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金融商品とは?どのような種類がある?それぞれのメリットとデメリットも紹介

一口に「金融商品」といっても、さまざまな種類があります。資産運用を成功させるためには、それぞれの特徴を理解することが重要です。この記事では金融商品とは何か、どのような種類や特徴、メリット、デメリット(リスク)があるのか解説します。

金融商品とは

金融商品とは、金融取引における商品の総称です。

金融商品に関する法律もあります。金融・資本市場を取り巻く環境の変化に対応し、利用者保護ルールの徹底と利用者利便の向上、「貯蓄から投資」に向けての市場機能の確保および金融・資本市場の国際化への対応を図ることを目指し、平成18年6月14日に「金融商品取引法」が公布されました。

第一章第二条第24項では、有価証券、預金契約に基づく債権その他の権利、通貨、暗号資産、商品、デリバティブ取引などが本法律における金融商品に該当すると定められています。

金融商品を選ぶ際の3つのポイント

金融商品を選ぶ際は、「安全性」「収益性」「流動性」の3つの視点で考えることが重要です。しかし、3つをすべて兼ね備えた万能な金融商品はありません。

安全性:元本や利子の支払いは安全(確実)か
収益性:より高い収益が期待できるか
流動性:必要なときにすぐに引き出せるか(換金できるか)

一般的に、安全性が高い金融商品は収益性が低いといわれています。例えば、銀行の普通預金は安全性が非常に高い金融商品ですが、超低金利の昨今は利息がほとんどつかず、収益性は低いといえるでしょう。一方、株式など価格変動が大きい金融商品は元本割れのリスクが高く安全性は低いものの、値上がりが期待でき、収益性が高い金融商品といえるでしょう。

また、流動性が高い金融商品も収益性が低いといわれています。例えば、銀行の普通預金はいつでも引き出せるので流動性は高いものの、前述のとおり収益性は低い金融商品です。一方、満期が10年後の債券の元本が返ってくるのは10年後であり、普通預金に比べて流動性が低い代わりに、普通預金よりも一般的に金利は高くなります。

投資期間が長くなるほどリスクが大きくなるので、投資家としては高い金利をもらわないと割に合わないためです。この流動性と金利の関係は、「流動性プレミアム」と呼ばれることもあります。

金融商品から得られる収益には何があるか

金融商品から得られる収益には、「キャピタルゲイン」と「インカムゲイン」があります。

キャピタルゲインとは資産を売却することで得られる利益のことで、インカムゲインとは利息や配当、不動産の賃料のように、保有中に得られる利益のことです。

キャピタルゲインとインカムゲインを合計してはじめて、資産運用のトータルリターンが出ます。

場合によっては、「インカムゲインで定期的に収入を得ていたが、資産を売却したら積み上げてきたインカムゲイン以上のキャピタルロス(売却損失)が出て、トータルリターンではマイナスになってしまった」ということもあり得ます。例えば、以下のようなケースです。

・高配当株を購入して、毎回の配当を受け取っていたが、数年後に売却しようとしたら、取得時よりも株価が大きく下落しており、これまで受け取っていた配当の合計額以上の売却損失が出てしまった

・地方の高利回り物件に投資をして、定期的に賃料を受け取っていたが、数年後に売却しようとしたら、取得時よりも物件価格が大きく下落しており、これまで受け取っていた賃料の合計額以上の売却損失が出てしまった

不動産は金融商品ではありませんが、トータルリターンの重要性を説明するための例として記載しました。

投資判断を行う際はインカムゲインだけを見るのではなく、「売却時はいくらになるだろうか?」というキャピタルゲイン(ロス)の視点も持つことが重要です。

金融商品のリスクには何があるか

ここからは、金融商品のリスクについて説明します。「リスク」と聞くと損失をイメージしがちですが、正確には「リターンの振れ幅」のことです。

したがって「リスクが大きい」ということは、「大きな収益を得られるかもしれないし、大きな損失が出るかもしれない」ということです。一般的にリスクが高いとリターンも高くなり、リスクが低いとリターンも低くなります。

