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投信信託で分散投資が効果的な理由とは?毎年変わるパフォーマンスと上手に付き合う方法

前回は「相場のサイクル」について解説しましたが、連載第9回目の今回は、近年の投資信託のパフォーマンスをアセットクラス別に分析し、相場のサイクルをより詳細に見ていきます。投資信託のパフォーマンスはその年によってトレンドがあります。国内株が好調なとき、外国株が好調なとき、債券が好調なときなどまったく変わります。過去のトレンドを見ながら、どのように投資することが効率的なのかを考えてみましょう。

投信信託のパフォーマンス上位は年によって顔ぶれが異なる  

投信のパフォーマンスはその年によって上位にランクインする顔ぶれが全く異なります。投資信託評価会社のモーニングスター社は、過去10年の主要アセットクラス別のパフォーマンスを円換算し、ランキングとして発表しています。(参考:モーニングスター社「資産クラス別リターン」)

ランキングを見ると2019年に一番好成績だったのは「コモディティ・原油」カテゴリーでリターンが36.6%でした。原油価格が堅調で円安傾向だったことがパフォーマンスを押し上げた要因です。しかし過去10年で見ると、「コモディティ・原油」はワーストパフォーマンスだったことが年4回もあり、ボラティリティの高い投資対象だと言えます。

続く2位は「先進国株式」の29.5%、3位は「国内REIT」の20.9%です。「先進国株式」は、過去10年でトップ3に5回入っています。3位の「国内REIT」に至っては過去10年でトップ3に7回入っています。ともに、注目しておきたいカテゴリーだということがわかります。

このように、5年、10年というスパンでパフォーマンスを見ると、今年好調な投資対象が来年も好調だとは限りません。だからこそ具体的な投資対象のサイクルも踏まえて分散投資することが重要なのです。

過去5年、3年、1年のパフォーマンス上位10投信

投信評価会社モーニングスターのデータ(20年7月末時点)で、実際に過去5年、3年、1年のパフォーマンストップ10のファンドの「パフォーマンス」「投資対象(カテゴリー)」、「純資産額」を振り返ってみましょう。(純資産10億円以上、DC(確定拠出年金)、SMA(ラップ口座)を除く)

過去5年のパフォーマンストップ10

過去5年でパフォーマンスが目立つのは国内株の「国内小型グロース」と「国際株式」です。トップ10で、「国内小型グロース」が3本ランクインしています。「国際株式」は7本ランクインしているうち「金」に関するファンドが3本です。金(ゴールド)価格が過去最高値を更新しているためです。また、半導体、米国のテクノロジーといったセクターに特化した国際株式型のファンドも好リターンをだしています。ある程度長い期間になると株式型がランキング上位をしめることが多いようです。

ファンド名カテゴリーパフォーマンス純資産額(百万円)
1DIAM 新興市場日本株ファンド国内小型グロース21.29%15,027
2東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープン国内小型グロース 19.83%45,116
3ブラックロック・ゴールド・メタル・オープンAコース国際株式・グローバル・除日本18.76%21,689
4UBS 中国A株ファンド(年1回決算型) 『愛称:桃源郷』国際株式・中国18.46%8,635
5野村 世界業種別投資シリーズ(半導体)国際株式・グローバル・含日本17.40%17,617
6netWIN GSテクノロジー株式ファンド A(H有)国際株式・北米17.33%181,710
7野村 SNS関連株投資Aコース国際株式・グローバル・除日本16.89%1,411
8SBI 中小型成長株F ジェイネクスト 『愛称:jnext』国内小型グロース16.45%7,281
9ブラックロック・ゴールド・ファンド国際株式・グローバル・除日本15.98%23,505
10ブラックロック・ゴールド・メタル・オープンBコース国際株式・グローバル・除日本15.97%6,294

過去3年のパフォーマンストップ10

過去3年では、圧倒的に米国株に投資する「国際株式」のカテゴリーのパフォーマンスが目立っています。中でも、フィンテック、サイバーセキュリティ、AI、テクノロジー、ナスダックといったセクターに特化したファンドが8本も占めています。セクターファンドはトレンドをつかむことが重要そうです。「国内小型グロース」も2本ランクインしていることには注目です。

