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目次
欧州、カナダ、米国はディスインフレに陥っているようだ
中央銀行はディスインフレの傾向を認識
市場は中央銀行の発言を理解し始めた
原油価格はディスインフレの進行を遅らせるか?
まとめ
注目の日程
ニューヨークの地下鉄といえば、ブロンクス〜マンハッタン〜ブルックリンを走る急行「Dトレイン」が有名です。しかし、私の辞書にはもうひとつの「D」トレインがあります。実際、ここしばらくの間、私はインフレに関する質問には 「D列車に乗っています」と答えてきました。なぜでしょうか?先進国経済はディスインフレという列車に乗っており、利上げサイクルの終焉、ひいては利下げ開始への特急輸送機関になっている、と私は考えています。
すべてのデータがディスインフレのシナリオを完璧に支持するわけではないとも申し上げてきましたが、すべてのデータを総合的に見れば、欧米先進国経済が冷え込んできており、強力なディスインフレ傾向が進行中であることがおわかりでしょう。私はこれが実現しつつあると思います。それでは最近のデータを見てみましょう。
このディスインフレ傾向の受け、米連邦公開市場委員会(FOMC)は11月の会合で金利据え置きを決定しました。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、再利上げの権利を確かに留保しましたが、FRBは利上げを終了した可能性が高いというのが私の見解です。以下において、主要なポイントを列挙します7。
イングランド銀行(BOE)も前回の会合で金利据え置きを決定しました。BOEの金融政策委員会(MPC)は、政策金利を5.25%に据え置くことを採決しましたが、これは、欧州中央銀行とカナダ中銀が先週決定した政策金利据え置きに続くものです。
イングランド銀行のスワティ・ディングラ審議委員が最近指摘したように、金融政策の決定と経済への影響には長いタイムラグがあります。彼女は、英国経済は現在のところ、このサイクルにおけるBOEのすべての利上げのごく一部しか反映していないことを示唆しました。これまで述べてきたように、中央銀行にとって金融政策のラグ効果は重要な検討事項であるべきです。そして、より多くの中央銀行がそのようにし始めていると私は考えています。
市場はようやく、中央銀行が利上げを終了する可能性が非常に高いということを理解し始めています。先週末の米国債10年物利回りは、ISM製造業PMI、ハト派的なFRB理事会、そして低調な雇用統計を受け、大幅に低下しました8。英10年国債利回りから独10年国債利回りまで、他の長期債利回りもこの傾向に従いました9。
それは何を意味するのでしょうか?つまり、欧米先進国の中央銀行がこれ以上の利上げを行う可能性は極めて低いということです。中央銀行は「主張し過ぎる」ということです。しかし、すでに実施された利上げの累積効果が、インフレと成長率により大きな影響を与えるようになるのであれば、利下げを早急に開始しなければならないでしょう。そして、イングランド銀行も開始する可能性があります。
わかっているのは、最近の引き締めサイクルでは、FRBは前回の利上げから8カ月以内に利下げを開始しているということです。FRBの前回の利上げが7月だったことから、利下げは第2四半期に行われる可能性があります。
確かに、ディスインフレが続く、特に原油価格が上昇するという見方にはリスクがあります。しかし、以前にも指摘したように、原油価格の上昇はコア・インフレに浸透するのに時間がかかります。その間に、原油価格は消費意欲を減退させ、消費者需要を抑制します。そして幸いなことに、ここ数日、原油価格は下落しています。
先行きについては、金融政策の不確実性(およびその他の地政学的不確実性)がまだ大きいため、ボラティリティは高くなると予想しています。つまり、利回りは依然として幅広いレンジで取引される可能性があり、「マクロの好材料は市場の悪材料」というシナリオが短期的に展開される可能性があります。しかし、日ごとに利上げの決定的な終了(そしておそらくその後すぐに利下げ開始)に近づいているため、リスク選好度は高まっています。
公表日 | 指標等 | 内容 |
---|---|---|
11月6日 | 日本銀行金融政策決定会合議事要旨 | 中央銀行の意思決定プロセスについて 更なる手がかりを与える |
11月7日 | オーストラリア準備銀行 金融政策決定会合 | 金利の道筋に関する最新の決定を発表 |
11月7日 | 英国国内総生産 | 地域の経済活動を測定 |
11月7日 | 英国鉱工業生産指数 | 鉱工業部門の健全性を示す |
11月10日 | ミシガン大学インフレ期待 (速報値) | インフレに関する消費者センチメントを示す |
継続中 | FRBパウエル議長と他の FOMCメンバーによる講演 | FRBの見解について更なる手がかりを与える |
クリスティーナ フーパー
チーフ・グローバル・マーケット・ストラテジスト
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MC2023-177