1,000万円の預貯金があると、投資の選択肢は広がります。一般的な金融商品で1,000万円を1億円に増やすことはできるのでしょうか。本記事では、1,000万円から1億円を目指すための計画を作る際の考え方や注意点を紹介しています。
目次
結論:1,000万円を1億円にすることは短期的には難しい
1,000万円を1億円に増やせる可能性はありますが、無理な投資はかえって資産を失うリスクを高めます。
もともと株式や投資信託などの金融商品は、リスクとリターンが比例するといわれています。例えば、10倍のリターンを期待できる金融商品に投資すると、相場によっては評価額が10分の1に減ってしまうかもしれません。
つまり、1,000万円を使って無理に投資をすると、数百万円単位の損失を抱える可能性があります。投資で資産を増やすことだけではなく、リスクを抑える方法も考えましょう。
数十年単位なら資産を大幅に増やせる可能性あり
1,000万円を1億円に増やそうとした場合、どのくらいの期間が必要になるのか計算してみました。今回は必要な利回りを計算するのに、カシオ計算機の「複利計算(元利合計)」を活用しています。
期間 | 必要な利回り |
---|---|
10年 | 年25.9% |
20年 | 年12.3% |
30年 | 年8.0% |
40年 | 年6.0% |
実際の平均利回りとしては、日本証券経済研究所によると、国内株式の場合は過去62年間(1952年〜2013年)で年利12.19%のリターンが出ているという試算もあります。この年利で計算してみると、21年後に約10倍に資産を増やせる結果が出ました。
上記は各種手数料と税金を含めず計算した想定の利回りなので、実際は毎年変動します。そのため、運用の計画を立てるための参考程度に留めましょう。
余剰資金の1,000万円で投資するのが望ましい
預貯金が1,000万円あるからといって、いきなり全額を投資に回すのは控えましょう。もし大きな損失が発生してしまった場合は、生活が苦しくなったり、ストレスで精神的な苦痛を感じたりすることになるかもしれません。
そのため、余剰資金(※)の1,000万円で投資を始めることが大切です。
(※)総資産から生活費や急な出費のために残しているお金を差し引いた金額のこと。
1,000万円を投資で増やすときの注意点
どのような金融商品にも必ずリスクはあり、投資の方法によっては多くの資産を失うこともあります。特に1,000万円から1億円を目指す場合は、リスクが大きくなり過ぎないように注意しなければなりません。
以下では3つの点に絞って、1,000万円を投資で増やすときの注意点を解説します。
投資に慣れていない場合は少額から始める
一度に1,000万円を投資すると、その金融商品が下落したときに大きな損失を抱えます。投資に慣れていない場合は想定していないリスクを負ってしまい、いつの間にかに損失が膨らんでしまう状況に陥る可能性があります。
このような事態を避けるためにも、投資初心者は少額から始めることが大切です。
少額投資のメリットとデメリットは、以下のとおりです。
<少額投資のメリット>
・リスクを抑えながら実践経験を積める
・魅力的な金融商品を見つけたときに、すぐに投資できる
・投資先を少額ずつに分けると、リスクの分散効果がある
<少額投資のデメリット>
・期待できるリターンが小さい
・手数料の負担が相対的に大きくなる
・金額によっては取引できる銘柄が限られる
投資額を増やすのは、投資に慣れてからでも遅くありません。十分な投資経験を積んで知識が身に付くまでは、リスクを抑えた運用を心がけてください。
どれくらいの損失幅があるか確認しておく
投資のリスクは、金融商品への投資額によって変わります。実際に、どれくらいの損失幅があるかを確認してみましょう。
以下の表では株価が10%~20%変動する銘柄に投資すると仮定して、投資額による損失幅の違いを計算(※)してみました。
投資額 | 10%下落の損失額 | 20%下落の損失額 |
---|---|---|
10万円 | 1万円 | 2万円 |
50万円 | 5万円 | 10万円 |
100万円 | 10万円 | 20万円 |
200万円 | 20万円 | 40万円 |
400万円 | 40万円 | 80万円 |
600万円 | 60万円 | 120万円 |
800万円 | 80万円 | 160万円 |
1,000万円 | 100万円 | 200万円 |
1,000万円を投資した場合、数十%の下落で数百万円の損失幅であることが分かりました。このように具体的な損失幅を計算することで、投資額や抱えるリスクを確認しやすくなります。
(※)各種手数料や税金を含めずに計算。
短期間で無理に大きいリターンを期待しない
短期間で資産を10倍に増やそうとした場合、リスクの大きい投資を選ぶことになります。その結果、短期間で大半の資産を失ってしまう可能性があるので、無理に大きなリターンを期待しないようにしましょう。
1,000万円を1億円に増やす計画の考え方
ここまで解説した通り、1,000万円を1億円にすることは簡単ではありません。年数%の利回りでは30年前後かかるため、具体的な計画を立てる必要があります。
資産1億円の達成期限を決める
目標達成の期限を決めておくと、これから投資を続ける年数や、毎月の投資額などを計算しやすくなります。例えば、30歳の人が65歳を達成期限にすると、以下のような投資計画を立てられます。
<ステップ1>
目標の達成期限-現在の年齢=投資を続けられる年数
65歳-30歳=35年間
<ステップ2>
・カシオ計算機の「複利計算(元利合計)」で計算
→1,000万円を35年運用する場合に必要な平均利回りは6.8%(※)
実際の投資では利回りは毎年変動するので、上記の平均利回りは参考程度に留めましょう。
(※)各種手数料や税金を含めずに計算。
計画に合った投資候補を調べる
目標の金額に到達するために必要な利回りが分かったら、次はその利回りを期待できる金融商品を探すことが必要です。金融商品ごとに価格を動かす要因は異なるため、それぞれの価格変動の要因を確認することが大切です。
金融商品ごとの代表的な価格変動の要因は、以下のとおりです。
・株式投資
→個別企業の業績、経済状況、金利の動向
・投資信託
→ポートフォリオの組入銘柄の値動き、分配金
・不動産
→金利の動向、不動産価格の推移
・FX(外国為替証拠金取引)
→各国の金利の動向、為替レートの推移
上記の他にも価格変動の要因は複数あります。これらの価格変動の要因を踏まえた上で、中長期にわたって計画の利回りを期待できるものを分析・調査することが大切です。
目標金額や期限を調整し、リスクを抑えることも考えよう
投資のリスクを考えると、1,000万円を1億円にすることは難易度が高いといえます。相場によっては資産が減ることもあるので、リスクを抑えることは大切です。現実的な計画を立てられない場合は、目標金額を下げたり期限を伸ばしたりすることも検討してください。
※本記事は投資に関わる基礎知識を解説することを目的としており、投資を推奨するものではありません。また、過去の実績は将来の運用成果等を保証するものではありません。