コロナ禍を投資のチャンスと捉えて、投資を始める人や投資額を拡大する人がいる一方で、経済や市場の不安定さに対する懸念から、投資に消極的になる人もいます。
少額でも分散投資ができる投資信託は、リスクを抑えつつリターンを狙える手段として、投資初心者からベテランまで幅広い層に人気があります。
今回は投資信託を選ぶ際の参考となるよう、モーニングスター社が発表した10月末のリターンランキングで上位に選ばれた7つの投資信託を、最近の運用成績や構成銘柄、特徴とともにご紹介します。
目次
10月の米市場は、新型コロナの再拡大による景気の下振れリスクや追加経済対策の延滞、さらに11月の大統領選への不安感など材料が出そろったことから、下旬に下落しました。
欧州ではコロナ第二波が猛威を振るう中、英国やフランス、オランダなど一部の国や都市、産業で行動制限の強化やロックダウンが再開され、経済活動が低下。景気後退への懸念が再燃した結果、市場は下落相場に転じました。
国内市場は米大統領選の様子見ムードが拡大し、日経平均株価が月末に下落したものの、アジア市場は比較的堅調に推移しました。特にインド市場は上旬の下落から一転、米中貿易交渉の部分合意や2019年度以降の大型法人減税に伴う企業業績への期待感が高まり、中旬に持ち直しました。
以下の投資信託は10月の運用成績が好調で、かつ将来性のある銘柄を多く組み込んでいます。純資産10億円以上の全投資信託(確定拠出年金、ラップ口座は対象外)を対象とするモーニングスターのランキングでは、過去1ヵ月のリターンで上位に入りました。
三菱UFJ国際投信が運用する追加型投信です。主に米国の金融商品取引所に上場している、世界各国の自動運転関連企業の株式などに投資します。
自動車・自動車部品が約7割、半導体・半導体製造装置が約2割、メディア・娯楽とソフトウェア・サービスが各0.5割という比率です。Tesla、Ford、上海蔚来汽車(NIO)の他、Nvidiaや Ambarellaなどで構成されています。
モーニングスター1位
大和アセットマネジメントが運営する追加型投信です。
「NYSE FANG+指数(米ドルベース)」を対象にしたレバレッジ型で、同指数の約2倍の値動きになることを目標としています。
「FANG」はFacebook、Amazon、Netflix、Googleの頭文字で、その他TeslaやApple、Nvidiaなどの米上場IT企業、Alibaba Group Holding(阿里巴巴集団)やBaidu(百度)といったNYSEに上場している中国銘柄で構成されています。
モーニングスター2位
マニュライフ・インベストメント・マネジメントが運営する追加投資型信託です。
「アメリカン・バンク」という愛称のとおり、リージョンズ・ファイナンシャルやJPモルガン・チェース・アンド・カンパニー、バンク・オブ・アメリカなど、主に米国の銀行・金融機関の銘柄で構成されています。
モーニングスター3位
3と同じく、マニュライフ・インベストメント・マネジメントが運営する資産成長型の追加投資型信託です。中長期的に持続的な成長が見込める、米国の金融機関の株式に投資します。
モーニングスター4位
大和アセットマネジメントが運営する追加投資型信託です。
TeslaやBYD Company(比亜迪)、NXP Semiconductors、Contemporary Amperex Technology(寧徳時代新能源科技股)、日本電産など、主に米国や中国、日本の将来有望なEV(電気自動車)関連企業に投資しています。
モーニングスター5位
野村アセットマネジメントが運営する追加投資型信託です。
DR(預託証書)およびカントリーファンドを含む、中国・香港企業の株式(深センB株、上海B株、H株、レッドチップなど)が主な投資対象です。Eコマース(電子商取引)など、今後高成長が期待できる銘柄で構成されています。
モーニングスター6位
JPモルガン・アセット・マネジメントが運営する追加投資型信託です。
主に中国・香港の株式に投資します。業種別構成比率(マザーファンド)は、Alibaba Group Holdingなどの小売が約2割を占め、Tencent(騰訊控股)などのメディア・娯楽、Ping An Insurance(中国平安保険)などの保険、その他銀行やバイオテクノロジー・ライフサイエンス、ソフトウェア・サービスなど、多様な銘柄で構成されています。
モーニングスター7位
欧米の銘柄を組み入れている投資信託は、引き続きコロナの経済的影響や米大統領選の結果に左右されることになりそうです。欧州では引き続き米大手IT企業への規制が強化されており、また2021年以降は罰金を伴う厳しいEU排ガス規制が本格的に導入されることから、自動車銘柄にも注意が必要です。
特定のテーマに沿った銘柄に投資するファンドは、幅広い銘柄に分散投資をするものと比べると市場の動きに影響を受けやすく、ファンドの基準価額が大きく変動するリスクがあることを念頭に置くべきでしょう。
10月のパフォーマンスが好調だったからといって、それが今後も続くとは限りません。今回紹介した投資信託はあくまで参考程度にとどめ、自分で正しい情報を収集して分析する力を磨くことが重要です。
※上記は参考情報であり、特定ファンドの売買を推奨するものではありません。