2億円~3億円で何年暮らせる?資産運用だけでも一生暮らせるか解説

2億円~3億円の資産があると、平均的な暮らしでは何年暮らせるのでしょうか。本記事では単身世帯と二人以上世帯に分けて、2億円~3億円で一生暮らせるかをシミュレーションしました。

2億円~3億円あったら何年暮らせる?

2億円の資産で何年暮らせるかをシミュレーションした結果、平均水準の生活では単身世帯で99.4年、二人以上世帯で56.6年という結果になりました。資産3億円で同様のシミュレーションを行ったところ、単身世帯では149.1年、二人以上世帯では85.0年暮らせる結果になっています。

以下の表は、本記事で行ったシミュレーション結果をまとめたものです。「余裕のある生活」は平均の生活費に月5万円を追加した暮らし、「裕福な生活」は平均の生活費を2倍にした暮らしを想定しています。

<2億円で暮らせる年数>

単身世帯 二人以上世帯
平均水準の生活 男性:95.1年
女性:103.5年
平均:99.4年
56.6年
余裕のある生活 男性:74.0年
女性:79.0年
平均:76.5年
48.4年
裕福な生活 男性:47.5年
女性:51.7年
平均:49.7年
28.3年

<3億円で暮らせる年数>

単身世帯 二人以上世帯
平均水準の生活 男性:142.7年
女性:155.3年
平均:149.1年
85.0年
余裕のある生活 男性:111.0年
女性:118.5年
平均:114.8年
72.6年
裕福な生活 男性:71.3年
女性:77.6年
平均:74.5年
42.5年

2億円以上の資産があれば、単身世帯は裕福な生活でも50年程度は暮らせることが分かりました。一方で、二人以上世帯は生活水準が高すぎると、暮らせる年数が30年未満になる可能性があります。

2億円~3億円で何年暮らせるかをシミュレーション

2億円~3億円で何年暮らせるかをシミュレーションした結果、単身世帯では約100~150年、二人以上世帯では約55~85年という結果になりました。本シミュレーションの生活費については、総務省統計局による「家計調査(2023年)」を参考にしています。

<単身世帯の生活費>

消費支出の内訳 1ヵ月あたりの平均支出額
食料 4万2,049円
住居 2万3,799円
光熱・水道 1万3,045円
家具・家事用品 5,760円
被服及び履物 4,447円
保健医療 7,367円
交通・通信 2万1,654円
教育 2円
教養娯楽 1万8,794円
その他の消費支出 3万704円
合計 16万7,620円

(参考:e-Stat「家計調査 家計収支編 単身世帯用途分類 001 用途分類(総数)」)

<二人以上世帯の生活費>

消費支出の内訳 1ヵ月あたりの平均支出額
食料 8万1,738円
住居 1万8,006円
光熱・水道 2万3,855円
家具・家事用品 1万2,190円
被服及び履物 9,297円
保健医療 1万4,645円
交通・通信 4万2,693円
教育 1万446円
教養娯楽 2万8,630円
その他の消費支出 5万2,498円
合計 29万3,997円

(参考:e-Stat「家計調査 家計収支編 二人以上の世帯用途分類 001 用途分類(総数)

前述のシミュレーション結果は平均水準の生活を想定していますが、ここからは以下の3パターンに分けてシミュレーションを行います。

<生活水準別の支出>
平均水準の生活:家計調査における平均の生活費を想定
余裕のある生活:平均水準の生活+月5万円の支出を想定
裕福な生活:平均水準の生活×2倍の支出を想定

資産2億円を持つ単身世帯の場合

資産2~3億円で何年暮らせるかは、以下の式から計算できます。

<暮らせる年数>
資産額÷(毎月の生活費×12ヵ月)=暮らせる年数

単身世帯については、男女別に暮らせる年数をシミュレーションします。2023年の家計調査によると、男性の平均支出額は月17万5,166円、女性の平均支出額は月16万939円です。

