価格に振り回されるな? 暴落局面でこそ思い出したい「投資は継続が大事」の意味

「自分が買ったら株価が下り、自分が売ったら株価が上がってしまう」
「神がかり的なほどに株式相場が自分の行動と真逆に動く。一体、なぜ?」

投資の経験がある人なら誰しもが通る道です。コロナショックによる相場の乱高下で、投資マインドが冷え込んでいる人も多いのではないでしょうか?暴落局面では底が見えず、持株の含み損を抱えて不安になることもあるでしょう。ただし、安い時に恐れているだけでは収益機会の損失にもなりかねません。細々とでも相場に継続的に参加しておくことは、チャンスを逃さないためにも、相場の経験値を高めるためにも、決してはムダにならないはずです。

今回は投資を継続するために、価格に振り回されない考え方についてお届けします。

なぜ「あなたが売った、ソコが底」になってしまうのか?

「あなたが売った、ソコが底」は、決してマーフィーの法則ではなく、必ず誰もが経験する「投資あるある」です。相場が「欲望」と「恐怖」で支配されているから起きることでしょう。

株価は、長期的には企業業績であるファンダメンタルズに連動して変動し、短期的にはファンダメンタルズよりも需給関係で変動する傾向があります。株式市場の参加者にはデイトレーダーや短期筋、株価の目先の動きがついつい気になる投資家もいるため、企業ニュース等の材料に反応して株価が短期的に急騰、急落することがあります。皆が買うから上がり、上がるから買う……、下がるときはその逆です。短期的にはオーバーシュートする(行き過ぎる)のが株式相場の特性です。

コロナショックのような外部環境の急変や企業業績の下方修正といったネガティブなニュースで株価が大きく下がると、「欲望」で買った多くの投資家は、ある程度までは下げを耐えますが、あるポイントを過ぎると損失額や信用取引の追証が「恐怖」になって損失確定の売り、いわゆる「投げ売り」を始めます。この心理的なポイントは多くの投資家にとって近い水準になることが多く、多くの投資家が投げることで売り圧力がなくなり、相場が反転するといった例はよく見られます。

直近の例で言えば、2020年3月中旬に日経平均が1万6,500円を割った水準で「もう耐えられない!」と思った多くの投資家が投げ売りし、そこから相場が反発を見せています。

なぜ投資の達人は「総悲観は買い、総楽観は売り」ができるのか?

「あなたが売った、ソコが底」となるのは、価格に振り回されている投資家が多いからでしょう。中長期で投資を考えていて、株価下落の理由が投資している企業のファンダメンタルズを根本的に毀損するものでないならば、投げ売られている時こそ「買いのチャンス」であることが判ってきます。

株式市場に、「総悲観は買い、総楽観は売り」「人皆西に行けば東に行け」「人の行く裏に道あり花の山」と言った格言があるのは、このような投資で上手くいった経験からくるものでしょう。

相場にはサイクルがあり、上昇すれば資産が増える

リーマンショック時の日経平均はいくらまで下がったと思いますか? 2008年10月にはなんと6,994円まで下げたのです。世界中が総悲観だったと言ってもいいでしょう。しかし株価は底を打ち、18年には24,000円台をつけます。10年で株価は3倍以上になったのです。冷静に「総悲観は買い」ができていれば、大きな収益を手にできていたはずです。

リーマンショックでもコロナショックでも下げ続けることはありえません。「止まない雨はない」「明けない夜はない」などと言いますが、どんな相場にもサイクルがあります。長期投資では、「価格に振り回されないこと」を忠実に守り、安いところで企業価値を見極めて、勇気を持って買えるならば資産が増える可能性が高まります。

価格以上に「口数が大事」 継続して買い続けることが重要

「相場の底」を見極めるのはプロでも判断が難しいものです。中長期投資による「複利効果」の威力、「資産と時間の分散投資」の効果は連載第3回でお伝えしたとおりです。底を見極める分析に時間を費やすよりも、毎月継続で買い続けることで底を捉え、反発時の収益機会を狙ったほうが得るものは大きいはずです。

iDeCoやつみたてNISAなどの同額均等投資は、株価が安いときに買い付け時の購入口数を増やすことができます。目先の株価の動きよりも、安い時に口数を多く買えることに目を向けましょう。「バーゲンセールで価値あるものが安く買えた」ということです。

このように安い時に多く買い付け、高いときは買い付けを減らすような、定額積立方式を「ドルコスト平均法」とも呼び、長期の資産形成のリスク分散のための優れた効果の一つだと考えられています。

世界一の投資家の異名を持つウォーレン・バフェット氏は長期の割安株投資で世界トップクラスの資産を築きました。彼は、株価の変動よりも企業の本質的価値を見極め、配当や自社株買いで株主還元する会社を好み、投資株数を増やすことを重視して莫大な資産を作りました。中長期投資で大切なのは、目先の株価の変動よりも、安い時にしっかり買い、トータルの保有株数(保有口数)が増えることに喜びを感じましょう。

次回連載は、数ある金融商品の中からどのような視点で投資をすればいいかをお伝えします。

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