世界中の投資家が注目しているコロナワクチン開発ですが、11月以降は実用化の期待感が高まったことを受け、一部のコロナワクチン関連企業が盛り上がりを見せています。
しかし安易に飛びつくと、予期せぬ損失を被る可能性があります。コロナワクチン関連企業への投資を検討する際の3つの注意点とともに、ワクチンに有効性が確認されるまでの間、また日本で再びテレワークが本格化する可能性について見てみましょう。
欧米のコロナワクチン開発レースを最初に制したのは、米製薬大手ファイザーと独バイオ医薬品企業バイオンテックです。両社が共同開発したワクチンは世界初となる緊急使用許可を英国で受け、両社の株価は急上昇しました。ファイザーは承認当日の2020年12月2日に41.41ドル(約4,313円)、バイオンテックは11月30日に124.91ドル(約1万3,010円)と最高値を更新しています。
ワクチン開発レースでファイザー・バイオンテックと競り合う米バイオテクノロジー企業モデルナは、11月30日に自社が開発したメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンの欧米での緊急使用許可を申請しました。同社の株価も12月3日に159.11ドル(約1万6,572円)と最高値を更新、2020年初めの7倍以上に高騰しています。
最有力候補の一つとして期待されていた英製薬大手アストラゼネカとオックスフォード大学の共同ワクチンは、効果の信頼性を疑問視する声が上がるなど、大幅に遅れをとっています。全量投与した治験の予防効果が70%だったのに対して、誤って半量だけ投与した場合は90%、2倍の量を投与した場合は62%と、ワクチンの量が少ないほど効果が高いという矛盾した結果が報告されたためです。
他にも、多くのコロナワクチンが開発レースに参戦しています。ニューヨークタイムズ紙に掲載されたWHO(世界保健機関)の12月2日のデータによると、ノババックス、中国製薬大手シノバック、インドのバイオテクノロジー企業バラト バイオテックなど、20種類以上のワクチンが第3相臨床試験段階にあります。第1・第2相臨床試験段階にあるものも含めて、コロナワクチン市場は投資家が注目している分野のひとつといえるでしょう。
有望なコロナワクチン関連企業に投資したからといって、必ずしも利益につながるとは限りません。製薬企業は臨床試験結果などの影響を受けるため、価格が変動しやすいという特徴があります。コロナワクチンのように歴史の浅いものは、なおさら慎重な判断が求められます。
英オンライントレーディング企業IGのチーフマーケットアナリスト、クリス・ボーシャン氏や英投資マネジメント企業Quilter Cheviot Investment Management のエクイティアナリスト、シーナ・ベリー氏など専門家は、コロナワクチン関連企業に投資する際の注意点として、以下の3つを挙げています。
承認済みのワクチンでも、現在報告されている効果はあくまで人数や治験期間が限定された臨床試験上の結果です。
歴史が浅いだけに、実際に一般市民への投与が開始された後、臨床実験と比べて有効性が低いことがわかったり、副作用が見つかったりするかもしれません。ネガティブな要素が一つでも見つかると、市場は敏感に反応します。
このようなリスクを回避するためには、一つのワクチン関連企業に注目せず、有望と思われる複数のコロナワクチン関連企業にバランスよく注目する投資の視点が重要
ワクチンは、承認されたからといって即座に利益につながる
一方で、毎年コロナワクチンを接種する必要が生じた場合などは、
3 ワクチン開発のみを重視しない
「ワクチン開発で優位に立つ企業が長期的に最大の利益をもたらす」という固定観念に縛られると、利益創出のチャンスを逃してしまうかも知れません。
例えば、アストラゼネカはコロナワクチン開発ではファイザーやモデルナに遅れをとっているものの、本来の主な収益源は抗がん剤と治療薬の販売です。2020年第3四半期の総売上高は192億 700万ドル(CERベースで前年比10%増、約2兆5億円)、総製品売上高は188億7,900万ドル(11%増、約1兆9,663億円)と、パンデミック下でも順調に業績を伸ばしています。
ワクチン開発だけではなく、
コロナウイルスの感染拡大を機にテレワークが定着したとはいえ、一部の企業は通常の全日制出勤や時差出勤、あるいはリモート勤務と通常出勤の併用を行っています。このまま感染拡大が収まらず、ワクチンの有効性が低ければ、テレワークが再度本格化する可能性もあるでしょう。
例えば東京都では、すでにテレワークの定着・浸透を促進するための取り組み「テレワーク東京ルール」がスタートしています。
これは「テレワーク戦略ビジョン」「テレワーク実践ルール(我が社のテレワークルール)」「メガイベント開催時のテレワークルール」の3つを柱として、感染防止のみをテレワークの目的とせず、働き方改革や人材の有効活用など、より有益な目的のために永続的に定着させるというものです。
コロナワクチンの情報だけでなくテレワークの情報にも着目してお
(2020年12月15日作成記事)
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