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少額投資をやる意味がない人とは? メリット・デメリットを検証

「初めての投資では、少額から始めたい」という人は多いはず。インターネット上では「少額投資は意味がない」という意見もありますが、「少額投資が意味ない人はどのような人か」「自分にとって少額投資は意味があるのか」を考えてみましょう。

今回は少額投資のメリットとデメリットを紹介しつつ、少額投資が向いている人と向いていない人について見ていきます。

少額投資とはどのような投資方法なのか

今回お話をさせていただく少額投資とは、数百円から数千円の「生活に影響がない程度の金額」で投資を行うことと定義してご説明させていただきます。

少額でも時間をかけると大きく積み上がる

少額の投資と言っても、3,000円を毎月積み立てていくと1年で3万6,000円、5年で18万円、10年で36万円になります。毎月5,000円なら5年後には30万円、1万円なら10年後には120万円になります。

少額投資を定期的に継続する積立投資を行うと、1回あたりは少額でも、積み立てを継続することで資金が貯まるため、運用の効果も大きくなります。

少額投資は長く続けることで複利効果を期待できる

複利とは、運用で得た利益を元本に組み込んでいくことです。次第に元本が増えていくため、長く続けるほど効果が高まります。

例として、年利4%で複利運用した場合の10年後と20年後の積立資産額を計算してみましょう。

<積立額3,000円の運用シミュレーション[利率4%・1年複利]>

経過年数 累計積立額 積立資産額(元本+利息)
1年 3万6,000円 3万6,667円
5年 18万円 19万8,897円
10年 36万円 44万1,749円
20年 72万円 110万0,324円

<積立額5,000円の運用シミュレーション[年利4%・1年複利]>

経過年数 累計積立額 積立資産額(元本+利息)
1年 6万円 6万1,112円
5年 30万円 33万1,495円
10年 60万円 73万6,249円
20年 120万円 183万3,873円

<積立額1万円の運用シミュレーション[年利4%・1年複利]>

経過年数 累計積立額 積立資産額(元本+利息)
1年 12万円 12万2,225円
5年 60万円 66万2,990円
10年 120万円 147万2,498円
20年 240万円 366万7,746円

※いずれも運用利率4%が変動なく20年続いた場合で、手数料や税金等は考慮せずに計算

少額投資のメリットとデメリット

少額投資には、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。

少額投資のメリット

まずは、少額投資を選択するメリットから見ていきましょう。

-無理のない金額だから継続できる

少額投資、積み立てを続けて運用することで複利効果を得られることがわかりました。積立期間が長くなるほど複利効果が高まりますが、その間にはさまざまな環境の変化が起こります。

収入や家族構成が変わるだけでなく、住宅ローンや教育費などの負担によって、大きな金額を投資するのが難しい時期もあるでしょう。しかし、少額投資ならば生活への影響が小さいため、無理なく続けられます

-リスク軽減効果が期待される

投資にはリスクがつきものですが、工夫によって抑えることができます。そのひとつが、分散投資です。

定期的に少額を投資することで投資タイミングを分散でき、価格変動リスクの軽減効果が期待されます。毎月の投資額を定額にすれば、高値のときは少なく、安値のときは多く購入することになるため、平均購入価格を下げる効果もあります(ドル・コスト平均法)。

-投資の勉強に向いている

運用のコツをつかむためには、投資の勉強が不可欠です。損失が出ても勉強代だと割り切れる程度の少額投資ならさまざまな方法を実践できる上に、スキルアップにもつながります。

少額投資のデメリット

「少額投資には意味がない」と考える人は、以下の点をデメリットと捉えているのではないでしょうか。

-利益が出るまで時間がかかる

少額投資は無理のない金額で長く投資を続けることで、10年後や20年後にまとまった利益が期待できる投資方法なので、すぐに利益が欲しい人には向きません。

-利益が小さい

少額投資は、小さな運用利益を積み重ねていく投資方法です。そのため、「急成長した企業の株式を売却して、大きな売買差益を得たい」と考える人には物足りないでしょう。

-手数料が高い

投資では、さまざまな手数料がかかります。少額投資を始めて間もない頃は利益が少ないため、手数料が重く感じることもあるでしょう。

手数料の有無や金額は、販売窓口となる金融機関や投資商品によって異なります。金融機関の公式サイトや投資商品の銘柄情報などで、事前に確認しておきましょう。

-税金が高い

運用で得た利益には、20.315%の税金がかかります。例えば、10万円の利益が出た場合は約2万円の税金がかかり、他に手数料などがない場合の実質利益は約8万円です。同じ条件で利益が5,000円だった場合は約1,000円の税金がかかり、実質利益は4,000円を切ってしまいます。

NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)は、長期の積立投資に適した非課税制度です。それぞれ特徴が異なりますが、運用利益が非課税になる点は同じです。自分の投資スタイルや目標に合わせて検討するとよいでしょう。

少額投資が向かない人と向いている人

ここまでの話で、メリットとデメリットは表裏一体であることに気づいた人も多いのではないでしょうか。同じ事柄でも、視点を変えるとメリットとデメリットが入れ替わることがあります。

このことを踏まえて、少額投資が向かない人と向いている人について考えてみましょう。

少額投資が向かない人

繰り返しになりますが、少額投資は「無理のない金額の積立投資を長く続けることで資産運用を行う」という投資方法です。よって、以下のような人には向きません。

・早く大きな利益を得たい人
・少額であっても資金繰りが難しい人
・長く続けることができない人

また、「投資資金が豊富」な人も少額投資には向きません。

-投資資金が豊富な人が少額投資に向かない理由

月々1万円の積み立てを20年続けると、累計元本額は240万円になります。一方、最初から240万円を投資して同じ運用利率で20年間運用した場合、その利益は積立投資よりも多くなります。

「毎月1万円の積立投資」と「初月に240万円を一括投資」の20年後の資産額を計算してみましょう。

<積立投資と一括投資の比較[年利4%・複利]>

経過年数 毎月1万円積立投資 初月240万円一括投資
初月 1万円 240万円
1年後 12万2,195円 248万7,989円
5年後 66万1,839円 291万581円
10年後 146万7,075円 354万1,121円
15年後 244万6,759円 430万8,269円
20年後 363万8,699円 524万1,629円

※運用利率4%が変動なく20年続いた場合で、手数料や税金等は考慮せずに計算

少額投資は、長期・分散・積立投資を無理なく続けるための投資方法です。投資資金が豊富な人には、少額投資以外の選択肢がたくさんあります

ただし、投資先を1つに絞るとリスクが高まります。投資先を分散しておけば、そのうちの1つで損失が出ても、他の投資先が好調ならトータルで利益が出るかもしれません。大きな資金があっても、投資先を分散することでリスクを抑えることが期待できるのです

少額投資が向いている人

少額投資が向いている人は、少額投資の特徴をメリットと感じる人です。

・無理のない金額で投資をしたい
・なるべくリスクを抑えたい
・大きく増えなくても構わないから安定した利益が欲しい
・投資をコツコツと長く続け、将来のために備えたい
・実践しながら投資の勉強をしたい

具体的には、老後資金など将来の資金形成を目的としている人が向いています。「増えた分はごほうび」と考えて、旅行費用や趣味の費用の足しにするのもよいでしょう。投資初心者や未経験者の「最初の投資」も、少額投資なら安心です。

少額投資ができる金融商品

では、少額投資に向く金融商品にはどのようなものがあるのでしょうか。

投資信託の積立投資

投資信託とは株式や債券など複数の投資商品を組み込んだパッケージ商品のことで、「ファンド」とも呼ばれます。組み合わせや運用方針によってさまざまな種類があり、少額からの長期・分散・積立投資に適した商品も多くあります。

投資信託は、価格(基準価格)にかかわらず任意の金額で始められます。最低投資金額は金融機関によって異なりますが、「1,000円から」「100円から」というところもあります。

株式の単元未満株投資

株式は基本的に100株単位で取引されるため、ある程度まとまった資金が必要です。

しかし1株など、単元未満株で取引できる金融機関もあり、「いちかぶ」「ミニ株」などと呼ばれています。株式の銘柄の中には、株価が数百円のものもあります。少額投資ができる銘柄の中から、応援したい企業を探してみるのもよいでしょう。

少額投資は「自分にとって意味があるのか」を考えよう

資産運用にはさまざまなスタイルがあり、それぞれの環境や投資目的によって向き不向きがあります。少額投資は無理なく継続でき、長期的に安定した利益を期待できる投資方法なので、「向いている人」にとって、大きな意味があります。

※上記は参考情報であり、株式投資や債券投資、そのほかの投資を推奨するものではありません。

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