1グローバル・フィンテック株式ファンド国際株式・グローバル・含日本26.50%213,184
2企業価値成長小型株ファンド 『愛称:眼力』国内小型グロース26.09%21,799
3サイバーセキュリティ株式オープン(H無)国際株式・北米25.68%218,737
4サイバーセキュリティ株式オープン(H有)国際株式・北米 25.47%82,857
5グローバルAIファンド国際株式・北米21.38%233,017
6グローバルAIファンド(H有)国際株式・北米21.26%38,420
7米国NASDAQオープンBコース国際株式・北米20.68%13,898
8東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープン国内小型グロース20.54% 45,116
9netWIN GSテクノロジー株式ファンド B(H無)国際株式・北米20.43%544,478
10米国NASDAQオープンAコース 国際株式・北米20.34%6,623

過去1年のパフォーマンストップ10

過去1年では50%を超える高パフォーマンスのファンドが名を連ねます。過去1年に関しては、「国際株式」のカテゴリーが圧勝でランキングの全部がそのタイプです。中でも大手IT企業や、世界の成長企業、中国の成長企業、フィンテックなどにフォーカスしたファンドが成績を伸ばしました。ここまでのパフォーマンスとなると、日本株はトップ10にはランクインしていません。セクターファンドがトレンドをつかんだときに凄いパフォーマンスを出すことがあることには注目です。

1深セン・イノベーション株式ファンド(1年決算型)国際株式・中国70.74%33,941
2iFreeNEXT FANG+インデックス国際株式・北米66.66%7,007
3FANG+インデックス・オープン国際株式・北米66.63%6,368
4iFreeレバレッジ NASDAQ100株式ブル型65.90%20,625
5ベイリー・ギフォード世界長期成長株ファンド 『愛称:ロイヤル・マイル』 国際株式・グローバル・含日本64.42%5,928
6iFreeActive ゲーム&eスポーツ国際株式・グローバル・含日本61.89%1,772
7ベイリー・ギフォードインパクト投資ファンド 『愛称:ポジティブ・チェンジ』国際株式・グローバル・含日本60.28%6,681
8バリュー・パートナーズ・チャイナ・イノベーター国際株式・中国57.71%5,058
9グローバル・フィンテック株式F(H有)国際株式・グローバル・含日本53.50%22,103
10グローバル・フィンテック株式F(H有・年2回)国際株式・グローバル・含日本52.82%13,383

国内の小型株アクティブファンドのパフォーマンスは無視出来ない

「国内小型グロース」のカテゴリーが3年、5年では高パフォーマンスでランクインしていました。また、1年では「国際株式」のパフォーマンスが非常に高パフォーマンスを記録しました。高パフォーマンスを見込むためにはこうしたアクティブ運用のファンドを組み入れることを考える必要がありそうです。

過去1年ではランクインしていなかった「国内株式型」のパフォーマンスについてもチェックしてみましょう。過去1年の「国内株式型」のランキングにおいては、トップ5までを「国内小型グロース」カテゴリーが独占しています。過去1年でも「国内小型グロース」は高リターンを実現した投信が多かったことがわかります。

一般的に「国内小型グロース」は銘柄選定力が分かれ、ファンドによってパフォーマンスが大きく異なります。ただし、この高リターンは魅力でもあります。ファンドの投資方針やどのような銘柄を組み込んでいるかを月次報告書などでチェックすることで、高パフォーマンスのファンドがわかるとともに、投資判断の参考にもなるでしょう。

過去1年の「国内株式型」パフォーマンストップ10

1企業価値成長小型株ファンド 『愛称:眼力』国内小型グロース37.33%21,799
2DIAM 新興市場日本株ファンド国内小型グロース33.14%15,027
3ダイワ・セレクト日本国内小型グロース30.07%2,722
4厳選ジャパン国内小型グロース29.26%2,532
5ファンド“メガ・テック国内中型グロース23.88%7,208
6日本経済『大転換』ファンド 『愛称:グレート・ローテーション』 国内大型ブレンド22.76%1,348
7情報エレクトロニクスファンド国内大型グロース2.54%10,759
8ザ・2020ビジョン国内中型グロース21.85%5,304
9新光 日本小型株ファンド 『愛称:風物語』国内小型グロース19.76%12,434
10(NEXT FUNDS)医薬品上場投信国内大型グロース19.52%1,271

相場のテーマは絶えず変わる

今回見てきたように、相場にはトレンドがあり絶えず移り変わります。パフォーマンスの良いカテゴリーを掴み続けることは難しいので、高リターンが期待出来るアセットクラスに分散投資をすることが成功の秘訣となります。

次回連載第10回では、「アクティブ/パッシブ」「分配型/非分配型」などの投資信託のタイプについて詳しく解説します。

※上記は参考情報であり、特定ファンドの売買を推奨するものではありません。

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