米中貿易摩擦、消費増税後の景気の落ち込み……。最近は市場の動向が不透明なせいか、幅広い銘柄に分散投資できて、値動きの荒さを抑えられるインデックス投資(インデックス投信、ETF)が人気です。たしかにインデックス投資は分散が効き、低コストのため、投資初心者が不透明な局面で投資を行うには向いているといえるでしょう。しかし資産を大きく増やすなら、時にはリスクを取って、株式投資することを検討しても良いでしょう。ここでは2019年に大きく株価が上がった銘柄について分析します。
なかにはテンバガー達成銘柄も
2019年、大型株が総じて値動きの重い展開を続ける中で、中小型株の一部は、相変わらずアクティブな動きを見せました。なかでもテンバガー(10倍以上の値上がり)をたたき出したのは自治体向け広報誌の運営を手掛けるホープ<6195>で、上昇率は1,305%でした。次いでオンライン英会話最大手のレアジョブ<6069>の1,093%です。昨年の株価値上がり率上位1~10位は、以下のようになっています。
順位 | 証券コード | 会社名 | 市場 | 値上がり率 |
---|---|---|---|---|
1位 | 6195 | ホープ | 東証マザーズ | 1,305% |
2位 | 6069 | レアジョブ | 東証マザーズ | 1,093% |
3位 | 6840 | AKIBA | 東証JASDAQ | 591% |
4位 | 6838 | 多摩川HD | 東証JASDAQ | 536% |
5位 | 1431 | リブワーク | 東証マザーズ | 482% |
6位 | 3135 | マーケットE | 東証マザーズ | 434% |
7位 | 3830 | ギガプライズ | 名証セントレックス | 420% |
8位 | 4970 | 東洋合成 | 東証JASDAQ | 392% |
9位 | 4800 | オリコン | 東証JASDAQ | 363% |
10位 | 3933 | チエル | 東証JASDAQ | 351% |
次のベスト10銘柄は何か
「たら」「れば」の話になりますが、こうした銘柄にもし投資できていたら、大きなリターンを得られたことになります。これこそ株式投資の醍醐味と言えるでしょう。そこで今年、値上がり上位になる銘柄を考える上で、まず、昨年のこのベスト10銘柄の特徴について、少し詳しく考察してみましょう。
取引所
東証マザーズが4社、JASDAQが5社、名証が1社です。東証1部2部は1つもありません。
時価総額
3位のAKIBA(約58億円)から7位のギガプライズ(約389億円)まで、いずれも小型株のカテゴリーです。(2020年1月29日時点)。小型株のカテゴリーに属する銘柄は、まとまった買いや人気が出てくることで、大型株と比較して、しばしば大きな値動きを示します。
株価上昇のきっかけ
ほとんどの銘柄で業績の上方修正、最高益更新がモメンタム反転のきっかけとなっています。業務提携や株式分割もプラス要因として働く傾向です。
こうした傾向は、本年の株価上昇銘柄を検討する上で参考にするとよいでしょう。なお、業種についても調べてみましたが、住宅関連・教育・半導体関連と幅が広く、特定業種のみに上昇した傾向があったわけではないようです。
企業研究でつかむ「投資の醍醐味」か、投資信託の利用か
インデックス投資から、より積極的な資産運用を行いたいとき、株への投資を検討するのも1つの方法です。自分で個別の銘柄研究を行い、株式投資を実践して、購入した銘柄の株価が上昇するときの喜びはひとしおです。まさに、企業研究でつかむ「投資の醍醐味」と言えるでしょう。
ただ、実際に株式の銘柄を絞り込むことは、投資初心者にとってなかなか難しいかもしれません。そういう場合は、インデックス投資から一歩進んで、アクティブ・ファンドと呼ばれる、運用者がこれだと思う銘柄にのみ投資している投資信託を検討してみるのもよいかもしれません。昨年の株価上昇銘柄に見られたような特徴をもつ銘柄にのみ投資する投資信託もきっと見つかるものと思います。