私はファイナンシャルプランナーとして、多くの方の相談をお受けしてきました。その中で気付いたことは、お金の価値観の違いに悩んでいる人が多いということです。特に「パートナーが理解してくれない」という悩みをよくお聞きします。
個人的には、理解してもらえない理由は「理論的な正しさの押しつけ」が原因だと考えているので、今日はそう感じる理由と、解決策についてお伝えします。
目次
お金の正解は一つではない。「増やす」ことより「減らない」ことが大切な人もいる
お金の話し合いにおいて、絶対に理解しておくべきことは「正解はない」ということです。私は投資について相談を受けることが多いので、投資を例に話したいと思います。
私の経験上、相談者(投資をしたい人)は「投資=good」で「現金や預金=bad」と考えるケースが多いです。一方でパートナーは「投資=bad」と考えているため、投資に理解を示してくれないケースがあります。
これは、経済合理性から考えれば、相談者が正しいと言えます。なぜならば、預金金利がインフレ率以下であれば、少しずつお金の価値が目減りしてしまうため、少しでも高い利回りで運用するべきだからです。
しかし、私たちは経済的合理性で全てを判断するわけではありません。どちらかと言えば、感情で判断することが多いですし、何より「得られる結果の満足度」を大切にしています。
相談者は投資をすることで「お金を増やせること、お金の価値が守れること」を大切にしているわけです。
一方、パートナーは「投資でお金が減るかもしれない」という不安を抱えたくないわけですね。言い換えれば、投資でお金が増えるよりも、名目上のお金が減らない方が効用が高いと思っていると言えます。
つまり、経済的合理性はないかもしれませんが、パートナーも間違ってはいないのです。
パートナーとお金の話をするときに大切なことは「理論的な正しさ」を押しつけるのではなく、相手の立場に立って、相手の考え方も間違ってはいないと理解してあげることです。その上でお互いの距離を埋めるためにはどうすれば良いかを考えていくことが重要です。
一緒に勉強するという姿勢がおすすめ
相手の正しさを理解してあげることができれば、次は一緒に学習していくことをお勧めします。1番良くないのは、理解できていない相手を納得させようというアプローチです。
これは、パートナーの警戒心を強めてしまうだけですし、何よりパートナーからすると気持ちが良いものではありません。
実は、投資をしようとする側も、まだ「勉強中」であることが多いです。その状態で完璧に説明することは難しく、パートナーとの温度差を埋めることができません。
だからこそ、説得しようとするのではなく、「僕もまだ勉強中だから、一緒に勉強しない?」と弱みを見せる方が、相手の警戒心を解くことができますし、投資に興味を持ってもらえる確率を上げることができます。
完璧ではなく、我が家のベストを目標にしよう
近年、SNSの影響で自分たちと似た境遇でありながら、自分にとって理想的なモデルをたくさん見つけることができます。そのため我が家も同じようにやりたいと思ってしまうかもしれません。
しかし、所得や年齢などが近いとしても違う性格の2人です。外から見えるステータスは近かったとしても、内面的には全く同じではないということです。
だからこそ、大切な事は自分たち夫婦にとって現状から考えられるベストを見つけることです。それは他人から見ればベストな選択に見えないかもしれませんが、夫婦にとってはベストな選択です。
お金が増えても夫婦関係が悪化してしまえば本末転倒です。夫婦の未来を想って投資をするのであれば、夫婦にとって最も良い形を選ぶのが合理的です。
手段ではなく、目的から一緒に考えるところから始める
では具体的にどうすれば良いかお話しします。インターネットで情報収集すると、「全世界株式やアメリカに投資するといいらしい」など、手段を学習することが多いです。しかし、話し合いにおいて重要なことは「なぜ投資をした方がいいのか?」という部分です。
そのため、目的ベースで話し合うことをおすすめします。どんな未来を望んでいるのか、何歳まで働こうと考えているのかなど未来について話し合いをしてみましょう。
すると、望んでいる未来を叶えるためにはどれだけのお金が必要なのかが見えてきます。その時に現金で準備しても目的を達成できるのであれば投資しなくても良いと思いますし、達成できないのであれば「投資したほうが良いかも」とパートナーが感じるかもしれません。
人はきっかけがあるから何かを学ぼうとします。他人から押し付けられると勉強したくなくなるものです。
だからこそ、目的から一緒に考えることで勉強しようと思うきっかけが生まれ、そこで初めて投資の重要性に気づくかもしれません。
押しつけではなく、話し合いを
お金の相談をたくさん受けて感じたのは、お金の価値観は、その人の人生観そのものだということです。性格がすぐに変わらないように、お金の価値観もなかなか簡単に変える事はできません。
だからこそ、正しさを押し付けて説得するのではなく、時間がかかるかもしれませんが、ゆっくり話し合いをしながら一緒に勉強していく事が、良い夫婦関係につながると思います。
それが家族のお金の問題を解決することに近づくと思うので、あせらずゆっくり夫婦にとってのベストを探してみてはいかがでしょうか。
※本記事は投資に関わる基礎知識を解説することを目的としており、投資を推奨するものではありません。
※本稿は著者の見解に基づくものであり、Wealth Roadの運営会社の見解を示すものではありません。

著者:井上ヨウスケ
役者から転身した異色のファイナンシャルプランナー。演劇で培った「伝える力」を活かし、「誰よりもわかりやすく」をモットーにお金の知識を発信。27歳でFP資格を取得し、独立系FPとして講演や相談業務を展開。動画講座やYouTubeでも活動し、「どこでも働ける」を実現。投資や保険の知識に加え、価値観を軸にした柔軟なお金の使い方も提案する。現在は高知県在住。