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目次
ニューヨーク・コミュニティ・バンコープの問題によって何が起きたか?
米国の地方銀行への影響は?
米国外の一部の銀行もプレッシャー下に
米国の商業用不動産に関する3つのキーポイント
銀行の問題は収束したように見える
注目の日程
NYCBの問題のほとんどは、かなり特殊なものです。問題の一部は、昨年春のシグネチャー銀行の破綻時に、同銀行の資産を買収したことに起因しています。これによりNYCBは、銀行カテゴリーにおいてカテゴリーIV(資産1000億ドル超)に分類されることとなり、より厳しい資本、流動性、貸倒損失に関する要件を満たすことを含めた、全般的により厳格な規制の対象となりました。
NYCBが、同カテゴリーの他社と同様にバランスシートの流動性を強化することを決定したことが、利益減と減配の重要な要因となりました。また、同行は商業用不動産へのエクスポージャーが比較的高く、2023年10-12月期にいくつかの不良債権を償却しました(ただし同期間の償却額の多くが、特殊な事情を有する2件のローンによって占められていました)。
投資家は明らかにNYCBに懸念を抱いており、決算発表以降、株価は劇的に低下しましたが、ここ数日の取引では安定しています。NYCBはTier 1資本比率が比較的低く、米国の銀行平均の12.3%に対し10%を下回っています1 。前向きな面としては、NYCBは保険付き預金の比率が比較的高いため預金の逃避リスクがより小さく、基本的な業績が好調だったという点です。最後に、経営幹部が退任したことは、NYCB特有の問題があったことを示唆している可能性があります。
NYCBの苦境を受け、昨年春と似たような逆ハロー効果が、米国、そして世界の地方銀行に影響を与え始めています。S&P500種地方銀行指数は年初来で8.9%下落しました2 。米国の地方銀行債のスプレッドは拡大し、市場がこれらのリスクをより高く見ていることを示唆しています。しかし私たちの見解では、米国の地方銀行のうち、重大な脆弱性を抱えているのはごく一部にすぎません。投資家から最も懲らしめを受けているのは、これらの一部銀行の株式です。
実際には、総じて米国の銀行は十分な資本を有しています。米連邦準備制度理事会(FRB)による、銀行セクターを総計した最新のバランスシートデータに基づけば、商業用不動産ローン全体をカバーするのに十分な現金があることが分かります3 。問題は一般的に、中小銀行ほど多くの貸出を抱え、大規模な銀行ほど多くの現金保有があるということで、これが最近の地方銀行株の低迷の背景です。
実際、過去6ヵ月の間、総資産に占める質の高い流動資産の割合は、大手銀行で増加し、中小銀行で減少しています4 。しかし、NYCBにストレスをもたらした問題の多くは、同行特有のものです。
先週、懸念は米国外にも広がりました。しかし、これも米国の商業用不動産に大きなエクスポージャーを持つ一部の銀行に限られているようであり、これらの銀行の株価は適正な水準よりも下がっている可能性があります。いずれにせよ欧州中央銀行は、商業用不動産に関する警戒を強めており、商業用不動産のリスク管理と資本増強について銀行に警告を発したと報じられています。
しかし、米国の商業用不動産そのものについてはどうでしょうか?留意すべきキーポイントは3つあります:
まとめると私たちは、銀行の問題は独立した問題であり、ごく一部の中小銀行にとどまる範囲のものと考えています。高金利環境が続く限り、たとえ銀行セクター全体で収益が上がっており安定していたとしても、定期的にいくつかの個々の銀行に問題が発生する可能性はあるでしょう。また、「バンピーランディング(でこぼこした着地)」の後に米国の経済成長が再加速するという当社の基本シナリオは、ローン残高の増加や借り手の債務返済能力の改善を示唆するかもしれません。また、金融政策の緩和が最終的に開始されれば、預金金利を引き上げる必要性が低下することで純利鞘へのプレッシャーが緩和され、これも成長の支えとなる可能性があります。
おそらく、市場が全体として、商業用不動産に特に懸念を持っていないことを示す最も強いシグナルは、最近のヘッドラインニュースを受けてなお、2月9日にS&P500種指数の終値が、史上初めて5,000を超えたことでしょう9 。ご記憶かもしれませんが、S&P500種指数が2,500に達したのは2017年9月でした10 。当時から今まで生じたあらゆる課題に鑑みると、株価が実際に「心配の壁 」をよじ登ってきたことは明らかです。
これは、ヘッドラインに惑わされず、長期的に投資を続ける(そして十分に分散投資する)ことの重要性を再認識させるものです。(先週のマイルストーンはS&P500種指数だけではありませんでした。日経平均株価も、34年ぶりに日中37,000円を突破しました11 。)
今後は、今週の米国消費者物価指数のデータに注目が集まります。FRBは、強力なディスインフレのトレンドについて更なる確証を求めており、このデータがその確証を得るのに役立つ、またはそうならない可能性もあり、いずれにせよ市場を動かす見込みが高いでしょう。
(執筆協力:アンドラス・ヴィグ、マイク・ソボリク、ニコラス・バス)
クリスティーナ フーパー
チーフ・グローバル・マーケット・ストラテジスト
公表日 | 指標等 | 内容 |
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2月13日 | 英国失業率、平均賃金 | 労働市場の健全性を示す |
2月13日 | 米国CPI | インフレの動向を示す |
2月14日 | 英国CPI | インフレの動向を示す |
2月14日 | ユーロ圏鉱工業生産 | 鉱工業セクターの健全性を示す |
2月15日 | 米国小売売上高 | 消費需要を測定 |
2月16日 | 英国小売売上高 | 消費需要を測定 |
2月16日 | 米国PPI(生産者物価指数) | 国内生産者による生産品の販売価格の 動向を測定 |
2月16日 | ミシガン大学消費者調査(速報値) | 米国消費者の経済と個人支出に対する 期待を評価 |
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MC2024-020