2020年は株価の変動が激しい年となりましたが、実は金(ゴールド)の価格も大幅に上昇し、過去最高値を更新したことをご存じでしょうか。そのため、金投資が注目を浴びています。
金自体に投資することも可能ですが、金の採掘・精錬に関わる企業である「金鉱株」に投資する方法もあります。この記事では、資産としての金の特徴や金を買う手段、金鉱株を選ぶメリット・デメリット、金鉱株での資産形成について解説します。
目次
資産としての金の特徴
「有事の金」という言葉もあるように、金は「安全資産」として広く知られています。その理由として、採掘量が少なく希少性があること、世界中で価値が認められており換金性が高いこと、インフレに強いことなどが挙げられます。
50年ほど前までは「金本位制(ブレトンウッズ体制も広義の金本位制とする)」といって、金が各国通貨の価値の裏付けとなっていました。
2020年は新型コロナウイルスの混乱があったことに加えて、各国が財政出動や金融緩和を積極的に行うことで通貨の価値が相対的に下がったこともあり、金価格は過去最高値を更新しました。
金に関連する金融商品とは
金に関連する商品を買う主な手段は、以下の3つです。
現物
金の現物(実物)を購入する方法です。インゴット(延べ棒)をイメージするとわかりやすいでしょう。地金商や取扱会社によっては、積立投資ができるところもあります。その場合は投資家が自分で金を保管する必要がないので、盗難や紛失のリスクがありません。宝飾品や仏具に加工された金商品を購入することも、現物投資の一種と言えるかもしれません。
金価格に連動する投資信託(ETF)
金価格に連動する投資信託やETFに投資する方法です。金ETFの中には、金の現物に交換できるものもあります。
金鉱株
金などの貴金属の採掘・精錬に関わる金鉱企業の株式に投資する方法です。「金関連銘柄」と呼ばれることもあります。この方法は、金鉱企業の個別銘柄に投資する方法と、金鉱株ETFに投資する方法に大別できます。
金鉱株を選ぶメリット
ここまで、3つの金投資の方法を見てきました。その中から金鉱株を選ぶメリットは、何でしょうか。
オペレーティング・レバレッジがかかる
金鉱株のメリットの一つに、「オペレーティング・レバレッジ」がかかることがあります。オペレーティング・レバレッジとは、売上高の変動に伴い利益額が大きく変動する現象です。
一般的に金価格の変動に比べて、金採掘のコストはそこまで大きく変動しません。金採掘のコストがほぼ変わらないとすると、金価格が上昇するほど金鉱企業の利益は増えます。
金価格の上昇局面において金鉱株にはオペレーティング・レバレッジがかかるので、「金を掘れば掘るほど儲かる」状態となり、業績が向上しやすくなります。
株式には配当がある
金はそれ自体が富を生み出すものではないため、配当や利子などのインカムゲインがありません。一方で金鉱株は企業の株式なので、配当があります。ただし、配当を出すかどうかは企業が決めるため、金鉱株で必ず配当を得られるとは限りません。
金鉱株を選ぶデメリット
それでは、金鉱株を選ぶデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
信用リスクがある
投資した企業が破綻するリスクを「信用リスク」と呼びます。金鉱株はあくまでも「希少性が高い金を採掘している企業」の株式であり、他の企業と同様に経営が行き詰まって破綻する可能性があります。
前述のとおり、金は安全資産とされているので金自体には信用リスクがありませんが、金鉱株には信用リスクがあります。なお、金にも価格変動リスクが存在します。
ボラティリティが大きい
オペレーティング・レバレッジはメリットでもありますが、デメリットでもあります。オペレーティング・レバレッジがかかるということは、「良いときはすごく儲かるが、悪いときは損失が大きくなる」ということです。業績の幅が大きいと、一般的に株価のボラティリティ(変動幅)が大きくなります。
また、株価は未来の業績を織り込みます。一般的に、金価格が高いときはオペレーティング・レバレッジが効き、株価が上がりやすいですが、その株価がすでに「金価格が高いこと」を織り込んでいる可能性もあります。その場合は、投資をすると高値掴みになってしまうおそれもあります。
金鉱株で資産形成はできるのか
では、金鉱株で資産形成はできるのでしょうか。それは、投資するタイミングや銘柄選定によって大きく変わると言えるでしょう。
前述のとおり金鉱株はオペレーティング・レバレッジがかかるので、金価格の上昇トレンドを的確に掴めた場合は、金自体に投資するよりも運用パフォーマンスが高くなることがあります。
しかし、上昇トレンドを的確に掴むのは極めて難しいでしょう。金鉱株への投資は、金自体への投資に比べてリスクが高いと言えます。これらの違いを理解した上で、うまく使い分けていきましょう。
※上記は参考情報であり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。