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iDeCo加入をおすすめしない人はどんな人?「やったほうが良い人」も紹介

近年、老後資金準備の方法としてよく名前が挙がるのが「iDeCo」です。税制上の優遇措置があるため、多くの人が利用しています。

しかし、誰にとってもおすすめの制度というわけではありません。iDeCoはメリットが多い制度であることは事実ですが、それでも「やったほうがよい人」と「おすすめしない人」がいます。

今回は、iDeCoの制度やメリット・デメリット、商品の種類、iDeCoを「やったほうがよい人」「おすすめしない人」などを解説します。

iDeCoとは?メリットとデメリットとは

iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)とは、確定拠出年金法に基づいて実施されている私的年金制度のことです。自分で申し込み、掛金を拠出し、自分で運用方法を選んで掛金を運用し、将来掛金と運用益を受け取ることができます。加入者は年々増えており、2021年6月現在、累計加入者数は198万人を超えています。

iDeCoのメリット

iDeCoにはどのようなメリットがあるのでしょうか。最大の魅力は、「掛金」「運用益」「給付を受けるとき」のそれぞれに税制上の優遇措置があることです。

まず、掛金が全額所得控除されます。確定拠出年金の掛金は全額が「小規模企業共済等掛金控除」の対象となり、課税所得額から差し引かれることで所得税・住民税が軽減されます。要するに、所得税や住民税を節税できるということです。

また、通常の金融商品の運用益は課税対象(源泉分離課税20.315%)ですが、iDeCoでの運用益は非課税です。運用で得た収益を再投資し、投資元本が増えることで効率よく資金が増えていくことを「複利効果」と呼びますが、iDeCoは運用益に税金がかからないため、複利効果が最大化されます。

さらに、受給時には所得控除を受けられます。受給年齢に達して一時金で受給する場合は「退職所得控除」、年金で受給する場合は「公的年金等控除」の対象になります。特に退職所得は、原則として他の所得と分離して所得税額を計算する上に、所得の1/2に対して課税されるなど、他の所得に比べて優遇されています。

iDeCoのデメリット(注意点)

一方で、iDeCoにはどのようなデメリットがあるのでしょうか。

・元本保証ではない
iDeCoでは、自分で運用方法を選んで掛金を運用します。選べる金融商品は口座を開設する金融機関によって若干異なりますが、元本確保型以外の商品は元本が保証されていません。したがって、運用によっては元本割れする可能性があることに注意が必要です。

・60歳まで引き出すことができない
iDeCoは老後の資産形成を目的とした年金制度であるため、税制優遇措置があります。加入後は原則として、60歳以降の受給年齢になるまで資金を引き出すことができません。例外として脱退一時金の給付がありますが、国民年金の保険料免除者になるなどの一定の要件をすべて満たした場合に限られます。よって「今月はちょっと家計が苦しいから、iDeCoの一部を取り崩して使おう」ということはできません。流動性が低いことに注意してください。

・投資上限がある
iDeCoでは掛金が全額所得控除されますが、いくらでも掛金を拠出できるわけではありません。国民年金の被保険者種別、および他の企業年金の加入状況により、掛金額の投資上限が定められています。例えば、国民年金の第1号被保険者(自営業者など)は月額6万8,000円(年額81万6,000円)、国民年金の第2号被保険者で企業年金に加入していない会社員(一部例外あり)は月額2万3,000万円(年額27万6,000万円)です。

・手続きが面倒
iDeCoは自分で申し込み、自分で掛金を拠出し、自分で運用方法を選んで運用する制度です。したがって、原則としてすべての手続きを自分で完結させる必要があります。また、今日では多くの金融機関がiDeCoを取り扱っているため、それらを見比べるだけで一苦労です。さらに、金融商品の入れ替えも自分で行う必要があります。

・手数料がかかる
iDeCoは「お得な制度」ではありますが無料で使えるわけではなく、国民年金基金連合会、運営管理機関、事務委託先金融機関の手数料がかかります。また、運用商品として投資信託を選んだ場合は、運用商品ごとに信託報酬等の手数料がかかります。掛金を低く設定しすぎると、相対的に手数料の割合が大きくなるため注意が必要です。

iDeCoにはどのような商品があるのか

前述のとおり、iDeCoは自分で商品を選び、自分で運用する制度です。それでは、iDeCoにはどのような商品があるのでしょうか。選べる金融商品は口座を開設する金融機関によって若干異なりますが、大きくは元本割れのリスクがある「投資信託」と「元本確保型商品(定期預金など)」に分かれます。

