コロナショックによって、原油価格がマイナスを記録するという異例の事態になりました。原油価格がマイナスになった理由には、先物取引の仕組みが関係しています。先物取引について簡単に紹介するとともに、原油価格がマイナスになった理由をわかりやすく解説します。
原油価格が史上初のマイナスに!先物取引の仕組みとは?
2020年4月20日、原油の先物価格がマイナスを記録しました。「売る側がお金を払って買い取ってもらう状況」と考えれば、その異様さがわかるでしょう。これには先物取引の仕組みが大きくかかわっています。
先物取引とは、「この日にこの商品をこの値段で売買する」と約束する取引のことです。たとえば買う側は、約束した価格よりも実際の商品が値上がりすれば得をすることになり、値下がりすれば損をすることになります。
貯蔵庫が満杯に?原油価格がマイナスを記録した理由
今回マイナスになったのは、WTIというニューヨークの取引所で取引される原油の先物価格です。WTIの原油は、オクラホマ州クッシングにある貯蔵庫で受け渡されます。
先物取引では、期日まで保有していると、原油を引き取らなければなりません。また、コロナショックによる原油の需要減によって、貯蔵庫の容量は限界を迎えつつありました。
こういった背景から、先物取引において、多くの投資家が原油を売ろうとしたのです。しかしなかなか買おうとする人がいなかったことから、原油の先物価格がマイナスになりました。
WTI原油の受け渡しが行われるオクラホマ州クッシングは内陸部に位置しているため、海上タンカーでの原油の一時保管ができません。アメリカの原油先物価格がマイナスになった要因の一つには、海上に受渡拠点がないため、より一層買い手が付きづらい状況にあったということがあります。
投資における情報戦を勝ち抜くために
今回原油価格がマイナスになったのは、原油先物についてであり、先物市場の影響によるものです。貯蔵庫の容量が限界を迎えたために、原油先物の売りが相次ぎ、遂にはマイナスを記録したのです。先物市場のメカニズムを知ることは、世の中で起きていることを正しく把握することにつながります。
投資は情報戦といわれます。株価や為替レートをチェックするだけでなく、視野を広げて情報収集をすることが大切です。 原油先物市場は株式市場にも影響を与えるため、原油先物市場のメカニズムを理解して情報収集することは、正しい投資判断につながるでしょう。