老後2,000万円問題へどう対策する?

『すごい!家計の自衛策』から一部抜粋
(本記事は、清水 克彦氏の著書『すごい!家計の自衛策』=株式会社小学館、2021年1月28日発行の中から一部を抜粋・編集しています)

2019年のことになりますが、金融庁の金融審議会がまとめた報告書で、「老後 2,000万円問題」が国会で大騒ぎになったことがあります。
収入を年金に頼る世帯では、老後を生きるために2,000万円の資金が必要になるという問題です。

その狙いは、老後の経済不安をあおり、皆さんを投資に向かわせることにありま した。
そこで注目を集めたのが、個人型確定拠出年金の「iDeCo」でした。

それまで勤務している会社に制度がある人しか利用できなかった「企業型確定拠出年金」に加えて登場した個人型確定拠出年金、略称「iDeCo」は、公務員や専業主婦も利用でき、月々5,000円から1,000円単位で一定の額を支払い、投資信託か定期預金を積み立てて、これを老後に受け取るという金融商品です。

その最大のメリットは、節税しながら投資信託の積み立てができる点です。
毎月の掛け金が全額所得控除になるほか、運用中に出た利益も非課税になりますから、1,000万円の人のような高所得者には有利な商品と言えるかもしれません。

「コツコツ積み立てられて節税もできる」 「共働きのわが家は所得税がしっかり取られる。『iDeCo』に入って税金の一部を取り戻しつつ、老後の生活にも備えたい」
こうしたお得感が人気となったわけですがデメリットもあります。いくつか列記しておきましょう。

「iDeCo」のデメリット
・手数料が高い=「申し込み手数料」に加え「加入者手数料」「運営管理手数料」、そして「還付手数料」が取られる。

・60歳まで引き出せない=「子どもの学費に」など、急にまとまったお金が必要になっても引き出せない。

・制度が変更になる
2022年5月からは六五歳まで加入できるように制度が改正される。
そうなると、60歳で受け取りを始めると再加入できなくなる。再加入できなければ、「老後資金の積み増しになる」「運用益が非課税なのはありがたい」といったメリットも使えなくなる。

・節税効果が少ない=納税していない専業主婦には節税メリットがない。
住宅ローン控除や医療費控除など節税の恩恵を受けている人も節税効果が低くなる。

・投資なので元本割れのリスクがある=投資商品なので損をしない保証はない。

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