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世界経済について楽観的に見る7つの理由

世界経済について楽観的に見る7つの理由

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〔要旨〕

  • 米国のディスインフレは続く:コアPCE価格指数が2021年3月以降で最も低い水準に低下
  • ユーロ圏に改善の兆し:ユーロ圏企業の今年の景況感が1月で4カ月連続の改善となった
  • 中国の景気刺激策が近づく:先週、中国経済及び中国株にとって楽観的な材料となる、規制当局からの発表がいくつか行われた

米国のディスインフレは続く

米国の成長率は予想よりも上振れ

ユーロ圏に改善の兆し

紅海航路の混乱による経済的影響はそれほど大きくない

ユーロ圏のインフレは低下

待望の中国の景気刺激策が近づく

インフレに向けた日本の取り組み

今後の展望

注目の日程

2024年の始まりは暗澹たるものとなりました。2つの紛争が激化し、市民にも多くの死者を出すなど、痛ましい犠牲が出ています。紅海で商船がフーシ派の反政府組織に攻撃されたことを受け、米英はフーシ派の拠点を攻撃し、これに対して米軍艦にミサイルが発射されたと報じられています。つい最近も、ヨルダンの米軍基地への攻撃で3人の米兵が悲劇的な死を遂げ、イスラエル・ハマスの衝突に、より多くの国が直接巻き込まれる可能性が高まってきています。更に、世界各地での大きな選挙の結果が、地政学的な不確実性を悪化させることが懸念されています。このような世界的な状況を受け、私のところにも、経済情勢について多くの質問が寄せられていますので、この辺りで、世界経済について前向きに捉える理由をいくつかご紹介させていただきたいと思います。

米国のディスインフレは続く

米連邦準備制度理事会(FRB)が米国のインフレ指標として選好する、12月のコア個人消費支出(PCE)価格指数が前年同月比で3%を下回る水準に低下し、2021年3月以降で最低となりました1。これは米国のインフレ抑制の大幅な進展を示しています。ディスインフレのプロセスは整然としたものではなく、期待外れのデータもありますが、FRBの2%のインフレ目標に向けて、前進していっているのは事実です。私たちはまだ、「D(ディスインフレ)トレイン」に乗っているのです。

米国の成長率は予想よりも上振れ

米国の2023年10-12月期国内総生産(GDP)は、年率3.3%と予想の2%を上回りましたが、同7-9月期の年率4.9%からは低下しました2。更に、S&Pグローバルの製造業購買担当者景気指数(PMI)(速報値)は、2023年4月以降で初めて拡大領域に入り、2022年10月以降の最高値に達しました。サービス業PMIも予想を上回りました。また、輸送機器以外の12月の耐久財受注も大幅に予想を上回りました。

これらのニュースが、FRBが3月に利下げを開始するとの見方に冷や水を浴びせるものと捉え、歓迎しない向きもあるかもしれません。しかし私は、FRBが3月に利下げを行わないとの想定でも特に問題はないと考えており、FRBは今年4-6月期に利下げを開始すると確信しています。また、2024年の利下げ幅はかなり大きくなると予想しています。

FRBウォッチャーの中には、米国経済が堅調であることから、FRBの利下げがより後のタイミングまで引き延ばされると見る向きもあるようです。しかし以前にも申し上げたように、FRBが利下げを開始するにあたって、経済が弱含んでいる必要はありません―ディスインフレが十分進展していれば良いのです。FRBのウォラー理事による、昨年11月の発言を思い出してください:「私は、政策が現在、景気を減速させ、インフレ率を2%に戻す上で好位置にあるとの確信をますます強めている…」。ウォラー理事は、インフレ率の低下が「あと数カ月…3カ月、4カ月、5カ月か分からないが…続けば、インフレ率が低下しているという理由のみによって、政策金利を引き下げ始める可能性がある。それは経済を救おうということとは何の関係もなく、ただあらゆる政策ルールと整合的なためだ。政策金利を非常に高く据え置く予定だと言明する理由はない」と述べました4

