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3度目の半減期到来!ビットコインの復活はあるのか?

「暗号資産(仮想通貨)」とは、インターネット上でやりとりできる財産的価値で、代表的な暗号資産にはビットコインやイーサリウムなどがあります。

数ある暗号資産の中でも、かつて高騰を記録したビットコインはその話題性から暗号資産を代表する存在として認知されていますが、ビットコインにはほぼ4年ごとに半減期と呼ばれるイベントが設定されていることをご存じでしょうか?2020年5月11日、ビットコインは誕生してから3度目の半減期を迎えましたが、このことは今後の価格形成にも影響を及ぼす可能性があります。

そもそもビットコインはどんな仕組みで発行されている?

日本円や米ドルといった法定通貨は、各国の中央銀行が発行・管理を行っており、いわゆる中央集権型の支配構造になっています。これに対し、ビットコイン(BTC)は中央での管理を行わない代わりに、コンピューターのネットワークを利用して通貨を管理しています。また、不特定多数の一般人が発行に携わりながら共同で分散管理を行っているのが特徴です。

分散管理で安定性と正当性を担保

ビットコインには、ブロックチェーン(分散台帳技術)が用いられています。ブロックチェーンとは、ビットコインのネットワーク全体の拠点となる共有された公開台帳です。まず、一定容量のブロック単位で取引記録が入力されていくのですが、その作業を担っているのが不特定多数の一般人です。

簡単にその流れを説明すると、誰かがビットコインを利用した時点でその取引情報がネットワーク上に発信されます。すると、その情報は一般の人たちがそれぞれ分散して所有しているデータベースにも送られ、新たなブロック(取引台帳)を作成して、その中に取引情報の書き込みを行うことで正当性を証明します。

分散されたデータベース上でいち早くその作業を終えた人には、報酬として新たなビットコインが発行されて供与されます。こうして分散管理に関与することが集団監視による取引の透明性を高めると同時に、ビットコインの新たな発行を促します。

マイニングとマイナーとは?

データベースへの取引情報の書き込み作業は、結果的にビットコインの新規発行につながっており、新たな金塊を掘り起こす作業も彷彿させることから、マイニング(採掘)と呼ばれています。

言い換えれば、マイニングが果たすのは取引の承認と、新たなビットコインの発行です。ただ、取引データはハッシュ値と呼ばれる特殊な手法で管理されており、取引の承認は改ざんできないことを検証していく作業を意味し、相応のスペックを有するコンピュータでなければ処理できません。

ハイスペックのコンピューター、大量の高性能な専用ハードウェア、ハードウェアを大量に稼働させるための電力、専用ハードウェアを冷却するための設備、非常用のバックアップ電源など、さまざまな体制を整え、新規ビットコインの獲得を目当てにマイニングに注力してきたのがマイナー(採掘者)と呼ばれる人たちでした。

マイニング報酬は、ブロックチェーンの安全性を確保するために、ハイスペックのコンピュータを用いて処理に貢献するマイナーへの経済的インセンティブとなっているわけです。

半減期とは何を意味する?このイベントが訪れるとどうなる?

ビットコインを開発した人物の正体は判明しておらず、当人はサトシ・ナカモトと名乗っています。彼はビットコインが性急に発行されていくことを防ぐために、21万ブロックが作成されるごとにマイニング報酬(得られるビットコイン)を半分にするというルールを設定しました。

ビットコインは誕生した時点で、発行枚数の上限があらかじめ設定されています。半減期には、マイニングの報酬を半減することでマイナーのモチベーションを低下させ、採掘量(供給量)を抑制するという狙いがあります。

半減期によって「インフレ抑制」

中央銀行の金融政策で言えば、市場に流通する通貨の発行量を引き締めるという措置です。そうすることでインフレーション(通貨価値の下落)を防ぐ効果が期待できます。

ビットコインの場合、発行上限枚数は2,100万BTCで、2019年時点ですでに全体の80%超が発行済み。誕生時のマイニング報酬は50BTCでしたが、2012年に1回目、2016年に2回目の半減期を経て12.5BTCとなり、さらに今回(2020年5月)で6.25BTCまで減りました。

このように、半減期の到来はインフレ抑制という意図が、ある意味ではビットコイン価格に上昇圧力を及ぼすとも言えそうです。しかしながら、マイナーとは別に投資目的でビットコインを購入している人たちも存在しているため、単純な値動きにはならないとも考えられます。

半減期後にビットコインの価格はどのように動いた?

前回(2016年)の半減期においては、その1カ月半程前からビットコイン価格の上昇傾向が顕著になり、直前にいったん天井をつけて下落に転じていました。当時のビットコイン価格は1BTC=800ドル弱といった水準でしたが、そこから2017年の前半にかけてじわじわと上昇基調が続いた後、その年の秋口から年末にかけてBTC=2万ドルに到達するまで高騰しています。

あまりにも急激な価格上昇で一般的なニュースでも取り上げられたことから、ビットコインの知名度は一気に高まり、暗号資産を取り扱う事業者も急増しました。その結果、取引に参加する人も大幅に増えており、前回と比べて今回の半減期における市場環境は大きく変わっています。

暗号資産の市場規模は大幅に拡大しており、投資目的で取引に参加する人も増え、半減期に対する認知も高まりました。一方で、2017年末に大天井をつけた後は調整局面が長期化したので、当時のように投資家が楽観一辺倒となる展開も期待しづらくなっています。

さらに言えば、先述したようにマイニングにはハイスペックのコンピュータが不可欠で、消費される電力量も相当な規模に達します。そういったコストに対して1度のマイニングで得られるビットコインの枚数は一定であり、その価格が採算割れの水準まで低下すると、撤退を決断するマイナーも出てきます。

6月初旬に1BTC=1万ドル台に乗せたが・・・・・・

では、実際のところ、今回の半減期前後でビットコイン価格はどう動いたのでしょうか?半減期を意識してか、4月下旬から上昇基調を強め、その数日前に1BTC=1万ドルに到達して、いったんピークアウトしました。

しかし、半減期の到来とともに反発し、5月半ばの高値トライは失敗に終わったものの、6月初旬には再び1BTC=1万ドル台に乗せて直近の高値更新に成功しています。ただ、その水準は2020年2月につけた高値の水準でもあり、その直後からビットコイン価格は急落して同年3月中旬に大底をつけていますので、今回もこのままの高値が続くかどうかはまだ様子を見る必要があるでしょう。今回の上昇局面は2020年3月中旬の大底を起点にスタートしており、2020年2月につけた高値を大きく上抜くことができるかどうかというポイントに、多くの取引参加者が注目しているようです。

半減期とともに、コロナ禍の原油安もビットコインに影響?

ここまで半減期にスポットを当ててきましたが、ビットコインに関してはもう一つ気になる動きがあります。それは、コロナ禍に伴う原油価格の下落です。

グローバルにヒトやモノの移動が滞ったことが原油安の原因ですが、それが発電コストの低下につながり、電気料金が引き下げられる可能性が考えられるのです。そうなれば多くの電力を必要とするマイニングのコストも下がり、マイナーたちのモチベーションが高まることも考えられます。3度目の半減期が到来したビットコインがコロナ渦を追い風に復活となるか、今後注目のトピックになりそうです。

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