S&P500と連動するファンドに100万円を投資すると、10~30年後の資産額はどれくらいになるでしょうか。過去10年間の年平均成長率を想定して、実際の資産額をシミュレーションしました。資産効率を高めたい人に向けて、S&P500への投資効果を上げる方法についてもご紹介します。
目次
S&P500とは?
S&P500は、アメリカの代表的な株価指数の一つで、AppleやMicrosoft、Amazonなど、米国を代表する上場企業500社で構成されています。時価総額の大きな企業が多く含まれており、「アメリカ経済の縮図」とも呼ばれる指数です。
投資対象として人気が高いのは、過去数十年にわたって長期的に右肩上がりの成長を遂げてきた実績があるからです。特に過去約30年間(1995年〜2024年)で平均で10.48%のリターン(※)を記録してきた実績があり、長期投資の有力な選択肢とされています。
ただし、メリットばかりではありません。リーマンショックやコロナショックなど、短期的な急落も避けられず、年単位で大きくマイナスになる年もあります。為替の影響を受ける点にも注意が必要です。
それでも、米国の経済成長に連動して資産形成を目指せる点は魅力的です。
(※)データ参照元:Macrotrends LLC「S&P500 Index – 90 Year Historical Chart」
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S&P500に100万円を投資するといくらになる?
米国の調査会社であるMacrotrends LLCによると、過去10年間(2016年〜2025年4月21日時点)におけるS&P500の年平均成長率は11.27%で、非常に高いパフォーマンスを出しています。過去このようにずっと良いパフォーマンスをだしていたわけではないので、逆に損をしてしまうことも十分あり得ますが、この成長率が変わらないケースを想定すると、100万円を投資して10年間保有した場合の資産額は290万8,456円になります。ただし、過去の実績は将来のリターンを保証するものではなく、今後も同様の成長率が維持されるとは限りません。市場環境の変化によって、結果は大きく異なる可能性があります。
参考:Macrotrends「S&P 500 Historical Annual Returns」
参考として、以下では保有期間を延ばした場合の資産額をまとめました。
※手数料や税金などのコストは含めない金額で、小数点以下は切り捨て。以下同様。
保有期間 | 資産額 |
---|---|
10年 | 290万8,456円 |
15年 | 496万0,160円 |
20年 | 845万9,167円 |
25年 | 1,442万6,450円 |
30年 | 2,460万3,187円 |
運用益にもリターンがつく複利運用の効果によって、保有期間を延ばすほど資産額の増え幅は大きくなっていきます。
S&P500の成長率が変わった場合のシミュレーション
S&P500は常に変動するため、実際は11.267%の成長率で運用できるとは限りません。ここからは成長率を複数のパターンに分けて、100万円を10~30年運用した場合の資産額をシミュレーションします。なお、これらのシミュレーションは過去の実績や仮定に基づいたものであり、将来のリターンを保証するものではありません。実際の運用では、手数料や税金の影響も受けるため、表示される金額より実際の手取りは少なくなる点にもご留意ください。
年平均成長率3%の場合
年平均成長率3%で運用した場合の資産額は、以下の通りです。
保有期間 | 資産額 |
---|---|
10年 | 138万4,233円 |
15年 | 160万4,706円 |
20年 | 186万294円 |
25年 | 215万6,591円 |
30年 | 250万80円 |
年平均成長率5%の場合
次に、年平均成長率5%で運用した場合のシミュレーション結果をご紹介します。
保有期間 | 資産額 |
---|---|
10年 | 171万339円 |
15年 | 218万2,874円 |
20年 | 278万5,962円 |
25年 | 355万5,672円 |
30年 | 453万8,039円 |
年平均成長率7%の場合
年平均成長率7%で運用すると、資産額は以下のように変動します。
保有期間 | 資産額 |
---|---|
10年 | 210万4,851円 |
15年 | 295万2,163円 |
20年 | 414万562円 |
25年 | 580万7,352円 |
30年 | 814万5,112円 |
年平均成長率10%の場合
最後に、年平均成長率10%で運用した場合の結果をご紹介します。
保有期間 | 資産額 |
---|---|
10年 | 285万3,116円 |
15年 | 459万4,972円 |
20年 | 740万249円 |
25年 | 1,191万8,176円 |
30年 | 1,919万4,342円 |
S&P500への具体的な投資方法
・投資信託・ETFを活用する
S&P500に投資する最も一般的な方法は、「投資信託」や「ETF(上場投資信託)」を通じて指数に連動する商品を購入することです。証券会社で口座を開設すれば、誰でも簡単に始められ、数千円などの少額から投資可能です。
・NISAを使えば非課税メリットも
日本ではNISA(少額投資非課税制度)を活用することで、運用益や配当金が非課税になります。長期投資向きの「つみたて投資枠」では、S&P500に連動する投資信託が多数対象になっています。より柔軟な運用が可能な「成長投資枠」では、ETFなども購入できます。
・自分に合った方法で継続がカギ
非課税のメリットを活かすには、継続して積み立てることが重要です。自動積立設定を利用することで、感情に左右されずコツコツと資産形成を進められます。自分の投資スタイルに合った方法で無理なく始めてみましょう。
S&P500への投資効果をさらに高めるには
S&P500に投資した場合の資産額は、実際の投資手法によって変わってきます。ここからは、投資効果を上げる2つの方法についてご紹介します。
なお、投資金額を増やすと期待リターンだけではなく、相場が下落したときの損失幅も拡大します。リターンを求めるほどリスクも上がるため、実際の投資判断は慎重に行ってください。
毎月の積立投資で投資金額を増やす
期待できるリターンは投資金額に比例するため、当初の100万円に加えて積立投資を続けると、S&P500への投資効果を上げられます。仮に年平均成長率が下がっても、プラスで推移しているうちは大きなリターンを期待できるかもしれません。
また、長期の積立投資で購入金額と購入頻度を一定に保つと、金融商品の平均購入単価を平準化させる効果もあります。相場状況によっては損失幅を抑えられるため、資金に余裕がある人は毎月の積立投資を検討してみましょう。
得られたリターンを再投資に回す
決算時に普通分配金が支払われる場合は、そのまま受けとるよりも再投資に回したほうが資産効率は上がる可能性があります。得られたリターンを再投資に回すと、利益が利益を生む「複利運用」の状態をつくれるためです。
S&P500の構成銘柄に投資をするファンドのなかにも、再投資型のファンドはいくつか見られます。投資効果を高めたい人は、分配金の仕組みまで確認しておきましょう。
S&P500の相場状況を見ながら運用計画を立てよう
2024年9月11日時点の年平均成長率を想定すると、S&P500に100万円を投資した場合の10年後の資産は533万4,874円になります。ただし、冒頭にも述べたように、常にプラスの運用成果を出しているわけではなく、S&P500は常に変動しているため、シミュレーションの通りに資産が増えるとは限りません。
かえって資産を減らしてしまう可能性もあるので、投資を検討している場合は、投資する際の相場状況をこまめに確認したうえで運用計画を考えましょう。
とはいえ、S&P500のような株式指数への投資は、本来「長期保有」を前提とした資産形成の手段です。短期的な値動きに一喜一憂せず、時間を味方につけることでリスクを平均化し、堅実に資産を育てていくことが可能になります。
※本記事は投資信託に関わる基礎知識を解説することを目的としており、特定ファンドの売買や投資を推奨するものではありません。指数そのものには投資できません。
※過去の実績は将来の運用成果等を保証するものではありません。