投資信託には、バランス型、国内株式型、国内債券型、外国株式型、外国債券型、不動産投信、コモディティ型などがあります。また投資信託には、株価指数のなどの指標に連動するように運用される「インデックスファンド(パッシブファンド)」と、運用会社やファンドマネジャーが独自の見通しや投資判断に基づいてベンチマーク以上の収益を目指す「アクティブファンド」があります。

これらをうまく組み合わせて、自分のポートフォリオを構築していきましょう。

iDeCo加入をおすすめしない人

ここからは、iDeCo加入をおすすめしない人について見ていきます。

資産や収入がなくて、積み立てるお金がない人(家計がぎりぎりの人)

資産や収入がなくて、積み立てるお金がない人(家計がぎりぎりの人)は、60歳以降の老後資金の準備よりも、現在の生活費や緊急時に使えるお金を確保することが重要です。貯金がまったくない人は、病気やケガなどによる急な出費に備えて、生活費の3ヵ月分は貯金しておきたいところです。

積み立てるお金(資産)はあるが、収入が低い人

積み立てるお金(資産)はあっても収入が低かったり、収入がなかったりする人は、iDeCoへの加入は慎重に考えましょう。なぜならば、iDeCoのメリットの一つである「掛金が全額所得控除」の効果が低くなるからです。

前述のように、確定拠出年金の掛金は全額が「小規模企業共済等掛金控除」の対象となり、課税所得額から差し引かれることで所得税・住民税が軽減されます。しかし、収入がない人は原則として所得税がかかりません(住民税はかかる可能性があります)。また、所得に対する税金は原則として累進課税(所得額に応じて税額が決まる仕組み)ですので、収入が低い人は、税負担額も低いということです。

そもそも所得がないので控除ができない、もしくは所得があっても税負担額も低いため、iDeCoのメリットの一つである「掛金が全額所得控除」の効果が低くなるということです。

運用益が非課税になるメリットなどは享受できますが、前述のように、iDeCoは国民年金基金連合会、運営管理機関、事務委託先金融機関の手数料がかかります。したがって、元本確保型などのリスクが低い(=リターンも低い)商品を選ぶと、運用リターンよりも多くの手数料がかかってしまい、本末転倒な状況になりかねません。

収入が低かったり、収入がなかったりする人は、iDeCoのメリットとデメリットと天秤にかけて、よく考えることをおすすめします。

「数年以内に使うお金」を急いで貯める必要がある人

「数年以内に使うお金」を急いで貯める必要がある人も、iDeCoはおすすめできません。「数年以内に使うお金」とは、結婚資金や出産費用、マイホーム購入などです。前述のとおり、iDeCoは原則として60歳まで資金を引き出せないため、「数年以内に使うお金」を急いで貯める必要がある場合は、銀行預金など流動性が高いもので貯めるほうがよいでしょう。

今は収入があるが、近々専業主婦(夫)になる予定の人

「今は収入があるが、近々専業主婦(夫)になる予定の人」も注意が必要です。専業主婦(夫)なるということは、基本的に収入がゼロになるということです。専業主婦(夫)でもiDeCoに加入することはできますが、iDeCoのメリットの一つである「掛金が全額所得控除」のメリットを享受できません。

前述の「積み立てるお金(資産)はあるが、収入が低い人」と同じく、iDeCoのメリットとデメリット天秤にかけて、よく考えることをおすすめします。

可処分所得を自己投資に回したほうが長期的メリットの大きい人

多くの人にとってお金は有限であるため、可処分所得は優先順位の高いものに使う必要があります。したがって、20代のような比較的若い人は可処分所得をiDeCoに拠出するのではなく、自己投資に回したほうが長期的メリットは大きくなりやすいといえます。自己投資によってスキルアップしたり資格を取得したりすれば、収入が増えて資産を大きく増やせる可能性があるからです。

iDeCoを「やったほうがよい人」

ここからは、iDeCoを「やったほうがよい人」の具体例を見ていきましょう。

掛金の拠出によって家計に影響が出ない人

「掛金の拠出によって家計に影響が出ない人」は、iDeCoをやったほうがよいでしょう。iDeCoに加入した後は、原則として60歳以降の受給年齢になるまで資金を引き出すことができません。したがって、「掛金を拠出したら、60歳を超えるまで自分の資産ではなくなる」という気持ちで拠出するべきです。

