債券型投資信託とは?メリット・デメリットや個別債券との違い

投資信託にはさまざまなタイプの商品がありますが、債券型は具体的にどのような金融商品なのでしょうか。そこで本記事では、債券型投資信託のメリットとデメリット、他の金融商品との違いを分かりやすく解説します。

投資信託と債券の概要

債券型投資信託は、主に債券で運用している投資信託のことです。まずは事前知識として、投資信託と債券の概要を確認していきましょう。

債券とは

債券とは、国や企業などが資金調達を目的として発行するものです。債券を購入した投資家は、発行元にお金を貸す代わりに利息を受け取れます。

債券にもさまざまな種類があり、発行元によって以下のような種類に分けられています。

<債券の主な種類>
・国債:日本政府が発行した債券
・地方債:都道府県や市区町村が発行した債券
・社債:民間企業が発行した債券
・外債:米国や欧州など、海外の国が発行した債券

上記は、それぞれの違いによってリスクの性質が異なります。そのため、債券特有のリスクを把握した上で投資を検討しましょう。

そもそも投資信託とは

投資信託とは、投資家から集めた資金でファンドを形成し、ファンドマネージャーが運用をする金融商品のことです。投資信託では、ファンドの運用成績に応じて分配金や譲渡益を受け取れます。投資信託はファンドによって運用方針が異なり、以下のような種類に分けられています。

<投資信託の主な種類>
・株式型:国内や海外の株式に投資をする
・債券型:国内や海外の債券に投資をする
・コモディティ型:原油や農作物、金、エネルギーなどに投資をする
・バランス型:さまざまな資産にバランスよく分散投資をする

なお、投資信託は元本保証された商品ではありません。運用成績によっては損をするリスクもあるため、購入するファンドは慎重に選ぶことが大切です。

債券型投資信託とは

債券型投資信託とは、投資先が主に債券で構成された投資信託のことです。

もともと債券は株式よりも値動きの変動率が緩やかな傾向があるため、債券型投資信託もリスクを相対的に抑えやすいといった特徴を持ちます。 ただし、債券にもさまざまな種類があるため、実際のリスクはファンドによって異なります。

実際の商品には、「国内債券」や「米国債券」、「先進国債券」など多様な種類があります。ご自身のポートフォリオとリスク許容度に合わせて、投資を検討してみましょう。

債券型投資信託のメリット

ここからは、債券型投資信託に投資するメリットを見ていきましょう。

メリット1.幅広い分散投資が期待できる

個別債券への投資に比べると、債券型投資信託は幅広い銘柄に分散投資することでリスク分散を行えます。異なる特性の債券を組み合わることで、相対的に損失のリスクを抑えやすくなります。

ただし、国際型の投資信託では、為替ヘッジを行わない場合、為替変動リスクを抱えることになるため、一般的には国内型の方がリスクを把握しやすいといえるでしょう。

メリット2.運用をプロに任せられる

前述の通り、投資信託はファンドマネージャーが運用する金融商品です。運用をプロに任せられるため、目論見書などの資料を確認することで個別債券を細かく分析する手間を省くことができます。

メリット3.少額から投資できる

個別債券に投資をする場合は、少なくとも1万円程度の資金が必要です。さらに海外や企業の債券では、申し込み単位が10~100万円以上に設定されているケースもあります。

その点、債券型投資信託は数百円から購入できる上に、1万円を用意すればさまざまなファンドが投資対象になります。少額から投資を始めることで以下のメリットも得られるでしょう。

<少額投資のメリット>
・分散投資を行いやすい
・相対的に損失のリスクを抑えやすい
・NISAやiDeCoを活用できる

債券投資に興味がある人は、債券型投資信託への投資から検討してみましょう。

メリット4.NISAの対象商品に含まれている

債券型投資信託は、税制優遇制度であるNISA(ニーサ)の対象商品にも含まれています。そもそもNISAとは、非課税になる投資枠までの運用益が課税されない税制優遇制度です。成人を対象にしたNISAは、以下の2つに分けられています。

一般NISA:毎年120万円まで、最長5年間の非課税措置を受けられる
つみたてNISA:毎年40万円まで、最長20年間の非課税措置を受けられる

一般NISAについては、2024年から「新NISA」への変更が予定されています。従来のNISAとは非課税投資枠や買付方法などの仕組みが異なるので、2024年以降に始める人は新制度を確認しておきましょう。