「ローリスク・ハイリターン」の金融商品はありません。もしも「ローリスク・ハイリターン」を謳う金融商品があれば、疑うべきです。少なくともすぐには飛びつかず、信頼できる専門家に相談しましょう。

ただし、「できる限りリスクを抑えながら、リターンを高める運用方法や金融商品はないか?」と常に探す姿勢は必要です。

より効率的な(=できる限りリスクを抑えながらリターンを高められる)運用ができているかを測る指標に「シャープレシオ」があります。シャープレシオが高いほど、効率良く収益を得られたことになります。投資信託(ファンド)を比較する際にも使われる指標なので、覚えておくとよいでしょう。

金融商品には、以下のようなリスクがあります。

・価格変動リスク:金融商品の価格が変動するリスクです。値上がりする可能性もありますが、値下がりして元本割れする可能性もあります。

・為替リスク:外貨建ての金融商品の場合、金融商品自体の値動きだけでなく、為替相場の動向も円建て資産の価値が変動する要因です。為替レートが円安に動けば為替差益が発生しますが、円高に動けば為替差損が発生します。

・流動性リスク:資金が必要なときにすぐに換金できない、あるいは通常よりも不利な価格で取引を行わなければならないリスクです。

・信用リスク:金融商品を提供している金融機関や有価証券の発行体が破綻することによって、元本や予定していた収益が戻ってこなくなるリスクです。

・カントリーリスク:海外に投資する際、その国の社会・経済の情勢の変化によって資金を回収できなかったり、金融商品の価格が変動したりするリスクです。

・インフレリスク:モノの価値が高まり、現金の価値が下落するリスクです。現金に近い性質を持つ金融商品は、インフレによって価値が下がる可能性があります。

金融商品を選ぶ際は、各商品のリスクをよく理解しておくことが重要です。

金融商品の種類

ここからは、金融商品の種類やメリット・デメリットについて解説します。

預貯金

預貯金とは「預金」と「貯金」の総称で、銀行などの金融機関にお金を預けることです。

メリットは、安全性と流動性が高いことです。盗難や火災などを考えると、自宅に多額の現金を置いておくのは危険ですが、銀行に預けておけば安全性は高くなります。普通預金であればいつでも引き出せるため、流動性も高いといえます。預けておくだけで利息がもらえることもメリットです。

デメリットは、利息はもらえるものの、高い収益性を望めないことです。例えば、3メガバンクの普通預金金利は0.001%であり(2021年4月現在)、100万円を1年間預けても10円しか増えません。また、信用リスクやインフレリスクもあります。

万が一金融機関が破綻した場合、預金保険制度(ペイオフ制度)によって、利息のつく普通預金や定期預金などは、1金融機関につき預金者1人当たり「元本1,000万円までと破綻日までの利息等」が保護されます。それを超える部分は、破綻した金融機関の残余財産の状況によっては戻ってこない可能性があるので注意が必要です。

株式

株式は、企業が資金を集めるために発行される有価証券です。株式投資とは、企業が発行した株式を売買して収益を得ることです。収益はキャピタルゲインである売却益と、インカムゲインである配当です。企業によっては、株主優待制度を設けているところもあります。

メリットは前述のとおり、高い収益性が期待できることです。株価の上昇は理論上無限大であり、短期間で2倍になることもあります。中長期では10倍、100倍になる株もあります。一定の資金と知識があれば、信用取引で手元資金額の数倍の取引ができます。銘柄にもよりますが、上場株式であれば一定の流動性があることもメリットです。

デメリットは、価格変動リスクがあり、元本割れする可能性もある点です。投資している企業が破綻する信用リスクもあり、外国株式の場合は為替変動リスクやカントリーリスクもあります。投資する場合は十分注意しましょう。

