株価の暴落は正確な予測が困難で、対応が遅れると大きな損失につながる恐れがあります。いつ暴落しても素早く動けるように、正しい対応は常に考えておかなければなりません。
そこで本記事では、過去の株価が大幅に下落した事例から対処法を解説します。
目次
株価暴落はいつ起こる?過去の事例と近年の傾向
まずは、過去に株価が大幅に下落した代表的な事例を紹介しましょう。
株価暴落の事例 | 概要 | 主な要因 |
---|---|---|
ブラックマンデー | 1987年に、1日でNYダウ平均株価が22.6%下落し、全世界に波及した。 | ・米国の財政赤字 ・自動売買システムによる売却の加速 |
バブル崩壊 | 1990年に、日経平均株価の大幅な下落を引き起こした。 | ・異常なバブル景気の崩壊 ・公定歩合の引き下げ |
リーマンショック | 2008年に、世界的な株価下落、金融不安を引き起こした。 | ・米国の証券会社の経営破綻 ・世界的な金融不安 |
近年では、2020年には新型コロナウイルスの影響で世界的に株価が一時的に下落したコロナショックが発生しました。順調に成長を遂げていた米国市場も、利上げへの懸念やウクライナ侵攻などが要因となり、2022年からは下落傾向が続いています(※2022年5月現在)。
株価の暴落時に考えたい3つの対応策
株価の大幅な下落には何らかの要因がありますが、必ずしも予兆があるとは限りません。だからこそ、株式投資では常に株価の動きを意識して、対応策を考えておく必要があります。
そこで以下では、株価の大幅な下落を乗り切る3つの方法を紹介します。
チャンスと捉えて株を購入する
株式投資で利益を出すには、「安く買って高く売ること」が基本になります。株価が大幅に下落した株式には割安感が強い銘柄もあるので、株価が企業の評価よりも下落したときには購入のチャンスになる場合があります。
ただし、市場全体の下落トレンドは数年続くケースもあるため、銘柄は慎重に選ぶことが大切です。株式の購入前には予想に反して株価が下落した場合を見越して、適切な損切り(※)の価格帯やタイミングを設定しておきましょう。
(※)購入した銘柄が購入時より下落した場合に売却すること。
長期目的の保有銘柄は焦らずに持ち続ける
長期保有を前提として購入した株式は、予想よりも株価が下落しても焦らず持ち続けることを考えましょう。業績を順調に伸ばしている企業の銘柄であれば、一時的な下落が落ち着いた後に再び上昇トレンドに切り替わることが期待できます。
例えば、リーマン・ショックの際には多くの銘柄が大幅に下落したものの、市場全体で見れば5年間で元の水準まで回復しました。特に連続増配や高配当の銘柄は、保有期間が長いほどメリットが大きくなるので、まずは持ち続けることから検討してみましょう。
ただし、株価が下落したまま以前の水準まで戻らない可能性も考慮して、定期的に各銘柄の評価を見直し、本当に保有を続けても問題ないのか確認する必要があります。
市場が落ち着くまで静観する
株価が短期的に大幅な下落が起きた場合は、リスクを少しでも抑えるために株式の売買を控えることもひとつの選択肢になります。市場全体のトレンドは簡単に切り替わるものではないため、静観を続ければさらに大きなチャンスが訪れるかもしれません。
また、株式を購入するタイミングを分散させて少額ずつ買い増す方法も、株価が大幅に下落しているときに使える手段のひとつです。暴落と同じように、投資のチャンスもいつ訪れるのか分からないため、常に余力は残しておきましょう。
投資家が暴落に備えるために必要な考え方
ここからは、株価が大幅に下落したときに意識したい2つの考え方を紹介します。
状況を冷静に受け止めて分析する
株価が予想よりも大幅に下落したときは、株式の評価額が大きく減るため、保有中の銘柄を慌てて売却してしまうことがあります。このような事態に陥った際は、冷静に状況を判断する必要があります。
例えば、株価の下落を想定しつつ「○○円まで下がったら売り注文を入れる」「○○円まで下がったら買い注文を入れる」とルールを事前に設定しておけば、値動きが激しくても売買の判断が迷いにくくなります。
どのような相場であっても、売買どちらの注文の前には十分な情報収集と分析が大切です。感情的な判断で売買のタイミングを決めると、事前の情報収集などで避けられた可能性の高い失敗を招くので、株価の下落時には常に冷静な判断を心がけましょう。
ためらわずに損切りをする
保有中の銘柄が下落してから購入時の株価に戻らないと判断した場合は、ためらわずに損切りしましょう。株価の下落中に判断が遅れると、想定以上の損失を負ってしまう恐れがあるためです。
保有にこだわり過ぎると、資金の大部分を失ってしまうリスクもあるので、損切りラインに達したら機械的に約定することを意識しましょう。
長期保有が前提の銘柄を選ぶ
どうしても株式の売買を感情的に判断してしまう方は、大きな値動きがあっても安定したリターンを期待できる銘柄への投資を検討しましょう。
例えば、業績が順調に成長している連続増配銘柄や高配当銘柄は、長期保有によって収益率が安定化しやすくなり、株価が上がらなくても継続的な配当金によるリターンを期待できます。
暴落の対応は普段から考えよう
株価が大幅に下落するときには予兆がない場合もあるため、普段から対応策を準備しておくことで、どのような相場でも冷静な投資判断を下せます。過去の事例を参考にして、ご自身の投資スタイルに合った対応策を今から考えておきましょう。
※本記事は投資に関わる基礎知識を解説することを目的としており、投資を推奨するものではありません。
※過去の実績は将来の運用成果等を保証するものではありません。