<平均水準の生活>
2億円÷(17万5,166円×12ヵ月)=95.1年(男性)
2億円÷(16万939円×12ヵ月)=103.5年(女性)
2億円÷(16万7,620円×12ヵ月)=99.4年(男女平均)
(※小数点以下は切り捨て、以下同様。)

<余裕のある生活>
2億円÷(22万5,166円×12ヵ月)=74.0年(男性)
2億円÷(21万939円×12ヵ月)=79.0年(女性)
2億円÷(21万7,620円×12ヵ月)=76.5年(男女平均)

<裕福な生活>
2億円÷(35万332円×12ヵ月)=47.5年(男性)
2億円÷(32万1,878円×12ヵ月)=51.7年(女性)
2億円÷(33万5,240円×12ヵ月)=49.7年(男女平均)

資産3億円を持つ単身世帯の場合

資産3億円を持つ単身世帯についても、同じ流れでシミュレーションを行います。

<平均水準の生活>
3億円÷(17万5,166円×12ヵ月)=142.7年(男性)
3億円÷(16万939円×12ヵ月)=155.3年(女性)
3億円÷(16万7,620円×12ヵ月)=149.1年(男女平均)

<余裕のある生活>
3億円÷(22万5,166円×12ヵ月)=111.0年(男性)
3億円÷(21万939円×12ヵ月)=118.5年(女性)
3億円÷(21万7,620円×12ヵ月)=114.8年(男女平均)

<裕福な生活>
3億円÷(35万332円×12ヵ月)=71.3年(男性)
3億円÷(32万1,878円×12ヵ月)=77.6年(女性)
3億円÷(33万5,240円×12ヵ月)=74.5年(男女平均)

資産2億円を持つ二人以上世帯の場合

次に、資産2億円を持つ二人以上世帯が何年暮らせるかをシミュレーションします。二人以上世帯については男女別のデータがないため、前述の平均支出額をもとに計算を行います。

<平均水準の生活>
2億円÷(29万3,997円×12ヵ月)=56.6年
<余裕のある生活>
2億円÷(34万3,997円×12ヵ月)=48.4年
<裕福な生活>
2億円÷(58万7,994円×12ヵ月)=28.3年

資産3億円を持つ二人以上世帯の場合

次に、資産3億円で何年暮らせるかについても、同じ流れでシミュレーションを行います。

<平均水準の生活>
3億円÷(29万3,997円×12ヵ月)=85.0年
<余裕のある生活>
3億円÷(34万3,997円×12ヵ月)=72.6年
<裕福な生活>
3億円÷(58万7,994円×12ヵ月)=42.5年

資産2億円~3億円あると利息や配当金、分配金だけで一生暮らせる?

2億円~3億円の資産があると、資産運用のリターンだけで一生暮らすことはできるのでしょうか。本記事でシミュレーションをした結果、年間で2%以上の利回りがあれば、二人以上世帯でも平均水準の生活を送れることが分かりました。

ここからは「定期預金・株式投資・投資信託」に分けて、それぞれのシミュレーション結果をご紹介します。

定期預金(利息)で運用する場合

日本銀行が2022年3月に公表した資料(※)によると、1,000万円以上の資金を定期預金で運用した場合の平均金利は、預入期間5年で0.003%です。したがって、2億円~3億円の資金を預け入れた場合の利息は、以下の式で計算できます。

<1年間で受けとれる利息の計算式>
預け入れた資金×金利=1年間で受けとれる利息

<1年間で受けとれる利息を計算>
2億円×0.003%=6,000円
3億円×0.003%=9,000円

金利が0.1%を超える定期預金もありますが、3億円の資産を年0.1%で運用したと仮定しても、得られる利息は年間30万円です。単身世帯でも約2ヵ月分の生活費となるため、定期預金の利息だけで一生暮らすことは難しいでしょう。

