2024年、投資界隈に衝撃を与えたのが新NISAの新設です。年間360万円、生涯1,800万円という非課税投資枠は、個人の資産形成を大きく後押しする制度として注目されました。
運用開始から1年以上が経過し、実際に収益を上げている人も増えています。私自身もS&P500連動の投資信託を新NISAで購入し、着実に成果が出始めています。
そして2025年、新たに「プラチナNISA」の創設が報じられました。
プラチナNISAは高齢世帯向けの非課税制度で、NISAでは認められていなかった「毎月分配型投資信託」の購入も可能になる見込みです。
日本では若年層よりも高齢世帯のほうが金融資産を多く保有しており、プラチナNISAが始まればその資金が株式市場へ流れる可能性があります。高齢世帯の資産運用の効率化が進み、市場にも追い風となるでしょう。
2025年、プラチナNISAの新設が報じられました。高齢世帯にとって注目すべきは、非課税投資枠のさらなる拡大に加え、NISAでは対象外だった毎月分配型投資信託への投資が可能になる見込みであることです。
現行のNISAでは、毎月分配型投資信託はNISAの成長投資枠でもつみたて投資枠でも購入できません。その理由は、NISAが「長期的な資産形成を支援する制度」として設計されており、金融庁が毎月分配型の商品はその目的に適さないと判断しているためです。
明確な理由は示されていませんが、背景として考えられるのは、毎月分配型投資信託が運用益の有無にかかわらず分配を出せる仕組みがあり、いわゆる元本を取り崩す「タコ足配当」も収益だと誤認する人が出る可能性があるためと言われています。さらに、分配金を受け取ると再投資による複利効果が得にくくなり、長期的な資産形成には不向きとされています。
こうした手数料や投資効率を踏まえると、NISAにおいて毎月分配型投資信託が対象外となっているのも妥当な判断だと言えるでしょう。
一方、毎月分配型投資信託には、タコ足配当を収益だと誤認するリスクもありますが、ここで考えなければいけないのは、プラチナNISAの対象は高齢世帯だということです。高齢世帯は労働所得(給料など)が得にくいため、毎月分配金が受け取れる商品は「自分年金」として非常に魅力的に映ります。実際、投資信託の販売状況をみると、毎月分配型投資信託は一定の支持を得ており、運用額も大きく成長しています。
これは自分の築き上げてきた資産を運用しながらも、一定程度切り崩して受け取る、年金的な運用でも良いという人にとっては毎月分配型投資信託が「自分年金づくり」への有力な選択肢の一つであるということをさしていると思います。
また、「もし私が毎月の自分年金を作るなら」という点で、投資戦略を考える場合には、毎月分配型投資信託のほかにも、NISAの成長投資枠の対象でもある四半期(3ヶ月)ごとに分配金を支払う投資信託/ETFを隔月決算型の投資信託を組み合わせて、実質的な「毎月分配型」のポートフォリオを構築し、毎月分配金をもらうという手段も検討できると思います。
たとえば、以下のように分配月が異なる3つないし2つの投資信託を組み合わせる方法です。
このような組み合わせだとすでに現在のNISAの制度を活用しながらも、毎月分配を実現しつつ、税制メリットを受けられ、資産効率も高まります。
もちろん「複数の銘柄を組み合わせる」というのは、手間がかかることではあります。このため、「一切の手間をかけたくない」という人にとっては、プラチナNISAが創設されるまでは、引き続き毎月分配型投資信託は「自分年金づくり」へは有力な選択肢になるでしょう。
視点を変えると、既存のNISA対象投資信託を組み合わせることで、自分なりのプラチナNISA枠をすでに作れる手段があることを、皆さんに知っていただければと思います。
※本制度案の情報は、資産運用立国議員連盟のメンバーが高齢者層に特化した新たな非課税投資制度として「プラチナNISA」を提言したことによる複数の報道・マネー誌・金融コラム等をもとにするものです(例:日本経済新聞、NHK、NRI 等)。
※本記事は投資に関わる基礎知識を解説することを目的としており、投資を推奨するものではありません。
※本稿は著者の見解に基づくものであり、Wealth Roadの運営会社の見解を示すものではありません。