『すごい!家計の自衛策』から一部抜粋
(本記事は、清水 克彦氏の著書『すごい!家計の自衛策』=株式会社小学館、2021年1月28日発行の中から一部を抜粋・編集しています)
家計の出費を見直すうえで重要なポイントになるのが生命保険です。先に結論を言えば、「生命保険に入るなら必要最低限でいい」これが私の考え方です。
生命保険には大きく分けて2つの種類があります。 少ない保険料で大きな保障が得られる掛け捨て型保険と、満期時や解約時に保険料の一部が満期金や解約払戻金として戻ってくる貯蓄型保険です。このうち、掛け捨て型保険は、死亡保障と入院保障が柱となっています。 生命保険は、多くの人が出し合って集めたお金を、死んだ人やけがをした人だけがもらえる仕組みです。「死亡保障に限らず、病気やけがに備えるのは当然」多くの人はこのように考え、「相互扶助」的な要素が強い掛け捨て型保険に入るわけです。
死亡保障と入院保障の保険料は、厚生労働省が毎年出している「生命表」(何歳で何人死ぬかの統計)や「患者調査」(人口10万人当たりの入院通院数を年齢性別で表したも の)で算定されます。10年満期の掛け捨て型保険に加入して保険料が変わらないのは、徴収する保険会 社側も支払う私たちも年々上昇すると手続きが面倒なためで、10年満期のあと再契 約しようとすれば、同じ保障内容でも保険料はグンと上がります。
掛け捨て型保険の最大の欠点は、少ない保険料で、もしものとき、まとまった保障が受けられる反面、元気でピンピンしている人は出資するだけで終わってしまうという点です。
そのため、この保険を「不幸クジ」と呼ぶ人もいます。死亡したり、病気やけがで入院したりした人だけが、残念ながら「当たり」になるからです。
私が「保険は必要最低限に」と申し上げる背景には、掛け捨て型保険などに入らなくても想像以上に守られているという事実もあるからです。 世帯収入の多くを稼いできた夫が亡くなった場合は、夫の厚生年金から遺族年金が出ます。住宅ローンを残して死去した場合、残債は帳消しになります。病気やけがで一定額以上の費用がかかった場合は、健康保険の「高額療養費制度」が使えます。