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教育分野への規制により中国株式は急落するものの、テクノロジー株のバリュエーションは魅力的な水準に
目次
新規制に投資家は驚がく:中国当局は学習塾を非営利団体として運営させる規制を公表し、市場を驚かせる
中国株は急落:今回の規制をきっかけに、テクノロジー株をはじめ中国株は大幅に下落
テクノロジー株の購入機会となるか?:識別眼が必要ではあるものの、これは投資家が中国テクノロジー株の購入機会を見出す機会と考えられる
学習塾の非営利団体への転換の発表をきっかけに、テクノロジー株をはじめ中国株式は大幅に下落。ただし、中国政府からここ数カ月発表されている規制措置の目的は、①金融の安定化、②データの保護、③技術の独占の禁止、④労働者に対する待遇の向上、⑤気候変動との闘い—にある
最近の規制強化の動きにより、特に中国テクノロジー株は割安な水準にあると見込まれることから、投資家が中国株式の購入機会を見出す良い機会であろう
私はよく、本ブログを通じて、顧客からの早急の回答を要する質問に対してお答えしています。そして最近、私たちが受けるほとんどすべての質問は中国関連のもの、すなわち、中国株式に何が起こっているのか、そして投資家はt中国株式を放棄すべきかどうか、というものです。最近の中国株式の混乱のきっかけは、先週、中国の規制当局が、学習塾を非営利団体として運営させる規制を公表したことでした。この公表に市場は驚がくし、中国株式は全般的に大幅に下落しました。
まず、営利目的の教育事業に関する中国政府による決定の根拠を理解することが重要でしょう。現在、中国では、義務教育期間に子供たちの成績を向上させるために家庭教師を雇うことは非常に費用がかかりますが、多くの家族は子供たちがよい成績を収め、有名大学に入学するのをサポートするために必要だと考えています。中国政府は、多額の教育費が家族に重大かつ不公平な負担をかけることを認識しており、そしてそれが、夫婦が子供を増やすことを奨励する政府の目標を妨げる可能性があります。中国政府は、すべての子供たちに平等に教育の機会が与えられることが国の最大の利益になると認識しています。そのため、中国政府が長期的な目標を達成するために短期的なボラティリティを容認する用意があることは明らかです。
国外からの投資の禁止を含む民間の教育企業に対する今回の規制が、中国の教育関連企業の株式に下押し圧力をかけることは理解できます。しかし、市場の反応ははるかに広範囲に及ぶもので、中国のテクノロジー株をはじめとして、中国株式は全般的に下落しました。ここ数カ月、中国では他の業界に影響を与えている規制が次々と発表されていますが、私は、今回の決定がそれに続くものであると考えます。これらの規制措置の目的は、国外投資家を中国から追い出すことではなく、中国の市場経済を弱めることでもありません。むしろ、当局は、近年生じている問題へ対処すべく、他国が議論だけにとどめていることを実際に行動に移しているように思えます。
• 金融の安定化:中国は、金融サービス企業による十分な資本の確保を含め、同企業に対し適切なリスク管理を行いたいと考えています。
• データの保護:データセキュリティはすべての企業と消費者にとって重要な問題ですが、各国はデータの保護をほとんど行っていません。中国の政策担当者は、データセキュリティは国家安全保障の問題であると考えており、そのため、外国企業による中国企業のデータへのアクセスを望んでいません。
• 技術の独占の禁止:中国当局は、一部の企業が業界を支配していることで、価格を不当につり上げる可能性があることを懸念しています。また、当局は、中小企業が競争に際して不利にならないように望んでいます。
• 労働者に対する待遇の向上:中国政府は、「ギグワーカー」が生活費の確保や健康保険の受給など、雇用主から適切な待遇を受けられるようにしたいと考えています。
• 気候変動との闘い:中国政府は経済の「グリーン化」を支援したいと考えています。
中国政府は、先週、中国の規制当局が大手投資銀行と緊急の会議を実施し、最新の決定を説明して投資家の懸念を和らげることで、投資家が重要であるとの見方を示しました。中国証券監督管理委員会の方星海副主席は、中国企業が米国で上場する際、中国政府が定めた基準を満たしている限り、上場は引き続き許可されるとして、参加者を安どさせました。中国当局が長期的な戦略的見地で考えていることから、これは今後さらなる規制が課せられないということを意味しませんが、規制の対象は目標を定めたものとなり、中国がより高い目標を達成することに焦点を当てたものになると予想しています。
この状況から私がお伝えしたいポイントは、最近の規制措置の結果、多くの中国株式、特に中国のテクノロジー株が投資家によって不当に評価されているということです。一方で、それは中国株式のより魅力的なバリュエーションを生み出しました。7月30日の時点のMSCIワールド・インデックスの過去12カ月の株価収益率(PER)は26.07である一方で、MSCIチャイナ・インデックスは18.86と、割安になっています 1 。私は、この中国株式の下落局面は、中国のテクノロジー株を放棄するのではなく、投資家が識別眼をもって中国株式の購入機会を見出す機会になると考えています。
1.出所:ブルームバーグL.P、2021年7月30日
クリスティーナ フーパー
チーフ・グローバル・マーケット・ストラテジスト
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MC2021-135