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iDeCoや企業型年金などの確定拠出年金は退職所得控除を活用した一時金受取がお得?

「確定拠出年金」は、拠出された掛金とその運用収益の合計額をもとに、将来の給付額が決まる年金制度です。確定拠出年金には、掛金を事業主が拠出する「企業型年金」と、加入者自身が拠出する「個人型年金(iDeCo)」があります。

近年はiDeCoの普及もあり、確定拠出年金を利用する人が増えています。確定拠出年金の受け取り方にはいくつか種類がありますが、どのように受け取るのが最も得なのでしょうか。

確定拠出年金の受け取り方

確定拠出年金の受け取り方には、大きく分けて以下の3つがあります。

・一時金:それまで貯めたお金を一括で受け取る方法
・年金:それまで貯めたお金を分割で受け取る方法
・その併用:一部を一括で受け取り、残りを分割で受け取る方法

3つ目は併用ですから、具体的な受け取り方法は「一時金」と「年金」ということになります。それぞれ適用される税金が異なるため、それぞれの状況に合わせて選ぶことが大切です。

確定拠出年金は退職所得控除を活用した一時金受取が得な理由

では、一時金と年金ではどちらがお得なのでしょうか。各人の状況によって異なりますが、一時金のほうが有利であるケースが多いようです。

その理由は、税制上の優遇措置があるからです。確定拠出年金を一時金で受け取る場合の収入は、「退職所得」として扱われます。退職金(退職所得)は、長年の勤労に対する報償的給与として一時に支払われるものであることから、退職所得控除を設けたり、他の所得と分離して課税したりすることで、税負担が軽くなるよう配慮されているのです。

退職所得控除とは、退職所得の税金を計算するときに収入金額から差し引ける控除のことです。退職所得控除額が大きくなるほど課税所得が小さくなるため、結果として税負担が小さくなります。

「一時金」と「年金」の税金の違い

ここからは、「一時金」と「年金」の税金の具体的な違いを見ていきましょう。まず、一時金(退職所得)の計算式は以下のとおりです。

(源泉徴収される前の収入金額−退職所得控除額)× 1/2=退職所得の金額

退職所得控除額は、以下のように計算します。例えば拠出年数が30年の場合は、800万円+70万円×10年=1,500万円までは非課税になります。

勤続年数(拠出年数)(A) 退職所得控除額
20年以下 40万円×A
(80万円に満たない場合は80万円)
20年超 800万円+70万円×(A−20年)

退職所得控除額を超える金額がそのまま退職所得額になるわけではなく、それに1/2を乗じた金額が退職所得額になります。

確定拠出年金を年金で受け取る場合も、「公的年金等控除」という控除があります。公的年金等控除額は、年金を受け取る人の年齢や公的年金等の収入金額の合計額、公的年金等に係る雑所得以外の所得によって変わります。

例えば、公的年金等に係る雑所得以外の所得が1,000万円以下で、65歳未満の人が確定拠出年金を年金で受け取る場合は、年間60万円まで非課税になります。その人が65歳以上になると、年間110万円まで非課税になります。

気をつけたいのは、これらは確定拠出年金だけではなく、国民年金や厚生年金、共済組合など他の年金も含めた金額であることです。確定拠出年金にまとまった金額が貯まっている場合は、他の年金も受け取っている可能性が高いでしょう。

その場合は、非課税枠を上回って税金が発生する可能性があります。また、退職所得は原則として他の所得と分離して計算できますが、年金として受け取る場合は公的年金等に係る雑所得以外の所得額によっては税負担が大きくなります。

このように「一時金」と「年金」の税金を比べると、優遇されているのは一時金といえます。確定拠出年金に貯まっている金額や拠出年数、確定拠出年金以外の年金額、公的年金等に係る雑所得以外の所得などによって変わりますが、より優遇されている一時金の手残りの方が大きくなるケースが多いでしょう。

経済的合理性が高い受取方法を選ぼう

ここまで、確定拠出年金の受け取り方の種類や、一時金受取がお得である理由などについて解説してきました。一時金の方がお得なケースが多いからといって、闇雲に一時金を選べば良いわけではありません。

大切なのは、「自分は確定拠出年金でどのくらいのお金を受け取れるか」を知ることです。それを踏まえて、拠出年数や他の年金の状況、年金以外の収入などを鑑みながら、経済的合理性が高い受取方法を選んでください。

※上記は参考情報であり、特定の受け取り方法を推奨するものではありません。各個人の状況やその時々の税制などによっても異なりますので、税金については税理士にご相談ください。

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