債券

債券とは、国や地方公共団体、企業などが資金調達のために発行するものです。満期時に受け取れる金額や、利息の金額などの条件があらかじめ決められています。満期時まで保有すれば、原則として元本割れはありません。

メリットは安全性がありながら、一定の収益が見込めることです。一般的に、満期までの期間が長くなるほど、また発行体の信用力が低くなるほど金利が高くなります。利息(インカムゲイン)だけではなく、債券価格が上昇したときに売却すれば、キャピタルゲインを得ることもできます。また、購入時に満期と利回りが確定するため、資金計画が立てやすいこともメリットです。

デメリットは流動性が低いことです。途中で売却することもできますが、そのときの債券価格によっては元本割れが発生します。また、投資している企業が破綻する信用リスクもあり、外国債券の場合は為替変動リスクやカントリーリスクもあります。

投資信託

投資信託は、資産運用の専門家(ファンドマネージャー)が金融商品を組み合わせて、自分の代わりに運用してくれる金融商品です。株式の投資信託、債券の投資信託、不動産の投資信託など、種類がたくさんあります。

メリットとしては、専門家に運用を任せられることや少額から投資できること、多くの人から資金を集めてさまざまな資産を購入することで分散投資ができること、定期的に運用会社がレポートを作成してくれることなどが挙げられます。

デメリットは、価格変動リスクや信用リスクがあることです。外国の資産に投資する投資信託の場合は、為替変動リスクやカントリーリスクもあります。また、専門家を雇ったり、定期的なレポートを作成したりするため、購入時や保有時、売却時にコストがかかることがあります。

外国為替(外貨預金、外貨建てMMF 、FX)

続いて、外貨預金や外貨建てMMF(マネー・マーケット・ファンド)、FX(外国為替証拠金取引)など、為替取引をする場合について見ていきます。

メリットは、為替差益というキャピタルゲインを狙えることです。また、日本はゼロ金利政策が長く続いているため、外国通貨のほうが日本円よりも金利が高いケースがほとんどで、その金利差をインカムゲインとして得ることができます。また、外貨を持っていればインフレ対策にもなります。FXの場合は、一定の証拠金を担保に手元資金の数倍の金額の取引ができることもメリットです。

デメリットは、為替変動リスクやカントリーリスクがあることです。また、為替取引を行う際は、原則として為替手数料がかかります。外貨預金は外貨ベースでは元本が保証されていますが、預金保険制度の対象ではありません。外貨MMFは格付の高い短期証券で運用されますが、元本は保証されていません。FXも元本保証ではなく、レバレッジが効くことがデメリットにもなり得ます。

生命保険

生命保険は、加入者が保険料を負担し、もしものことが起きたときに給付を受けることができる金融商品です。株式や債券、投資信託など「資産を増やす」ことを目的とした金融商品とは異なり、「もしも」に備えることが第一義なので、「資産運用としての機能は二の次」と捉えたほうがよいでしょう。

それを踏まえて、生命保険で資産を運用する(貯める)メリットとデメリットを見ていきます。お金を貯めることができる生命保険には、学資保険や子ども保険、養老保険、年金保険、終身保険などがあります。

メリットは学費や年金などを確実に貯められることや、目的以外に使ってしまう可能性が低いことなどです。

デメリットとしては、プランを変えにくいこと、解約するタイミングによっては返戻金が支払保険料総額を下回って元本割れする可能性があること、自由に出し入れができない(流動性が低い)ことなどが挙げられます。

「安全性」「収益性」「流動性」の3つの視点で考えることが重要

この記事では、金融商品とは何か、どのような種類や特徴、メリット、デメリット(リスク)があるのかを解説しました。

金融商品を選ぶ際は、「安全性」「収益性」「流動性」の3つの視点で考えることが重要です。金融商品の種類や特徴、メリット、デメリット(リスク)を正しく把握して、自分の資産運用に活かしましょう。

※本記事は投資に関わる基礎知識を解説することを目的としており、投資を推奨するものではありません。

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