ユーロ圏に改善の兆し

直近のユーロ圏PMI(速報値)によると、製造業PMIは46.6と10カ月ぶりの高水準に改善しました5 。これは製造業の落ち込みが和らいでいることを意味するに過ぎませんが、一つのデータには違いありません。またドイツの製造業PMIはまだ弱含んでいるものの、8カ月ぶりの高水準となっています。おそらくより重要なのは、本調査から、ユーロ圏企業の今年の景況感が1月で4カ月連続の改善となり、昨年5月以来の高水準となったと示されたことでしょう。

PMI調査を実施するハンブルグ商業銀行のチーフエコノミスト、デラルビア氏は、次のように説明しました。「製造業において、昨年見られた下降基調が幅広く緩和する中、今年の年初はユーロ圏にとって明るい兆しが見えている。この前向きな変化は、生産、雇用、新規受注といった主要指標にわたって顕著に表れている。特筆すべきは、輸出セクターが後者の改善の原動力として極めて重要な役割を果たしており、昨年末と比べて良好な状況を示していることだ6。」これは、今後数カ月の間に予想されるバンピーな(でこぼこした)着地が、多少緩和された形になりそうだということを意味しています。

紅海航路の混乱による経済的影響はそれほど大きくない

経済的観点からは、紅海航路の障害により、予想されたほどの混乱は起こりませんでした。先週、欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は、この地域での紛争が更に拡大すれば、海運やエネルギー/コモディティ価格への更なるリスクとなると考えられるが、紅海での貨物輸送の問題がインフレに与える影響は、これまでのところ比較的小さいと指摘しました:「…ご承知のとおり、海運コストが上昇し、輸送の遅延が増加している状況にあり、私たちはこれらを非常に注視している。2020、2021年よりも輸送キャパが増えているのは周知の事実だが、その一方、コストや料金も上昇している。現在、その影響はそれほど大きくないというのが大方の見方だと思う。総投入コストに占める水上輸送コストの割合は、1.5%よりやや大きいぐらいだ7。」

同様にS&Pグローバル/HCOBのユーロ圏PMI調査(速報値)でも、サプライチェーンには確かにマイナスの影響を与えたが、予想されたほどの大きさではなかったとされています:「フーシ派の反政府組織による、紅海を航行中の商船への執拗な攻撃は、サプライチェーンに明らかな影響を及ぼしている…とはいえ種々の業界レポートによれば、企業は過去の混乱から学んでおり、以前のように無防備ではない。多くの企業は、積極的にサプライヤーの地域間、また複数企業間への分散を図り、こうした不測の事態によって生じる潜在的な影響を軽減している8 。」

私たちは今、「創造的破壊 」という経済学の概念からそれほど遠くないものを目の当たりにしているのかもしれません。 新型コロナウイルス関連で生じた脆弱性への対応のため、サプライチェーンが変更・修正されたことにより、企業側には紅海での攻撃という現行のサプライチェーンの課題に対しても、よりよく対処できる体制が整っていたということです。

ユーロ圏のインフレは低下

先週のECB会合において、よりタカ派的と感じられる「中央銀行発言」がなされたことにがっかりした向きもあるようです。しかし私は、ECBによるインフレの評価に鑑み、特に心配していません: 「12月の基調的インフレは、ほぼ全ての指標で更に低下した。賃金の伸び率の上昇と労働生産性の低下が、国内の物価上昇圧力を高く保っているが、これらも低下し始めている。同時に単位利益の低下が、単位労働コストの上昇によるインフレ効果を緩和し始めている。短期的なインフレ期待の指標は著しく低下しているが、長期的なインフレ期待の指標は、ほとんどが2%前後で推移している9 。」

私にはECBが、最重要項目の全てにチェックマークを入れていっているように見えます。ECBがFRBより先に利下げを行うとは予想されませんが、FRBの利下げ後すぐに利下げを行うと予想されます。これにより、金利が「より長期に、より高く」ならないことは十分確実とみられるでしょう。

