新NISAでは「一括投資」と「積立投資」という2通りの投資方法があります。本記事では、成長投資枠を使った「一括投資」について、メリット・デメリットを交えて説明します。
目次
集中投資は今後も価格上昇が続くと予想する銘柄がある場合、その銘柄に絞って、年間投資上限額240万円分を投資する方法です。1銘柄に集中投資しますので、パフォーマンスを高められる可能性があります。投資する銘柄が決まれば、全額を一度に購入しても良いですし、何度かに分けて購入しても構いません。
ただし、一括投資は積立投資と比べてもリスクが大きくなりやすく、適切な投資判断が求められますので、投資経験豊富で銘柄選択に自信がある投資家に有効な方法となるでしょう。
分散投資は、1つの銘柄に絞らず複数銘柄に投資する方法です。銘柄を分散することで、1銘柄への集中投資よりリスクを抑えることができます。株式なら単元未満株で数千円から購入可能で、投資信託なら数百円から購入可能なので、年間240万円の投資枠で100銘柄以上を購入することも可能です。
実際に分散投資を行う際は、同じ業界・業種などに集中させず、できるだけ相互に価格が連動しない銘柄を選ぶことが大切です。
特定口座や一般口座などの課税口座で保有している資産をいったん売却し、新NISAの成長投資枠で一括で買い直すも選択肢の1つです。
今後の価格上昇を予想している場合、含み益があっても課税額が小さいうちに売却し非課税の新NISAに移行することで、トータルの課税額は小さくなります。
一方、含み損がある場合は売却時に損失が発生しますが、他の課税口座の利益と相殺できる損益通算(新NISAでは利用不可)という仕組みを利用できます。課税口座で生じた損失を最長3年まで繰り越して、他の課税口座の利益と損益通算することで課税額を抑えられます。
つみたて投資枠での積立購入と違い、成長投資枠での一括投資は、まとまった金額を一度に投資可能です。自由なタイミングで投資するスポット購入が可能であり、購入可能な銘柄種類も多いため、より機動的に運用することが可能となります。
価格の上昇局面では、一括投資により運用期間が長くなり、積立投資と比べて資産価値が増加するスピードが早くなる状況もあります。
投資対象が少ない一括投資では、価格が大きく下落した後のリカバリーが難しく、パフォーマンスが長期にわたり悪化してしまうことがあります。分散効果が効いていないため相対的にリスクが大きいと考えられます。
また、一括投資している資産について銘柄の入り替えの必要が生じた場合、いったん売却することは可能ですが、その年の投資枠を使い切っていれば再利用できるのは翌年となりますので、運用の効率性が低下することに注意が必要です。
成長投資枠で一括投資可能な投資対象は主に4種類あり、組み合わせて投資することが可能です。投資信託・ETF・REITについては投資可能な銘柄が随時変更されています(以下記載の銘柄数は2023年12月1日時点)。
国内株式と外国株式が投資対象となります。外国株式については、新NISA口座を開設して取引している証券会社が取扱う銘柄のみ購入可能です。
投資信託は、投資家の資金を集め、運用会社が株式や債券などで運用する非上場の金融商品です。現在、約1800銘柄が対象となっています。
ETFは、証券取引所に上場しており、取引時間内であればリアルタイムで売買しやすくしている投資信託です。現在、約200銘柄が対象となっています。
REITは、運用会社が投資家から集めた資金で不動産を取得し、当該不動産から生じる利益を投資家に分配する金融商品です。現在、約60銘柄が対象となっています。
新NISAでは投資上限額が引上げられ、売却後の非課税保有限度額の再利用が可能となったことで、より一括投資しやすい制度となりました。一括投資することで、非課税メリットや複利効果をより享受することができ、積立投資よりもパフォーマンスが大きくなることが期待されます。
ただし、積立分散効果が効かないため、リスクが大きくなる点は十分理解しておきましょう。投資後も保有資産を放置するのではなく、状況変化に注意して臨機応変に入れ替えることが大切です。
また、資産状況・投資目的・運用期間などを踏まえ、自分の投資方針に適合していると考えられるのであれば、一括投資を選択肢として検討してみてはいかがでしょうか。
※本記事は資産運用に関わる基礎知識を解説することを目的としており、資産運用を推奨するものではありません。