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FOMC後の金融市場の注目点

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要旨

FOMCでのハト派姿勢が株式市場に安心感をもたらす

株式市場における最大の懸念は、インフレの上振れという事態に直面するFRB(米連邦準備理事会)が早期の利上げに踏み切る兆候が出てくることでしたが、パウエル議長の発言はこの懸念を和らげる役割を果たしたと思われます。

株式市場では、雇用統計と企業業績がさらに重要性を増す展開に

私は、今回のFOMCがハト派的であったことで、今後の金融市場では、これまで以上に、雇用統計と企業業績が注目される展開になると予想します。今後の米国での就業者増加ペースがあまり上向かない場合は、景気への悪影響だけではなく、インフレ・スパイラルのリスクを織り込む形で株価に下押し圧力がかかる可能性があります。一方、企業業績については、7-9月期の業績は市場の事前予想を上回るものとなりましたが、米国株市場の今後を考えるうえでより重要なのは10-12月期決算と企業によるガイダンスです。10-12月期の決算ではエネルギー価格や賃金の上昇が企業のコスト高につながる可能性が高く、それによって企業業績が下振れるかどうかが焦点です。

FOMCでのハト派姿勢が株式市場に安心感をもたらす

11月2~3日に開催されたFOMC(米公開市場委員会)は、市場の想定よりもややハト派的なメッセージが発せられました。テーパリング(資産購入ペースの縮小)については完全に事前予想通りであり、これまでのパウエルFRB(米連邦準備理事会)議長の発言に沿った形で、11月からネット資産購入額を毎月150億ドル縮小させると決められました。これにより、10月までは財務省証券とMBSを合わせて1200億ドルであった月間のネット資産購入額が11月には1050億ドルに減額され、その後の経済情勢がFOMCの想定通りに推移する限り、購入額は2022年6月にはゼロとなります。一方で、ハト派的であったのは、利上げについての考え方です。パウエル議長は利上げについて、「今はテーパリングの時期」であり、FOMCではその議論も行われず、「時期尚早」との考え方を示しました。

今回のFOMCはグローバル株式市場に大きな安心感をもたらしたと考えられます。株式市場における最大の懸念は、インフレの上振れという事態に直面するFRBが早期の利上げに踏み切る兆候が出てくることでしたが、パウエル議長の発言はこの懸念を和らげる役割を果たしたと思われます。パウエル議長は、インフレの上振れについてこれまで「transitory(一時的)」を用いて描写してきましたが、今回のFOMC後の記者会見では、このtransitoryという言葉が、短期的(short-lived)という意味ではなく、恒久的なものでない(not permanent)という意味で使われていると述べ、短期的には供給制約の問題によるインフレが続く公算が大きいとしました。これは、当面の短期的なインフレの上振れはFRBにとって想定内であり、それ自体が利上げの実施に直結するわけではないことを示唆したと受けとめられたとみられます。

株式市場では、雇用統計と企業業績がさらに重要性を増す展開に

その一方、私は、今回のFOMCがハト派的であったことで、今後の金融市場では、これまで以上に、雇用統計と企業業績が注目される展開になると予想します。FRBが想定しているのは、現時点ではコロナ禍の影響を強く受けている労働市場で、今後就業者がしっかりと増加していくという姿です。これまでに労働力に対する需要が大きく改善したにもかかわらず、デルタ株のまん延でコロナへの不安を感じている等の理由から、就業者数の回復ペースは緩やかになっています。この点が今後改善されて就業者が増加していけば、労働力不足による賃金の上振れが落ち着くとともに、供給制約の問題も解消され、インフレは2%強の水準に落ち着いていくというのが、FRBが描くメインシナリオと思われます。ただし、今後、就業者の増加が想定通り進まなければ、労働市場がよりタイトになり、賃金上昇がインフレを加速させて高インフレが常態化するというスパイラルが生じかねません。その場合には、FRBは早期の利上げによって景気を冷やさざるを得ません。今後の米国での就業者増加ペースがあまり上向かない場合は、景気への悪影響だけではなく、インフレ・スパイラルのリスクを織り込む形で株価に下押し圧力がかかる可能性があります。

他方、企業業績の行方は米国株市場をこれまで以上に左右するでしょう。今回のFOMCでは、FRBが利上げに慎重な考え方であることが明らかになり、インフレのある程度の上振れが容認された形となりました。これは、現在のコスト・プッシュ型のインフレに対して、すぐに有効な手が打たれないことを意味しています。セクターによって、あるいは個別の企業にとっては、コスト高によるインフレが企業業績に及ぼす悪影響が強まるリスクがより強く意識される環境になったと言えます。7-9月期の米企業の決算では、市場における事前予想を上回るケースが相次ぎました。このところの米国株式市場の活況は、足元での業績の強さへの安心感が先導している面が強いと思われます。しかし、米国株市場の今後を考えるうえでより重要なのは10-12月期決算と企業によるガイダンスです。10-12月期の決算ではエネルギー価格や賃金の上昇が企業のコスト高につながる可能性が高く、それによって企業業績が下振れるかどうかが焦点になると予想されます。雇用が大きく増加し、供給制約が和らげば業績が好調を維持し、株価のサポートにつながる一方、雇用があまり増加せずに供給制約が強まれば業績が下振れ、株価調整圧力につながります。私が想定するメインシナリオは前者(雇用の拡大とともに供給制約が改善する)のシナリオです。10-12月期の企業業績の発表は2022年1月以降ですので、当面は雇用統計に注目したいと思います

木下 智夫
グローバル・マーケット・ ストラテジスト

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