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弱さが目立った10-12月期の中国経済

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要旨

弱さが目立った10-12月期の中国経済

中国経済の2023年10-12月期の前年同期比ベースでの実質GDP成長率は、ほぼ市場予想並みの5.2%となりました。しかし、この高めの成長率は前年同期の水準が低めだったことによる面が大きく、2023年12月分の主要経済指標の結果をふまえると、最近の中国景気には弱さが目立っていると判断できます。不動産以外の投資はかなり強かったものの、不動産投資はさらに減速しました(図表1)。

当局は財政面でのより積極的な対応を模索

中国当局が新たに1兆元規模の特別国債の発行を検討しているとの報道が伝わっていますが、私は、こうした財政刺激策の実施は、中国経済を浮揚させるというよりも、中国経済が直面するダウンサイドリスクの抑制を念頭に置いたものになると考えています。今年の中国景気が抱えるダウンサイドリスクとしては、①不動産不況の深刻化リスク、➁地方政府の「かくれ債務」問題を解決する過程で地方政府融資平台(LGFV)による投資活動が大きく減速するリスク―が重要であると考えられます。

弱さが目立った10-12月期の中国経済

中国経済の2023年10-12月期の前年同期比ベースでの実質GDP成長率は、ほぼ市場予想並みの5.2%を記録しました。2023年の通年の成長率も5.2%と、中国政府が今年の成長率目標として掲げた「5%前後」という水準を達成することができました。ただし、前年同期比での成長率が高めに出たのは、中国が1年前(2022年)の10-12月期にコロナ患者のまん延に対応してゼロコロナ政策を撤廃した景気低迷期にあたったという面が強く、2023年10-12月期の前期比での成長率(年率)は4.1%と、7-9月期の同6.1%から減速しました。2023年12月分の主要経済指標の結果を踏まえると、最近の中国景気には弱さが目立っていると判断できます

主要な需要項目をみると、足元での中国経済において最も勢いのあるのが、不動産分野以外の投資です(図表1)。特に、インフラ投資と製造業による投資の伸びが加速しています。前者については、2023年秋に中国政府が特別国債の発行によって調達した1兆元のうち、3~4割に相当する資金が10-12月期中にインフラ投資に充てられた点が貢献したとみられます。後者については、中国政府が半導体やグリーン技術に関連する投資を政策的に促進している点が効果を発揮しているとみられます。海外企業による中国への直接投資が鈍化しているとみられるなかでも、政府による積極的な投資支援策が奏功する形で製造業の投資が堅調さを維持したと考えられます。

(図表1)中国経済の現状

一方、かなり弱いとみられるのが、輸出です。中国政府が公表する数量ベースの輸出の前年同月比での伸びをみると、2023年11月には12.0%にまで回復してきました。ただし、1年前の2022年11月の伸び率がコロナ問題を主因に-10.9%と低迷していました。これをふまえると、2023年11月の輸出は、コロナ禍の収束によって2021年11月の水準にほぼ戻っただけと言えます。ドルベースでの輸出は2023年12月分まで公表されていますが、2023年11月、12月の伸び率は、それぞれ、0.5%、2.3%に過ぎず、輸出が景気をけん引しているとは言えない状況です。

主要な分野中で最も弱いのは、引き続き不動産投資でしたインベスコの試算では、2023年12月における不動産投資の単月ベースでの前年同月比増加率は-24.0%と、リーマンショック以降において最低となりました(11月は-18.1%でした)。居住用不動産をはじめ、オフィスや商業用不動産への投資が全て大幅に落ち込みました(図表2)。

(図表2)中国:不動産投資の推移

問題はそれだけにとどまりません。居住用不動産の販売床面積・着工床面積がともに下落し(図表3)、特に販売床面積は2008年12月以来の低水準となりました。マンションの販売が振るわないことで、住宅開発業者の資金繰りの問題がさらに深刻化する可能性が指摘できます。中国の不動産不況の問題については今後、当レポートにおいて別途分析をご紹介したいと思います。

(図表3)中国:居住用不動産の着工・販売床面積の推移

当局は財政面でのより積極的な対応を模索

ブルームバーグ社は1月16日の報道において、中国当局が新たに1兆元規模の特別国債の発行を検討していると伝えました。不動産不況が長引き、かつ、大きな問題となる中、景気の先行きについての不透明感が強まっています。昨日公表された12月分の主要統計を受けて、中国当局が財政政策の積極化によって短期的に景気刺激を試みる可能性が高まっていると判断できます。私は、こうした財政刺激策の実施は、中国経済を浮揚させるというよりも、中国経済が直面するダウンサイドリスクの抑制を念頭に置いたものになると考えています。その意味では、追加的な財政措置が講じられたとしても、現在の中国経済に対する投資家の目線が大きく変わるとは考えにくい状況です。)。

今年の中国景気が抱えるダウンサイドリスクとしては、①不動産不況の深刻化リスク、➁地方政府の「かくれ債務」問題を解決する過程で地方政府融資平台(LGFV)による投資活動が大きく減速するリスク―が重要であると考えられます。これらは相互に関連するリスクですが、LGFV問題(➁)については、債務返済が困難なLGFVの債務を地方政府自身の債務として認識し、地方政府が発行する債券の発行によって債務を肩代わりする措置が2023年秋から一部の地方で採用されつつあります。LGFVの債務再編の動きは、中国経済が直面する重要な問題を健全化させる動きとして評価できますが、その結果としてLGFVによる資金調達が遅延し、インフラ投資に悪影響を及ぼすリスクが存在しています。今後、3月の全国人民代表大会(全人代)のタイミングで公表されるとみられる2023年の財政政策やその他の政策対応に引き続き注目したいと思います

木下 智夫
グローバル・マーケット・ ストラテジスト

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