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2021年後半の見通し:経済の加速と一時的なインフレを予想

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〔要旨〕

基本シナリオ:2021年後半の、一時的なインフレを伴う力強い経済成長の再加速を見込む

テールリスク1:既存のワクチンの有効性が大幅に低下する、より強力な変異ウイルスの感染拡大の可能性

テールリスク2:強力な経済の再加速が、インフレのより持続的な上昇を伴う可能性

基本シナリオ

一時的なインフレを伴う力強い経済成長の再加速を想定。ワクチン接種が進んでいる米国が世界経済の回復を主導すると見込む。株式、不動産、工業用金属を選好

パンデミックの再来のシナリオ

「パンデミックの再来」を想定するシナリオでは、世界経済の成長に悪影響を及ぼすものの、その影響は新型コロナウイルスの第一波ほど深刻ではないと見込む。金、ソブリン債、投資適格社債、現金を選好

高インフレのシナリオ

インフレの上昇とFRBの金融引き締めを予想し、インフレ期待の高まりを背景にイールドカーブがスティープ化するものの、先一年のFRBによる利上げはないと見込む。コモディティ、株式、不動産、インフレ連動債を選好

2021年の見通しについて、「基本シナリオ」のほか、「パンデミックの再来」と「高インフレ」という2つの異なるテールリスクの可能性を探ったシナリオを用意

1年余りで、世界は信じられないほど大きく変化しました–新型コロナウイルスの世界的な大流行(パンデミック)にさらされ、世界的な景気後退に陥りました。パンデミックが始まって以降、私たちはこのブラックスワンシナリオ(事前にほとんど予想できず、起きたときの衝撃が大きい事象)を理解しようと努め、私たちの洞察と見通しをクライアントと共有してきました。

私たちは2020年末に2021年の投資展望を発表し、2021年の見通しを共有しました。その見通しにおいて、私たちの基本シナリオでは、有効性が高く、感染率を低下させるワクチンが供給され、米国は4‐6月期に力強い経済再開がなされ、ユーロ圏がそれに続くと予想しました。そのような投資環境では、リスク資産に注目し、ディフェンシブ資産よりもシクリカル資産を選考しました。そして、私たちの予想の多くが実現しました。

さて、私たちは、最も経験豊かな投資専門家とソートリーダーチームのメンバーによる2021年の後半の見通しを更新しました。今後考えられる投資環境について、非常に可能性が高いと私たちが考える基本シナリオのほか、異なるテールリスクを想定した2つのシナリオを用意しました。

基本シナリオ:一時的なインフレを伴う力強い経済成長の再加速

基本シナリオでは、一時的なインフレを伴う力強い経済成長の再加速を想定。ワクチン接種が進んでいる米国が世界経済の回復を主導すると見込む。株式、不動産、工業用金属を選好

私たちの基本シナリオでは、経済が再開するに従い成長のスピードは加速するものの、それに伴うインフレの上昇は一時的なものであると予想します。米国は非常に効果的にワクチン接種が進んでおり、中国の経済成長が鈍化するにつれて、米国が世界経済の回復を主導すると見込まれます。また、英国とユーロ圏が米国の景気回復に続くと見込まれる一方で、一部の新興国はワクチン接種が進んでいないために概して景気回復が遅れ、新型コロナウイルスの感染が再び拡大する恐れがあります。経済が再開し、支出が増加するにつれて、特に米国では米連邦準備理事会(FRB)が予想するようにインフレの大幅な上昇が見込まれます。私たちは、インフレについて、コロナ危機前よりは高いものの中央銀行による利上げをもたらすほどではない水準にまで落ち着くと予想しています。長期的には、人口動態とイノベーションによりインフレに下押し圧力がかかると予想しています。

基本シナリオでは、投資家がより多くのリスクを取ることで利益を得ることができると予想されることから、株式、不動産、工業用金属を選好します。力強い景気回復への期待を考えると、株式においては、グロース株よりもバリュー株を、ディフェンシブセクターよりも資本財、素材、金融を選好します。また、現在の投資環境では小型株を選好します。債券では、ハイイールド債と投資適格債が国債をアウトパフォームすると予想しています。地域的には、経済成長の改善と米ドル安の予想が好材料となる欧州と新興市場を選好します。

テールリスク1:パンデミックの再来

「パンデミックの再来」を想定するシナリオでは、世界経済の成長に悪影響を及ぼすものの、その影響は新型コロナウイルスの第一波ほど深刻ではないと見込む。金、ソブリン債、投資適格社債、現金を選好

私たちの一つ目のテールリスクシナリオでは、既存のワクチンの効果が大幅に低下する、より強力な変異ウイルスがまん延することで、パンデミックが再び発生すると想定しています。私たちは、これは世界経済の成長に悪影響を及ぼすものの、経済が封鎖措置(ロックダウン)に適応し、新型コロナウイルスの感染拡大を抑え込むための方法を生み出していることから、その影響は新型コロナウイルスの第一波ほど深刻ではないと考えます。ただし、新興国では医療インフラが相対的に限定されていることとワクチン接種の遅れから、経済は最も大きな打撃を受ける可能性があります。

このような低成長の環境では、金、ソブリン債、投資適格社債、現金を選好します。株式では、安定したキャッシュフローとより広い利益マージンを持つディフェンシブセクターを選好します。一方で、最近のバリュー・ローテーションの流れが止まり、イールドカーブのフラット化によって金融セクターが打撃を受けることから、シクリカルセクターがアンダーパフォームすると見込まれます。

テールリスク2:高インフレ

「高インフレ」シナリオでは、インフレの上昇とFRBの金融引き締めを予想し、インフレ期待の高まりを背景にイールドカーブがスティープ化するものの、先一年のFRBによる利上げはないと見込む。コモディティ、株式、不動産、インフレ連動債を選好

私たちの二つ目のテールリスクシナリオは、より持続的なインフレの上昇を伴う力強い経済成長の再加速です。このシナリオでは、インフレの加速を伴う急速な経済成長を想定しています。市場関係者は、インフレの上昇とFRBの金融引き締めを予想し、インフレ期待の高まりを背景にイールドカーブがスティープ化しますが、私たちのシナリオが想定する1年間ではFRBの利上げはないと見込まれます。

このシナリオでは、コモディティ、株式、不動産、インフレ連動債を選好します。株式では、金利感応度の違いによって悪化するなど、セクター間のパフォーマンスのばらつきが大きくなると予想しており、金融はイールドカーブのスティープ化の恩恵を受ける可能性が高そうです。生活必需品、ヘルスケア、テクノロジーなどのデュレーションの長いセクターはパフォーマンスが低下する一方で、資本財、素材、エネルギーなどの実物資産の特性を持つセクターはアウトパフォームすると見込まれます。債券では、国債をアウトパフォームする、リスクの高いクレジット商品(ただし新興国債券を除く)に注目します。

今後の見通し

今回の経済危機が持つ独特の性質を考えると、2021年後半以降の景気回復の道筋は多くの要因に決定づけられるでしょう。2021年後半に進むにつれ、新型コロナウイルスのワクチン接種レベルと感染率、財政政策、金融政策、経済状況を注視します。

クリスティーナ フーパー
チーフ・グローバル・マーケット・ストラテジスト

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