一般的なサラリーマンでも節税ができる方法がいくつもあります。適切な節税によって手元に残せる資金が増えることで、人生の選択肢を広げることができます。
そこで本記事では、サラリーマンが今すぐ実践できる節税対策をまとめました。効果的な節税を早めに実践し、将来のための資産形成に役立てていきましょう。
目次
最適な節税対策を見極めるには、税金の知識をつけておく必要があります。そこでまずは、一般的なサラリーマンが負担する税金の種類(※社会保険を含む)をまとめました。
種類 | 概要 | |
---|---|---|
税金 | 所得税 | 課税所得に応じて発生する税金。累進課税が採用されており、所得が多いほど税率が高くなる(5%~45%)。 |
復興特別所得税 | 東日本大震災からの復興を目的として、2037年まで徴収される税金。所得税の2.1%相当額が源泉徴収される。 | |
住民税 | 都道府県や市区町村に対して支払う税金。一般的な税率は10%程度に設定されている。 | |
保険会社 | 健康保険 | 国民健康保険の代わりに、サラリーマンが加入する公的な保険制度。住んでいる地域や加入する保険によって負担率が異なる。 |
厚生年金保険 | 国民年金保険の代わりに、サラリーマンが加入する年金制度。保険料率は18.3%ですが、事業主と被保険者とが半分ずつ負担するため、加入者の負担率は9.15%となる。 | |
雇用保険 | 雇用環境を安定させるために加入する社会保険。保険料率は0.3~0.4%程度だが(※2022年時点)、時期や業種によって割合が異なる。 | |
介護保険 | 40歳以上のサラリーマンに加入が義務づけられている社会保険。2022年時点での保険料率は0.9%(※協会けんぽの場合)。 |
基本的にサラリーマンの節税手段は、控除によって所得を減らすことで上記の税金などを減らす方法に限られます。
ここからは、サラリーマンが今すぐできる節税対策を紹介します。状況によって適した節税対策は異なるので、節税の目的や家計状況などを踏まえ、自身に合う節税対策を選びましょう。
税負担を抑えられる所得控除・税額控除の多くは、自身で申告をしなければ適用されません。申告のし忘れは珍しい話ではないので、まずは各種控除の制度を確認しておきましょう。
○申告が必要になる控除制度の例
・住宅ローン控除
・保険料控除(生命保険料や地震保険料)
・医療費控除
・株式投資などの繰越控除
・特別支出控除 など
それぞれの控除制度を簡単に解説します。
-住宅ローン控除
マイホームを一定の条件のローンを組んで購入または建築、省エネやバリアフリーなど特定の改修工事を行う場合、年末のローン残高に応じて控除できる制度です。
-保険料控除(生命保険料や地震保険料)
税金の負担を軽減できる所得控除のひとつです。民間の生命保険や地震保険料などに加入している契約者本人が、支払った保険料を税務署に申告することで、所得税や住民税を軽減できる場合があります。
-医療費控除
1年間に10万円以上の医療費を支払った場合に利用できる控除です。医療費控除は、「確定申告書」と「医療費の明細書」を作成して税務署に提出する必要があります。
-株式投資などの繰越控除
上場株式などの譲渡損の中から、その年の譲渡益から控除できなかった損失を、毎年の確定申告によって、最大3年間繰り越すことができ、繰り越した年の株式などの譲渡益などを控除することができる制度です。
-特別支出控除
サラリーマンを含め、業務にかかる支払いが多い場合に控除できる制度です。通勤費や転勤による引っ越しに関わる費用で個人が支払った支出などが対象になっています。
また、医療費控除をはじめ、控除制度には世帯全体が対象になるものも存在します。自分以外の身内が要件を満たしている可能性もあるので、扶養家族の状況まで確認することが大切です。
ふるさと納税は、事前の手続きによって希望する自治体に納税できる制度です。自己負担として2,000円がかかりますが、「自己負担分を超えた全額」もしくは「所得金額等×40%-2,000円」が寄附金控除の対象になります。
ふるさと納税は、税金を他の自治体で負担する制度なので、数年間トータルで見た場合の節税効果はほとんどありません。ただし、寄附先の自治体から返戻品が送られてくるため、返戻品に自己負担分の価値があれば、経済的なメリットを得られます。
デメリットとしては、ふるさと納税が翌年の住民税や所得税を控除する仕組みのため、出費が先になる点が挙げられます。
iDeCoとは、国民年金や厚生年金とは別に加入できる私的年金制度のことです。事前に決めた掛金を毎月拠出し、貯めた掛金を使ってさまざまな投資商品(投資信託や保険など)を運用できます。
iDeCoのメリットは、以下の3つのタイミングで節税効果を受けられる点があります。
○iDeCoの節税効果
拠出時:毎月支払うすべての掛金に所得控除が適用される。
運用時:すべての運用益(譲渡益や分配金など)が非課税になる。
給付時:公的年金等控除または退職所得控除が適用される。
ただし、iDeCoで積み立てた掛金や運用益は、原則として加入者が60歳になるまでは引き出せません。拠出額が増えるほど自由に使えるお金が減ってしまうので、毎月の掛金は慎重に設定しましょう。
資産運用と節税を両立させたい方は、一般NISAやつみたてNISAの利用を検討しましょう。NISAは個人投資家のために実施されている税制優遇制度であり、非課税投資枠内の投資で得られた利益(譲渡益・分配金・配当金)はすべて非課税となります。
項目 | 一般NISA | つみたてNISA |
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非課税投資枠 | 年間120万円 | 年間40万円 |
非課税期間 | 最長5年間 | 最長20年間 |
対象商品 | 株式や投資信託、REITなど | 長期積立や分散投資に適した一部の投資信託 |
商品の買付方法 | 通常の買付、積立投資 | 積立投資のみ |
これらのNISAは投資で利益が出た場合に節税効果を期待できますが、損失が出た場合は通常の投資で使える損益通算の対象外というデメリットがあります。損益通算とは、株式投資などによる損失と所得を相殺して、所得を減らすことで税金を減らすことで税負担を減らせる制度のことです。
なお、一般NISAは2023年末に廃止されることが決まっており、2024年からは「新NISA」と呼ばれる新たな制度が始まります(※つみたてNISAは継続)。従来の制度とは仕組みが異なるので、2024年以降にNISAを始める方は詳細をチェックしておきましょう。
節税効果はありませんが、住民税などをクレジットカードで支払えば、金額に応じたポイントが付与されるため、ポイントを生活費の足しにすることができます。
以前は地方税のみが対象でしたが、2017年以降は国税(所得税など)もクレジットカードで支払えるようになりました。ただし、自治体によってはクレジット払いが認められないケースもあるので、お住まいの地域に関する情報は事前にチェックしておきましょう。
控除制度やふるさと納税、サラリーマンの節税対策は意外と多くあります。資産運用に興味がある場合は、税制優遇制度であるiDeCoやNISAも選択肢に入るでしょう。
ただし、iDeCoやNISAは投資にあたるため、運用方法によっては元本割れを引き起こすリスクがあります。運用益が非課税になる点は大きな魅力ですが、投資商品を取引する前には十分な情報収集と分析を徹底しましょう。
※税務の詳細はお近くの税理士や公認会計士にご相談ください。