新NISAのつみたて投資枠は貯金代わりになる? 5つの違いを解説

新NISAで安定運用を目指すと、普通預金などの貯金代わりになるのでしょうか。本記事では新NISAのつみたて投資枠と貯金を比較しながら、リスクを抑えるポイントなどをまとめました。貯金代わりに活用したい人に向けて、新NISAで投資をする際の注意点も解説します。

新NISAのつみたて投資枠と貯金の違い

新NISAのつみたて投資枠と貯金には、どのような違いがあるのでしょうか。以下では、特に押さえておきたい5つの違いをご紹介します。

1.元本割れのリスク

つみたて投資枠の対象商品は、元本割れのリスクがある投資信託やETFです。元本保証のある金融商品には投資ができないため、相場状況によっては損失がでることもあります。

一方で、普通預金や定期預金、定期積金などには、預金者1人あたり1,000万円までの元本保証が備わっています。ただし、外貨預金や譲渡性預金などは元本保証の対象外となるため、預貯金の種類には注意してください。

2.期待できるリターン

投資信託やETFには、1年間のリターンが数%を超えるファンドが多く存在しています。なかには年間10%以上のリターンを期待できるファンドもあるので、リスクも高い一方で、投資先によっては資産を大きく増やせるかもしれません。

一方で、銀行の普通預金や定期預金は金利が低い傾向にあります。日本銀行が公開するデータによると、定期預金の平均金利は2024年7月時点で0.097%です。

参考:日本銀行「定期預金の預入期間別平均金利(新規受入分)(1)総合

3.積立投資や複利効果の大きさ

新NISAのつみたて投資枠では年数%のリターンを期待できるため、積立投資や複利の効果も自然と大きくなります。複利とは、金融商品の運用益に対してリターンが生じることです。ただし、金融商品の価格は下落することもあるため、投資総額が増えると損失のリスクも同時に高まります。

一方で、普通預金や定期預金は金利が低いため、長年積みたてても大きな運用益は期待できません。

4.資金の自由度

新NISAで運用している資金を現金として使うには、NISA口座から出金をする必要があります。また、ETFは市場が開いているタイミングで売却できますが、投資信託の売却には数営業日ほどかかります。

一方で、普通預金に預け入れた資金は、そのまま引きだして現金として使えます。ただし、定期預金については中途解約をすると適用金利が下がるので注意してください。

5.インフレリスクの大きさ

国内でインフレが起こると、日本円として預け入れていた資金は目減りしてしまいます。仮に定期預金である程度のリターンを期待できたとしても、満期までにインフレが大きく進むと、実質的には損をしてしまう可能性があります。

その点、新NISAでは現金を金融商品に変えることができ、対象商品には海外の資産も含まれるため、つみたて投資枠はインフレ対策に活用できます。

新NISAのつみたて投資枠を貯金代わりにする注意点

新NISAには元本割れのリスクがあるため、貯金代わりにするには綿密な計画を立てる必要があります。ここからは、つみたて投資枠を貯金代わりにする注意点について解説します。

値動きの変動が少ない金融商品を選ぶ

貯金のように安定した資産形成を目指すには、できるだけ損失のリスクを抑えなければなりません。そのため、大きなリターンに期待する投資ではなく、値動きの変動が少ないファンドを選ぶことが重要です。

例としては、さまざまな資産に投資をするバランス型のファンドが挙げられます。また、値動きのばらつきを表す「標準偏差」に目を向けると、変動が少ない金融商品を選びやすくなるでしょう。

資産・地域・時間を分散する

損失のリスクを抑えるには、投資先の資産・地域・時間を分散させることも重要です。

たとえば、株式や債券、REITなどに分散投資をするバランス型のファンドは、特定の資産が下落したときの損失幅を抑えやすい傾向にあります。加えて、世界中の資産に投資をしたり、積立投資で購入のタイミングをずらしたりすると、リスクの分散効果をさらに高められます。

ただし、分散投資をしたからといって、確実にリスクが下がるわけではありません。相場動向によっては損失が膨らむ場合もあるので、目的や状況に合ったポートフォリオを考えることが必要になります。

余剰資金で運用する

どのような投資手法を選んでも、新NISAの損失リスクをなくすことはできません。日常生活への影響を抑えるには、余剰資金の範囲内で運用する必要があります。

余剰資金の考え方はいくつかありますが、以下ではわかりやすい計算式をご紹介します。

金融資産-(3~6ヵ月分の生活費+準備資金)=投資の余剰資金

上記の「準備資金」とは、数年後に使う予定があるお金のことです。例としてはマイホームや自動車の購入費、子どもの進学費用、両親の介護費用などがあります。

数年後の生活を具体的にイメージしながら、投資の余剰資金を計算してみましょう。

新NISAのリスクは分散投資や資金管理で抑えよう

投資先の選び方によっては、新NISAのつみたて投資枠を貯金代わりにできる可能性があります。ただし、対象商品が投資信託やETFである以上は、元本割れのリスクがなくなることはありません。

貯金代わりに活用することを考えている人は、分散投資や資金管理を意識しながら損失のリスクを抑えられるようにつとめましょう。

※本記事は投資信託に関わる基礎知識を解説することを目的としており、特定ファンドの売買や投資を推奨するものではありません。
※過去の実績は将来の運用成果等を保証するものではありません。
※本記事は、2024年9月12日現在のものです。今後制度が変更になる場合もあります。

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