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(画像=4 PM production/Shutterstock.com)

PetTech最前線 日本でも浸透する可能性は?

67%の家庭がペットを所有しているというペット大国アメリカを中心に、最新のテクノロジーをペットケアに取り入れたPetTech(ペットテック)市場が急成長しています。3Dプリントの導入やスマート首輪のようなウェアラブル商品の進化、ヘルスケア用アプリの登場など、同国におけるPetTechの最新情報を見ると、日本でも普及する可能性が大いに期待できます。詳細を見ていきましょう。

2025年までに200億ドル規模に成長も

全米ペット製品協会(APPA)の調査によると、同国ではペットを飼っている世帯数が過去30年で11%増え、全世帯のほぼ7割に値する8,490万世帯となりました。それとともにペットを家族の一員と見なし、人間の家族の健康や幸福を気遣うのと同じように、ペットのウェルネスに投資するオーナーが増えています。

需要の拡大を受け、PetTech市場は2018年に45億ドルを突破。「年平均で 24%の成長となり、2025年までに200億ドルを超える」と、米市場調査企業Global Market Insightsは予想しています。

PetTech市場は、スマート首輪や散歩用ハーネス、ベストなどウェアラブル商品、ケージやサークル、玩具、食器などアクセサリー、ヘルスケアやエンターテイメント用のアプリなどはもちろん、ペットショップなどの小売店を含む流通チャネルまで、広範囲にわたります。

これらの商品やサービスは、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)といった先端テクノロジーを採用し、市場規模の拡大を見せています。ペットの安全性の確保や健康維持、投薬、餌やり、トレーニング、娯楽などを自動化あるいは簡素化できるため、広くオーナーの支持を集めているのです。

PetTech市場を席巻する4つの最新トレンド

最新のテクノロジーを搭載し、ペットライフに新しい価値を提供する商品、サービスなど、市場拡大に貢献している注目のカテゴリと実際の商品をいくつか紹介しましょう。

PetTech注目カテゴリ1:ウェアラブルデバイス

ペットの体に直接埋め込んだり、アクセサリーに装着したりできるウェラブルデバイスが人気を集めています。GPS(全世界測位システム)やRFID(無線通信で情報を読み書きできる認識システム)、高性能センサーなどを搭載したデバイスにより、ペットの所在地追跡やペットの情報管理(名前や連絡先、予防接種状況など)ができたり、アプリと連携して室内の温度調整や獣医の予約リマインダーを受け取ったりと、様々な活用法があります。

RFIDは通常長さ1㎝ほどのマイクロチップで、ペットの体内に埋め込む手法がとられます。GPSや高度センサーは首輪やハーネスなど、アクセサリーに予め搭載あるいは装備して利用します。センサー搭載デバイスは、犬猫専用アクティビティモニターやヘルスモニターが主流で、ペットの睡眠時間や運動量などを、高精度加速度センサーで感知・記録・分析します。

例えば、無駄吠えで困っているオーナーのために喉の振動や鳴き声をキャッチし、犬の体に害のないゆるい電気ショックや振動を与える米DogRook社の首輪「Dog bark collar」、ペットに最適な室内の温度をモニタリングする英Animaware社の「Animalarm」などがあります。また、クラウドファンディングで開発・販売された「FIT P2」のように、室内の温度などからペットの気分指数を測定してくれる商品もあります。

PetTech注目カテゴリ2:ヘルスケア

前述したウェラブルデバイスから収集したデータに基づき、ペットの健康状態を動物病院でモニタリングしたり、オーナーと病院のコミュニケーションツールが注目されたりしています。

スペインのDinbeat社は、スマートハーネスを通して患者(ペット)の心電図・心拍数・体温・活動量などをビジュアル化する、クラウドベースのソフトウェアやアプリをシリーズ展開しています。

また、米Babelbark社は、オーナーと病院、ペット関連事業者、アニマルシェルター(捨て犬・猫などを里親が見つかるまで一時的に預かる施設)が単一のプラットフォームで情報をやりとりできるシステムを提供しています。

PetTech注目カテゴリ3:3Dプリント

3Dプリント技術はすでにアクセサリーや医療および医療用品など、多様なペット関連用品の製造に活用されています。最近では、米スタートアップ3dprint.comのように、お気に入りのペットの写真から3Dポートレートや彫刻をプリントアウトするサービスも人気です。

特にペットの医療の分野では、3Dプリントによる事例が豊富です。米オーバーン大学とカリフォルニア大学デービス校が、手術を必要とする動物の骨格3Dモデルを使用して、最適な手術計画の作成やインプラントの適合などに役立てています。ほかカリフォルニア大学 デービス校は犬用の術後保護用のマスク、そして産業3Dプリンター大手の米3D Systemsでは、動物用の義肢装具などの製作に成功しています。

PetTech人気カテゴリ4:マッチングプラットフォーム

信頼できるペットシッターやホテル、散歩代行を探せる米マッチングプラットフォーム「Holidog」に加え、オーナーの生活スタイルや家族構成などを配慮に入れ、優良ドッグブリーダーからぴったりの犬を見つけてくれる英国発の「Tailwise」など、ペットオーナーとビジネスの架け橋となるウェブのマッチングサービスが続々と登場しています。

日本でのPetTechの普及の可能性は?

矢野経済研究所のデータによると、日本国内のペット関連総市場規模は年々拡大傾向にあります。2018年度の見込みは小売金額ベースで前年度比101.6%の1兆5,442億円、2021年度は1兆6,257億円に達すると予想されています。

また一般社団法人ペットフード協会の調査からは、日本ではペットの数が増えているわけではなく、米国同様、ペットのウェルネスのために投資するオーナーが増えていることが明らかになっています。

こうした背景を考慮すると、オーナーの関心を引く商品やサービスの市場投入、マーケティング次第で、日本でも本格的なPetTech旋風が起こる可能性は十分期待できるのではないでしょうか。新たなマーケットの芽として注目していきましょう。

※上記文中の個別企業はあくまで事例であり、当該銘柄の売買を推奨するものではありません。

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