FXは、通貨同士の売買で利益を狙う取引です。「FXで大きく儲けた」という話と「FXで破産寸前になった」という話があるため、興味はあっても手を出せずにいるという人もいるのではないでしょうか。
今回はFX初心者に多い失敗パターンと、そこから成功に転ずるための対応策を紹介します。
目次
投資には、「ある程度まとまった資金が必要」というイメージがあります。
しかし、FX投資は比較的少ない資金で始めることができます。実際の資金額以上の取引ができるため、少額投資でも大きな利益を狙えるのです。また、FXなら基本的に平日は24時間いつでも取引ができるため、それぞれのライフスタイルに合わせやすいことも魅力のひとつです。
そのため初心者でも始めやすいのですが、一方で「初心者ならではの失敗談が集まりやすい」ともいえます。まずは、よくある失敗パターンを見てみましょう。
抱えている含み損を確定することを「損切り」といいます。例えば、100円で購入した通貨が値下がりして99円になったとき、それ以上安くなる前に売却する。これが損切りです。
つまり、その時点で「損失が確定」する注文を出すというわけです。
「もう少し待てば、持ち直すかも」「売った直後に上がるかも」「前に上がったことがあるし」などと考えて、ずるずると決断を先延ばしにしているうちに損失が広がってしまうというのはよくある話です。
FXの正式名称は「外国為替証拠金取引」で、証拠金(保証金)を担保に少ない資金で大きな金額の取引ができるのが特徴です。これを「レバレッジ(てこの原理)をかける」といいます。
例えば手持ち資金が10万円の場合、「レバレッジなし」だと10万円分の取引しかできませんが、「レバレッジ25倍」ならば10万円×25=250万円分の取引ができます。10万円を投資して5万円の利益が出たとすると、レバレッジが25倍なら125万円の利益が出ていたことになります。
ただし、損失についても同じことがいえます。レバレッジなしならば少額の損失で済みますが、レバレッジが25倍なら損失も25倍になるのです。
ポジポジ病とは、早く利益を得たいという気持ちや損失を取り戻したいという焦りから、頻繁に取引をしてしまうことです。例えば「常にポジションを持っていないと不安を感じる」といった状態は、初心者が陥りやすいため注意が必要です。
ポジションとは、未決済のまま持っている通貨のことです。FXは値動きが激しいため、ひと晩明けたら大暴落なんてことも。長期戦略など目的があって保有しているのなら別ですが、「何となく保有していたい」といった理由で持っているくらいなら、決済しておいたほうがよいでしょう。
ロスカットとは、証拠金維持率が一定以下になると強制的に保有ポジションが決済される仕組みのことで、取引をしているFX会社によって行われます。その時点で損失が確定しますが、損失の拡大を避けるための重要な仕組みです。
ただし、ロスカットは証拠金額の減り具合に応じて、そのFX会社で保有しているすべてのポジションが強制的に決済されることに注意が必要です。有利なポジションまで決済されて、利益を伸ばすチャンスを逃す可能性もあるからです。
通貨の価値がどのように変わるかを正確に予測することはできません。しかし変動には理由があるため、情報を収集し分析することで、予測の精度を上げることはできるでしょう。FX投資で利益を得るためには、損失を含めて経験を積み、試行錯誤を重ねることも大切です。
「一か八か」「運任せ」では、たまたま利益が出ることはあっても長くは続かないでしょう。
投資は、余剰資金で行うのが鉄則です。余剰資金とは、「生活資金」「緊急用資金」「目的があって貯めている預貯金」以外の、日常生活に影響しない資金のことです。
余剰資金以外のお金を使ってしまうと、将来自分や家族が困ることになります。また、「減らすわけにはいかない」という思いが冷静な判断の妨げになるおそれもあります。
必ず、「減っても生活に影響しないお金」だけを使うようにしましょう。
FX投資で利益を狙うということは、一定の損失も容認するということです。
その上で、「トータルで利益を出すこと」を考えます。利益確定と損切りを繰り返しながらも、最終的に口座のお金が増えていれば勝ちなわけです。そのためには、とにかく1回あたりの損失額を小さく抑えることが重要です。
ここからは6つの失敗を踏まえて、損失を回避するための対策を考えていきましょう。