60歳以降の老後資金を準備するために、足元の生活が成り立たなくなるのは本末転倒です。iDeCoは、「掛金を拠出しても家計に余裕がある」という人が適しています。

老後資金を準備したいが何から始めればよいかわからない人

「老後資金を準備したいが何から始めればよいかわからない人」は、iDeCoがうってつけです。そもそもiDeCoは、老後の資産形成を目的とした私的年金制度です。だからこそ、3つの税制優遇措置があります。

老後資金を準備する方法はいくつかありますが、良い方法が思いつかない人は、まずはiDeCoから始めるとよいでしょう。家計に大きな負担をかけないことが前提ですが、できる限り多く掛金を拠出すると、短い期間で老後資金を準備することができます。

貯金が苦手で長続きしない人

「貯金が苦手で長続きしない人」もiDeCoを検討するとよいでしょう。貯金ができない人は、「先取り貯蓄」がおすすめです。先取り貯蓄とは、お給料から一定金額を強制的に別の場所(口座)に移し、残ったお金で生活することです。

先取り貯蓄をする場合は、お金を移した口座が簡単には解約できない(使えない)ものであるほど、目的以外に使ってしまうリスクが減ります。iDeCoは60歳になるまで引き出すことができないため、究極の先取り貯蓄といえるでしょう。60歳まで引き出すことができないリスクを踏まえて、iDeCoを先取り貯蓄として活用するかどうか検討しましょう。

収入が多い人

iDeCoは、収入が多い人にもおすすめです。日本の所得税は、収入が多くなればなるほど税率が上がる「累進課税」を採用しています。したがって、収入が多い人ほど税負担が大きくなりますが、iDeCoのメリットの一つである「掛金が全額所得控除」の効果も高くなるのです。

収入が多い人は基本的に可処分所得も多いので、iDeCoに拠出することで家計が破綻するリスクは、収入が低い人に比べて低くなります。収入が高い人は、上限金額まで掛金を拠出して、「掛金が全額所得控除」というメリットを存分に享受するとよいでしょう。

会社員や公務員

iDeCoは、会社員や公務員の人にもおすすめです。会社員や公務員は、企業経営者や個人事業主と比べて節税の選択肢が限られているからです。

「掛金」「運用益」「給付を受けるとき」における税優遇措置は非常に強力です。会社員や公務員であれば基本的に誰でもiDeCoに加入できるので、節税メリットをしっかり享受しましょう。

自営業やフリーランスなどの個人事業主

自営業やフリーランスなど、個人事業主にもおすすめです。厚生年金や企業年金、退職等年金給付などが用意されている会社員や公務員に比べて、個人事業主には手厚い年金制度がありません。したがって個人事業主は、会社員や公務員以上に「自分の年金は自分で用意する」という意識を持つ必要があります。

個人事業主は月6万8,000円(年額81万6,000円)まで掛金を拠出できるので、最大で年81万6,000円が課税所得から差し引かれることになります。これが5年、10年と続けばさらに節税効果が高まるので、個人事業主はぜひiDeCoの加入を検討したいところです。

メリットとデメリットを踏まえて判断しよう

今回は、iDeCoの概要やメリット・デメリット、商品の種類、「おすすめしない人」「やったほうがよい人」などについて解説しました。

iDeCoには税制優遇があり、老後資金づくりに適した制度ですが、場合によってはやらないほうがよい人もいます。iDeCoのメリット・デメリットを正しく理解して、「自分はiDeCoで老後資金を準備すべきか否か」を判断してください。

※本記事は投資に関わる基礎知識を解説することを目的としており、投資を推奨するものではありません。

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