上記の他にも未成年を対象にしたジュニアNISAがありますが、2023年末で廃止になる予定になっています。

また、2022年12月12日に政府・与党が上限1,500万円、年間の積立額は3倍の120万円、非課税となる期間は無期限となる新しい積立型のNISA制度を設けようとしている、と報道されました。ただし、現時点ではこちらの制度内容は正式に決定していないため、今後の法改正が発表されるのを待ちましょう。

メリット5. iDeCoの対象商品に含まれている

iDeCo(イデコ)にも債券型投資信託が対象銘柄に含まれています。そもそもiDeCoとは、国民年金基金連合会が実施する、年金資産を積み立てるための制度のことです。あらかじめ設定した掛金を毎月拠出し、その資金を使って金融商品を運用できます。

国民年金の被保険者が対象(※サラリーマンや公務員も含む)であり、加入すると以下の節税効果が生じます。

拠出時:掛金が所得控除の対象になる
運用時:運用益が非課税になる
給付時:一時金には退職所得控除、年金には公的年金等控除が適用される

なお、原則60歳までは資産を引き出せないため、毎月の掛金は慎重に設定することが大切です。

金融機関によって取扱商品は異なりますが、NISAとiDeCoでは国内型・国際型の債券型投資信託を取引できます。いずれも節税効果がある制度なので、投資を始める前には詳細な条件を確認しておきましょう。

メリット6.利回りの高い海外債券に投資できる

2022年11月25日時点で、日本10年国債の利回りは0.25%であるのに対して、米10年国債は3.67%のように高い利回りになっています。この利回りの上昇は、米国の中央銀行による利上げが影響しています。その国も中央銀行の利上げを行なっているので、その影響で利回りが上昇している債券もある状況です。

このような利回りが高い海外債券に間接的に投資できるのも投資信託の魅力でしょう。

債券型投資信託のデメリット

こからは、債券型投資信託の2つのデメリットを紹介します。

デメリット1.元本保証された商品ではない

他の金融商品に比べると債券型投資信託はリスクを抑えやすいですが、元本保証された商品ではありません。債券の発行元がデフォルト(債務不履行)に陥ったり、満期償還日を迎えずに中途解約したりすると、損失が発生することもあります。

そのため、投資の前にはファンドの運用方針を確認して、リスクを把握しておきましょう。

デメリット2.手数料や費用がかかる

債券型投資信託の運用には、以下のような手数料や費用がかかります。

○債券型投資信託の手数料・費用
・購入時手数料
・信託報酬(運用管理費用)
・監査報酬
・売買委託手数料等
・信託財産留保額 など

(※ファンドによってはかからないものもある。)

普通分配金や譲渡益によってリターンがプラスであっても、手数料や費用によって赤字になることがあるため、債券型投資信託を購入する前に必ず確認しておきましょう。

債券型投資信託が向いている人・向いていない人

ここまでの内容を踏まえて、以下では債券型投資信託への投資が向いている人と向いていない人をまとめました。

債券型投資信託が向いている人 債券型投資信託が向いていない人
・少ない金額で分散投資をしたい人
・プロに運用を任せたい人
・相対的にリスクを抑えて投資したい人
・少額から投資を始めたい人
・短期間で大きな利益を狙いたい人
・資産運用にコストをかけたくない人
・余剰資金がない人
・少しでも損するのが嫌な人

債券型投資信託は、少ない金額で分散投資をしたい人や、少額から投資を始めたい人に向いています。信託報酬などの費用はかかりますが、運用をプロが行なっているなどのメリットがあります。

一方で、短期間で大きなリターンを狙いたい人や、余剰資金がない人には向いていません。

債券型投資信託は、ポートフォリオに加えることで相対的にリスクを抑えやすくなるため、資金の一部を投資することも検討してみましょう。

リスクを抑えるために債券型投資信への投資を検討しよう

債券型投資信託は、相対的にリスクを抑えながら資産運用をしたい人に向いている金融商品です。ただし、金利上昇や国際型の投資信託の場合は為替変動のリスクなどもあるので、投資の前には情報収集や分析が必要になります。元本保証がないことを理解した上で、投資の目的に適したファンドを選びましょう。

※上記は参考情報であり、特定企業の株式の売買及び投資を推奨するものではありません。

※本記事は投資に関わる基礎知識を解説することを目的としており、投資を推奨するものではありません。

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