(※)参考:日本銀行「預金種類別店頭表示金利の平均年利率等について

株式(配当金)で運用する場合

日本取引所グループの資料(※)によると、配当金をだしている銘柄(有配会社)の平均利回りは、東京証券取引所のプライム市場で2.02%です(2024年3月時点)。

2億円~3億円の資産で運用した場合に、どれくらいの配当金を期待できるのか計算をしてみましょう。

<1年間で受けとれる配当金の計算式>
投資金額×利回り=1年間で受けとれる配当金

<1年間で受けとれる配当金を計算>
2億円×2.02%=404万円
3億円×2.02%=606万円

二人以上世帯の1年間における生活費は平均352万7,964円なので、配当金だけでの生活は現実的なラインと判断できます。ただし、配当金に期待する株式投資では、常に安定したリターンを得られるとは限りません。

たとえば、銘柄によっては保有中に配当金が減ったり、株価の下落による損失が生じたりする場合もあります。直近の配当方針や株価動向など、利回り以外の情報も調べた上で慎重に投資判断を行いましょう。

(※)参考:日本取引所グループ「その他統計資料

投資信託(分配金)で運用する場合

投資信託については分配金利回りを1%~5%として、2億円~3億円の資産で期待できるリターンを計算してみます。

分配金利回り 投資額2億円の分配金 投資額3億円の分配金
1% 200万円 300万円
2% 400万円 600万円
3% 600万円 900万円
4% 800万円 1,200万円
5% 1,000万円 1,500万円

分配金利回りが2%を超えると、二人以上世帯でも平均水準の生活を送れます。ただし、投資信託にも損失のリスクがあるため、投資商品は慎重に選ぶことが重要です。

また、投資信託の分配金には、ファンドの運用益から支払われる「普通分配金」と、元本を取り崩す「特別分配金(元本払戻金)」があります。このうち、特別分配金は元本を投資家に戻したものなので、投資信託のリターンには含まれません。

投資信託で運用をする場合は、分配金の種類にも注意しながら投資先を選びましょう。

資産2億円~3億円を運用して取り崩すと毎月いくら使える?

2億円~3億円の資産を運用して、元本も含めたリターンで生活を送る場合、毎月どれくらいの資金を使えるのでしょうか。

以下では30年・40年・50年の3パターンに分けて、毎月いくら使えるのかをシミュレーションしました。

資産2億円の場合

資産2億円を運用する場合、毎月使える資金は以下となります。

<毎月使える資金>

利回り 30年暮らす場合 40年暮らす場合 50年暮らす場合
1% 64.3万円 50.5万円 42.3万円
2% 73.7万円 60.4万円 52.6万円
3% 83.9万円 71.1万円 63.9万円
4% 94.7万円 82.7万円 76.2万円
5% 106万円 95万円 89.3万円

平均水準の生活であれば、二人以上世帯でも50年以上は暮らせる結果になりました。ただし、期待できる利回りや暮らす年数によっては、裕福な生活(二人以上世帯で月58万7,994円)は難しい可能性があります。

資産3億円の場合

次に、資産3億円のシミュレーション結果を見てみましょう。

<毎月使える資金>

利回り 30年暮らす場合 40年暮らす場合 50年暮らす場合
1% 96.4万円 75.8万円 63.5万円
2% 110.6万円 90.6万円 78.8万円
3% 125.8万円 106.7万円 95.9万円
4% 142万円 124.1万円 114.3万円
5% 159万円 142.5万円 133.9万円

3億円の資産があれば、1%の利回りでも50年以上は裕福な暮らしを送れます。平均寿命を想定すると、30代や40代での早期退職も現実的になってくるでしょう。

金融商品には価格変動リスクがあり、配当金や分配金についても期待した利回りになるとは限りません。また、通常は20.315%の税金が課されるため、資産運用の計画は慎重に立てることが重要です。

上記のシミュレーションは、野村證券が提供している「マネーシミュレーター「みらい電卓」~生活編」を活用して計算しています。

現在の年齢や生活水準を踏まえた資産形成を検討しよう

2億円~3億円の資産があっても、ライフスタイルによっては安定した生活を送れるとは限りません。理想の暮らしを実現するには、現在の年齢や生活水準を踏まえた計画を立てることが重要です。手持ちの資金だけでの生活が難しい場合は資産形成も視野に入れて、これからの計画を考えてみてください。

※過去の実績は将来の運用成果等を保証するものではありません。

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