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資産のポートフォリオとは?どのように組めばよい?鍵はアセットアロケーションとリバランス

「資産運用はポートフォリオが重要」と聞いたことがある人は多いでしょう。この記事ではポートフォリオの意味やアセットアロケーションとリバランスの重要性、そして機関投資家の実例を紹介しながら、ポートフォリオを組むときのポイントについて解説します。

ポートフォリオとは

「ポートフォリオ」とは、金融商品の組み合わせのことです。特徴が異なる金融商品の配分や組み合わせによって、リスクを抑えることができます。

アセットアロケーションの重要性

「ポートフォリオ」と「アセットアロケーション」の違いがわからない人もいるでしょう。「ポートフォリオ」は金融商品の組み合わせを指しますが、「アセットアロケーション」とは、どの資産(アセット)に、どのような割合で資金を配分(アロケーション)するか決めることです。

つまり、「資産全体を100%として、そのうちの50%を株式、30%を債券、10%を不動産、10%を現金にしよう」と決めることがアセットアロケーションであり、図にすると以下になります。

一方で「株式については具体的に、A社株式を10%、B社株式を20%、C社株式を20%、債券については、D債券を20%、E債券を10%、不動産については、F不動産を10%」とそれぞれ具体的な金融商品で配分したものがポートフォリオです。図にすると以下になります。

ポートフォリオを組むためにはアセットアロケーションを決める必要があり、資産運用において重要な役割を担っています。

リバランスの重要性

「リバランス」とは、金融商品の組み合わせを定期的に見直すことです。具体的には、市場の変動によって当初設定したポートフォリオの割合が変わったときに、元の割合に戻すことを指します。

自分に適したポートフォリオを組んだ後でも、定期的にリバランスを行うことが大切です。通常、投資信託や機関投資家などは月に1回程度でリバランスをしているケースが多いようです。ただし、手数料が機関投資家などに比べて高い傾向がありますので、頻度については要検討といえます。

リスク資産割合の目安は「100-年齢」?

では、実際にどのようなポートフォリオを組めばよいのでしょうか。アセットには、大きく分けて株式や株式に近い性質をもつ「リスク資産」と、債券のような「安全資産」(リスクがゼロという意味ではありません)があります。

これらの割合を決める際は、「100-今の自分の年齢=リスク資産割合」を目安にするとよいでしょう。年齢が若いほうが失敗を取り戻す時間が多く残されているため、より大きなリスクを取ることができるからです。ただし上記はあくまで目安であり、実際のアセットアロケーションは年齢だけでなく、収入や家族構成、ライフスタイル、目標、金融知識などによっても変動します。

機関投資家のポートフォリオを見てみよう

プロの投資家である機関投資家は、どのようなポートフォリオを組んでいるのでしょうか。ここでは、GPIFとハーバード大学基金の事例を紹介します。わかりやすくするために、ここからはアセットアロケーションも含めて「ポートフォリオ」と記載します。

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)のポートフォリオ

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、日本国民の年金を運用する組織です。正確には、厚生労働大臣から寄託された年金積立金の管理及び運用を行うとともに、その収益を年金特別会計に納付することにより、厚生年金保険事業及び国民年金事業の運営の安定に資することを目的としている組織です。

運用総額は177兆7,030億円(2020年度第3四半期末現在)で、「世界最大級の機関投資家」と呼ばれています。2001年度以降の累計収益額は85.3兆円(収益率は3.37%)と桁違いの収益を上げており、国民年金事業の運営の安定に貢献しています。気になる基本ポートフォリオは、

国内債券25%(±7%)
外国債券25%(±6%)
国内株式25%(±8%)
外国株式25%(±7%)

となっています。また、

債券全体50%(±11%)
株式全体50%(±11%)

と、債券と株式の割合は半々です。個人投資家でも真似しやすいポートフォリオといえるでしょう。なお上記はあくまで「基本」ポートフォリオですので、現在の実際のポートフォリオとは異なる可能性があります。

ハーバード大学基金のポートフォリオ

続いて、世界屈指の名門大学であるハーバード大学基金のポートフォリオを見てみましょう。名門大学が基金を設立し、機関投資家として資金を運用していることはあまり知られていませんが、彼らの運用は「エンダウメント運用」と呼ばれ、非常に高いパフォーマンスを出し続けています。

ハーバード大学基金アニュアルレポート2019の英文レポートを見ると、2019年のポートフォリオは、

Public Equity(上場株式) 26%
Private Equity(非上場株式) 20%
Hedge Funds(ヘッジファンド) 33%
Real Estate(不動産) 8%
Natural Resources(天然資源) 4%
Bonds/TIPS(インフレ連動債) 6%
Other Real Assets(その他現物資産) 2%
Cash & Other(現金および現金同等物) 2%

となっています。なお、この年のリターンは6.5%でした。

詳細を見ると、GPIFに比べて債券の割合が低く、リスク資産比率が高いことがわかります。また、割合が最も高いのがヘッジファンドであることも特徴です。

非上場株式の割合も高いため、ヘッジファンドや非上場株式へアクセスしにくい個人投資家には真似しにくいポートフォリオですが、GPIFとは違った特徴があることがわかります。

定期的なポートフォリオの見直しを

ポートフォリオの意味やアセットアロケーションとリバランスの重要性、そして機関投資家の実例を紹介しながら、ポートフォリオを組むときのポイントについて解説しました。

年齢やライフスタイルが変われば取れるリスクも変わるため、ポートフォリオも変えるべきべきです。定期的にポートフォリオを見直していきましょう。

※本記事は投資に関わる基礎知識を解説することを目的としており、投資を推奨するものではありません。

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