新型コロナに始まり、新型コロナに終わった2020年。先行き不安から資産運用を見直す人が増え、投資への関心が高まっています。少額の資金で始められ、信用リスクが低く、投資のプロに運用を任せられる投資信託は、幅広い層に人気です。
今回は投資信託を選ぶ際の参考となるよう、世界最大級の投資信託評価会社であるモーニングスター社が発表した2020年12月末のリターンランキングで上位に入った5つの投資信託を、最近の運用成績や特徴とともにご紹介します。
目次
12月の国内・国外株式市場動向
米大統領選や新型コロナワクチンの接種開始などへの期待感から、株価が軒並み上昇した11月。さらに米国の追加経済対策の成立などで、12月の市場も高揚感を維持。コロナ変異種の拡大など不安材料も見られたものの、国内・国外ともに「ワクチンの普及により経済が正常化に向かう」というポジティブな見通しが追い風となりました。
例年12月になると株価が上昇する「掉尾の一振」に倣って、年末にはS&P500指数やNYダウが史上最高値を更新。米不動産投資信託企業アパートメント・インベストメント・アンド・マネジメント(AIV)に代わり、電気自動車(EV)メーカーのTesla(テスラ)がS&P500指数の構成銘柄に加わったことも注目を浴びました。
インドを含む一部の新興国市場も上昇基調にあり、証券市場への流入額は495億ドル(約5兆1,369億円)と、10月の約2.6倍に増加しました(国際金融協会のデータより)。
欧州は2回目のロックダウンの影響から、主要国の大半で再び経済活動が低迷。しかし、ロックダウンにより感染者数が徐々に減少基調に転じるという期待感、そしてワクチン接種開始の見通しが立ったことを受け、DAX指数(ドイツ株価指数)が1万3,000ポイント台を維持するなど、相場は持ち直しました。
国内では大納会(証券取引所の年末の最終取引日に行われる催事)を控え、日経平均株価が年末にかけて2万7,568円と約30年ぶりの高値、TOPIX(東証株価指数)が1,800ポイント台と年初来高値を更新しました。
12月のパフォーマンスが良かった投資信託5選
純資産10億円以上の投資信託(確定拠出年金、ラップ口座は対象外)を対象とするモーニングスターのランキングで、以下の投資信託が12 月の運用成績トップ5入りを果たしました。
1位 eMAXIS Neo ナノテクノロジー
三菱UFJ国際が運用する追加型投信です。世界各国の医薬品・バイオテクノライフや半導体関連企業などの上場銘柄(預託証書を含む)で構成され、S&P Kenshoナノテクノロジー指数に連動する投資成果を目指しています。
モーニングスターランキング:1位 過去1ヵ月のリターン:18.22%
2位 eMAXIS Neo バーチャルリアリティ
三菱UFJ国際が運用する追加型投信です。世界各国の半導体・半導体製造装置やテクノロジ・ハードウェア・機器などの上場銘柄(預託証書を含む)で構成され、S&P Kenshoバーチャル・リアリティ指数に連動する投資成果を目指しています。
モーニングスターランキング:2位 過去1ヵ月のリターン:17.88%
3位 SBI 日本株4.3ブル
SBIアセットマネジメントが運用する追加型投信です。国内の公社債や株価指数先物取引を積極的に活用し、基準価額の値動きが国内の株式市場全体の値動きの4.3倍程度となる運用成果を目指しています。ブル型は市場が動くと高いリターンを期待できる、ハイリスク・ハイリターンの金融商品です。
モーニングスターランキング:3位 過去1ヵ月のリターン:16.79%
4位 楽天 日本株4.3倍ブル
楽天投信投資顧問が運用する追加型投信です。主に国内の株価指数先物取引や短期公社債に投資し、基準価額の値動きが国内の株式市場全体の値動きの4.3倍程度となることを目指しています。
モーニングスターランキング:4位 過去1ヵ月のリターン:16.78%
5位 iFreeレバレッジ FANG+
大和アセットマネジメントが運用する追加型投信です。「NYSE FANG+指数(米ドルベース)」を対象とするレバレッジ型で、同指数の値動きの2倍程度となることを目指しています。
NYSE FANG+指数は、FANG(Facebook、Amazon、Netflix、Googleの頭文字)など、国際的に知名度の高いIT企業を対象に構成された株式指数です。
モーニングスターランキング:5位 過去1ヵ月のリターン:15.91%
今後の注目ポイント
2021年も引き続き医薬品や精密機器、運輸関連銘柄などが注目されますが、コロナバブルの懸念も浮上しています。リスクを分散しつつ着実にリターンを得るためには、強気相場に流されず、万が一の事態に備えて慎重に投資判断を行う必要があるでしょう。
また、資産価値は市場の変動や経済情勢によって常に変化することを念頭に、定期的にポートフォリオを見直す習慣をつけることも重要です。「投資のプロに運用を任せているから大丈夫」と過信せず、「強気相場だからこそ、保有中のファンドを見直す良い機会になる」と捉えて、投資について積極的に学ぶ機会にしたいものです。
※上記は参考情報であり、特定ファンドの売買を推奨するものではありません。