婚や年収よりも健康が重要とされているのです。もちろん、不健康になることで不安も大きくなります。不健康になってしまう恐れや不安も日常生活に影響を与えることを考えると、健康の重要性が理解できるのではないでしょうか。
もちろん健康を失うことで仕事ができなくなるなどの経済的なマイナス面もあります。しかし健康は、お金と違って蓄積が難しいため、日ごろのケアが重要なのです。
健康管理は維持していくことが大事
では、どのようにして健康管理を行えばいいのでしょうか。健康を阻害する要因が病気やケガにあるとすれば、それらをいかに予防できるかが大事です。特に健康であるときから対策を講じておくことが求められるでしょう。まずは慢性的な疾患につながりやすい生活習慣病を予防し、定期的に検診などを受けながら対策をとることが必要です。健康を資産として捉え自分へ投資していく姿勢が大事でしょう。
最大の資産を守るために
健康そのものを資産として捉えることは「お金がどのようにして生まれているのか」を考えることにもつながります。人間は健康であってこそ十分に働けるのであり、その価値を忘れてはなりません。人生100年時代だからこそ、すこやかに100年生きられる工夫をすべての人が求めているのです。まずは「自分の健康は資産」という価値観を共有し、自分へ投資することからはじめてみてはいかがでしょうか。