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株式取引の源泉徴収分を確定申告で少しでも取り戻す方法

確定申告は1年間の収入と費用の総決算です。国民の三大義務の1つである納税を行うために必要な手続きとなります。2020年は新型コロナウイルスの影響により申告期限が1ヵ月延長され、話題となっています*。しかしこの確定申告、多くの人にとってなじみが薄いのはどうしてなのでしょうか。なぜなら給与年収2,000万円以下の会社員・役員や公務員は、自分で税務署に申告する必要がないからです。給与所得者については、会社側が年末調整を行い税務署への納税を代行してくれているのです。

しかし普段は確定申告をする必要がない人でも確定申告をしたほうがよい場合があります。たとえば株式取引で損失を出してしまったときは、確定申告を行うことで税金の一部を取り戻すことができるかもしれません。そこで本記事では、給与所得者が株式取引で源泉徴収された年度の確定申告について解説します。

*2020年4月6日、国税庁より4月16日以降の申告も可能との発表あり(2020年4月9日追記)

確定申告をすると株式取引で源泉徴収された税金が還付される場合がある

株式取引での損失を確定申告をすることで、税金の一部が還付される可能性があるのは以下の条件に当てはまる人です。

・特定口座(源泉徴収あり)で株式等の取引をしている

・確定申告の対象期間(前年の1月1日~12月31日)に株式や投資信託で売却益が出たり配当金を受け取ったりして利益が出た

・同期間に同様の取引で損失が出た、または損失の繰り越しがある(後述します)

税金が戻る仕組みは以下の通りです。「源泉徴収あり」の特定口座では、株式取引で売却益が発生したり配当金や分配金を受け取ったりすると、特定口座を保有する金融機関が利益から所得税と住民税の20.315%を源泉徴収します。株式投資の利益は、同金融機関はもちろん同じ年に他の金融機関で損失が発生していれば相殺可能です。確定申告で年間の損益を通算して、天引きされた税金を取り戻すわけです。

たとえば1月に「源泉徴収あり」の特定口座に100円入金し、同額で買ったA社株を2月に120円で売却すると利益は20円となり20.315%の4円が天引きされ手元に116円が残ります。その後、3月にB社株を110円で買い4月に90円で売った場合、損失は20円となり特定口座に残るのは96円(116円-20円)です。

A社株にかかる利益が20円、B社株にかかる損失が20円になるため実際の損益はゼロですが、源泉徴収された4円分の資金が減ってしまいました。この取引を行った翌年に確定申告を行うと、払いすぎている4円の還付を受けられます。集計は1月ごろに証券会社から送られてくる年間取引結果報告書の内容を確定申告時に記入するだけと簡単です。

「源泉徴収あり」の特定口座は金融機関が税金の計算および納税を行ってくれるため確定申告しなくていいことがメリットになります。しかし状況によっては確定申告をしたほうが得をすることもあるのです。

株式の譲渡所得と損益通算の仕組み

このように利益と損失を相殺することを損益通算といいます。株式取引では同一銘柄はもちろん他の銘柄の売却損失・利益、投資信託の売却益・損失・分配金との損益通算が可能です。ただ2020年2月時点で株式取引とFX(外国為替証拠金取引)、CFD(差金決済取引)、仮想通貨取引は損益通算できません。

なぜなら、所得税のしくみが複雑だからです。所得税を計算する際、所得は10種類に分けられるだけでなく、他の所得と合算して税率を掛ける「総合課税方式」と、それぞれの所得に税率を乗じて税額を算出する「分離課税方式」のどちらかを用います。

そして、発生した損失を他の所得と損益通算できるのは「不動産所得」「事業所得」「山林所得」「譲渡所得の一部」と決まっていますが、先ほど列挙した4つの取引はいずれも該当しません。株式取引の売却益は譲渡所得ですが分離課税方式を用いるため他の所得との損益通算できません。

またFX取引とCFD取引、仮想通貨取引は雑所得ですが、FX取引とCFD取引が分離課税方式を用いるのに対し、仮想通貨取引は総合課税方式を用います。そのため、FX取引とCFD取引は同じ分離課税の雑所得の枠内で損益通算できるのですが、これらの所得と仮想通貨取引による所得、株式取引による所得は損益通算ができないのです。(2020年2月時点)。

そして、公社債投資信託(株式を組み入れない投資信託)の分配金は、所得税の分類上は利子所得に分類されますが、2016年から株式取引で発生した損失と損益通算できるようになっています。配当金も配当所得ですが、同様に株式取引で発生した損失と損益通算が可能です。複雑ですが「株式取引と投資信託は損益通算できる」と覚えておくとよいでしょう。損益通算した結果、株式取引の損失のほうが多い場合、翌年から3年間繰り越すことができ、翌年以後の株式取引の黒字や配当金と相殺することができます。これを損失の繰越控除といいます。

NISA、つみたてNISA口座を使っている場合の注意点

NISA(少額投資非課税制度)つみたてNISAは20.315%の譲渡所得課税および配当所得課税が非課税となる、投資に対するメリットの大きい制度です。ただしNISA口座で売買した取引には、損益通算や繰越控除は適用できません。先ほどの例でA社株とB社株をどちらもNISA口座で売買していた場合は、利益に対して非課税になるため、税金を考慮する必要はなく、最終的な損益はプラスマイナスゼロになります。

もしA社株のみをNISA口座で売買していたらA社株の売却益は非課税になりB社株の損失は3年間繰り越すことができるため大きなメリットです。しかしまったく逆となる取引をした場合はどうなるでしょうか。損失が出たB社株のみをNISA口座で売買し、利益が出たA社株を特定口座で売買すると源泉徴収された税金は戻りません。

NISAには年間の投資金額に上限があるため、他の特定口座などと併用して投資を行うこともあるでしょう。その場合は、上記のようなことが起こる可能性は往々にしてあります。そして、NISAの非課税投資期間は5年、つみたてNISAは20年です。含み損益の状態と特定口座などの通常口座の損益の兼ね合いを見て売却するのも、タイミングを図る手段の1つといえます。

源泉徴収あり口座を利用している人も確定申告を気にしよう

特定口座(源泉徴収あり)を利用している会社員や公務員は、基本的に確定申告は不要です。ただ、ある年度に株式取引や投資信託の損失や、繰越控除した前年以前の損失がある場合、源泉徴収された税金は確定申告をすることで還付を受けられることがあります。証券会社から送られる年間取引結果報告書を参照し、確定申告を行うかどうかについて検討するとよいでしょう。不明なことがあるときは、税理士や税務署に相談をするようにしましょう。

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