まずは、「どんなときに買うのか」「どうなったら売るのか」といった取引のルールをしっかり決めておくことが重要です。ルールを決めていないと「何となく」で売買注文を出すことになり、運任せのギャンブルになってしまいます。
ルールを決めたら、それを必ず守ることが大切です。例外はなしです。感情に流されて判断するのではなく、ルールに則って機械的に判断することが、上級者への近道です。
ルールを守るために、注文システムを利用するとよいでしょう。例えば、「損切り」には以下のような注文方法を活用できます。
-逆指値注文
指値注文には、「指値注文」と「逆指値注文」があります。指値注文とは、「価格が高くなったら売る、低くなったら買う」、逆指値注文は「価格が高くなったら買う、低くなったら売る」というものです。
例えば、100円で購入した通貨の損切りルールを「99円になったら売る」と決めた場合、99円で逆指値注文を出しておけば、自動的に損切りができるというわけです。
-OCO注文
OCOとは「One side done, then Cancel the Other」の略です。2つ注文を出しておき、どちらかが約定したらもう一方はキャンセルされるというものです。
例えば、100円で購入した通貨について「101円になったら売りたい(利益確定)」と「99円になったら売りたい(損切り)」という2つの注文を出すことができます。つまり、利益確定と損失回避の両方に備えることができるわけです。
それぞれが独立している指値注文と逆指値注文を併用するよりも、どちらかが実行された場合、もう一つが自動的にキャンセルされるOCO注文のほうが、レートが荒れている状態でも使いやすいでしょう。
-トレール注文
トレール注文は、逆指値注文に「値幅指定」を追加する注文方法です。「○円になったら」ではなく「最高価格からの下落幅が○円になったら」という注文を出すことができます。
例えば、100円で購入した通貨に「下落幅1円で売る」とトレール注文を出しておくとします。103円まで値上がりを続け、その後下落した場合、「103円からの下落幅1円=102円」になったときにポジションが決済されます。
99円で逆指値注文を出していた場合は、せっかく103円にまで上がったのに99円まで下がってから売ることになります。トレール注文ならば、利益を確保した状態で決済できるというわけです。
ロスカットの仕組みを理解しておくことは大切です。なぜ発動するのかわからないうちは、ロスカットが発動し、損失が増えるばかりでしょう。
ロスカットは損失の拡大を防ぐためにありますが、急激な変動が起こった場合は発動が間に合わないこともあるため、頼りすぎないことも大切です。
-設定を確認する
ロスカットが発動する際の証拠金維持率は「ロスカットライン(ロスカットレベル)」と呼ばれ、FX会社によって異なります。また、投資家の証拠金額や保有資産額、通貨の種類、時間帯などによって変わる場合もあります。
証拠金維持率をある程度の幅で変更できる場合や、アラート通知を細かく設定できる場合もあるので、よく確認しておきましょう。
-証拠金を十分に用意する
ロスカットは「証拠金維持率」の低下によって発動します。証拠金が少ないと、その分発動する可能性が高くなるということです。
例えば「証拠金10万円、ロスカットライン70%以下」だった場合、3万円を超える損失が出た時点でロスカットが発動します。「証拠金50万円」ならば、同じ設定でも損失が15万円を超えるまではロスカットは発動しません。
-レバレッジを調整する
レバレッジをかけることで、手持ちの資金を超える金額の取引が可能になります。そこがFXの魅力でもありますが、大きな損失を出してしまう原因でもあります。
また、高いレバレッジで取引していると、レートが少し変動しただけでも振れ幅は数倍になるため、ロスカットが発動する可能性が高くなります。
安全に取引するためには、レバレッジを低めにすることも大切です。
FXを勉強する方法には、少額から始めて経験を積む方法とデモトレードで感覚をつかむ方法があります。デモトレードは実際の損失を出すことがないため、気軽に練習できます。
投資を続けるためには、勉強が必要です。しかし、始めてみないことには、何を勉強すればよいかわからないでしょう、気負わず、まずは第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
※本記事は、情報提供のみを目的としたものであり、投資を勧誘または推奨する目的としたものではありません。