待望の中国の景気刺激策が近づく

私たちは長らく、中国による景気刺激策の強化が、2024年の市場パフォーマンスに決定的な役割を果たす可能性があると期待してきました。さて先週は、2024年の中国株について、より楽観的な見方をする上での理由がいくつか出てきました。

  • 中国人民銀行は、中国の貸し手に義務付けられている準備金の額を引き下げると発表し、これが2月5日から適用開始されます。これは与信の伸び悩みに対応したものですが、市場心理の改善という点で「ノックオン効果」をもたらす可能性があります。
  • 中国の政策当局は、中国株の空売り規制を発表しました―これは当局が、株安に歯止めをかけることに対して強く焦点を当てていることの表れです。バリュエーションが歴史的な低水準にある今、このような措置は大いに前向きなきっかけとして働く可能性があります。
  • 更にブルームバーグは、中国の政策当局が、2015年の株式買い支えプログラムと似た、2,780億ドル規模の株式買い入れプログラムの実施を検討していると報じました。

インフレに向けた日本の取り組み

欧米先進国がインフレの抑制に重点を置いているのに対し、日本は何十年もの間、低成長/低インフレ/低金利の停滞状況から抜け出せずにいたため、これまでよりやや高い水準のインフレを維持したいと考えています。毎年春に行われる「春闘」と呼ばれる賃金交渉は、この目標を達成する上で非常に重要だと考えられています。始まったばかりの今年の交渉では、過去数十年で最大の賃上げが実現するとの期待が高まっています。そのような成果が得られれば、日本経済にとってもプラスになるでしょう。

今後の展望

上述した7つのポイントは、様々な懸念材料が積み重なる状況にもかかわらず、リスク資産がここ数週間、好調なパフォーマンスを見せた理由の少なくとも一部であるでしょう9:今週は、 マイクロソフト、メタ、アップル、アルファベット、アマゾンといった大手テクノロジー企業が2023年10-12月期の決算を発表するほか、米雇用統計、ユーロ圏インフレ予想(速報値)、イングランド銀行による政策金利の決定などが控えています。

そしてもちろん、今週の米連邦公開市場委員会(FOMC)は、FRBが何を考えているのか、またいつ利下げを開始する可能性があるのかについてのガイダンスを得る上で、私にとっては「必見のテレビ番組」に相当します。(FRB会合直後の私の反応は、X(Twitter)で @kristinahooper をフォローしてご覧ください。)

注目の日程

公表日 指標等 内容
1月30日 ユーロ圏国内総生産
(速報値)
地域の経済活動を測定
1月30日 ユーロ圏消費者信頼感指数 消費者と企業がユーロ圏経済について
どのように感じているかを示す
1月31日 FOMC決定会合及び
記者会見
金利の道筋に関する最新の決定を発表
2月1日 ユーロ圏インフレ予想
(速報値)
財・サービスに支払われる価格の推移を追跡
2月1日 イングランド銀行決定会合
及び記者会見
金利の道筋に関する最新の決定を発表
2月1日 中国財新製造業PMI 製造業セクターの経済の健全性を示す
2月2日 米国雇用統計 米国雇用市場の健全性を追跡
2月2日 ミシガン大学消費者調査
(確報値)
米国消費者のマインドとインフレ期待を測定
  • 1.出所:米国経済分析局、2024年1月26日
  • 2.出所:米国経済分析局、2024年1月25日
  • 3.出所:S&Pグローバル、2024年1月25日
  • 4.出所:ロイター、“With Fed likely done hiking rates, Waller flags pivot ahead”、2024年11月28日
  • 5.出所:スタンダード&プアーズ、S&Pグローバル/HCOBユーロ圏PMI(速報値)、2024年1月24日
  • 6.出所:S&Pグローバル、2024年1月24日
  • 7.出所:ECB記者会見、2024年1月25日
  • 8.出所:S&Pグローバル、2024年1月24日
  • 9.出所:ECB記者会見、2024年1月25日

クリスティーナ フーパー
チーフ・グローバル・マーケット・ストラテジスト

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