数多くのファンドの中から自分の期待に合うファンドを見つけるためには、投資信託のランキングを参考にするのが効率的です。しかし、ランキング上位のファンドが自分にとって必ずしも良いとは限りません。なかでも分配金利回りには注意が必要です。投資対象ファンドのパフォーマンスの良し悪しを自分で判断できるよう、分配金利回りについて知っておきましょう。
投資信託ランキングとは?
投資信託のランキングとは、パフォーマンスの良いものや買付数の多いものなどを上位から順に並べたものです。証券会社や投資信託の評価会社など多くの金融商品取扱業者がホームページ上で提供しています。ランキングには、さまざまな視点での順位付けがあり、例えば以下のようなものがあります。
- 買付(販売件数)ランキング
- 純資産総額ランキング
- 収益率(騰落率)ランキング
- 分配金利回りランキングなど
買付金額や販売件数のランキングは、一定期間(前月、前週など)の買付金額(買付件数)が多かった投資信託のランキングです。「良く売れている=他のみんなが買っている」という人気投票のようなもので、投資初心者にはありがたい情報でしょう。「より多くの人が買っている」という情報は、純資産総額ランキングでも知ることができます。
純資産総額とは、投資信託が保有している株式や債券の時価評価額に利息や配当金などを加え運用コストなどを差し引いた額のことです。純資産総額は運用成果によっても変動しますが、純資産総額が大きいほど投資家から集めたお金が多いことになります。ただし多くの人が買っているからリターンが良かったりリスクが低かったりするわけではありません。
投資信託のパフォーマンスを知るためには、収益率ランキングを見ると参考になるでしょう。収益率とは、ある一定期間のはじめと終わりでどれだけ価格が変動したかを表す指標のことで、1ヵ月、3ヵ月、6ヵ月、1年、3年などさまざまな期間で確認することが可能です。金融機関によっては「騰落率」「リターン率」という場合もあります。
しかし販売手数料や分配金にかかる税金などは考慮されていません。そのため、実際の利回りとは異なる場合があります。パフォーマンスのランキングとして他に参考になるのが分配金利回りのランキングです。
分配金利回りは、投資信託の基準価額に対して過去の一定期間(1年など)に支払われた分配金の合計額がどれぐらいであるかを表したものであり、投資信託の収益などから投資家に還元される分配金の水準を測る目安です。ただし、収益率も分配金利回りもあくまで過去の成績に基づく指標のため、将来的に約束されたものではないことは知っておきましょう。
分配金利回りの計算方法は?
いくつかあるランキングの中でも収益率や分配金利回りなどのパフォーマンスに関するランキングが気になる人は多いのではないでしょうか。とりわけ長期運用を心がけるなら基準価額の変動差益よりも投資信託を保有している間に支払われる分配金の内容が気になるものです。そのため分配金利回りを気にしてチェックする人もいるかもしれません。
ランキングで表示されている数値を見て利回りの高低を比較するだけでなく、分配金利回りの計算方法を知っておきましょう。分配金利回りは、過去1年間の分配金の累計額を直近の基準価額で割って計算するのが一般的です。計算式で示すと以下のようになります。
- 分配金利回り=過去1年間の分配金の累計額÷直近の基準価額
例えば、過去1年間に支払われた分配金の累計額が600円で、直近の基準価額が1万円の場合は、分配金利回りは6%になる計算です。
分配金利回りの注意点
前述したように分配金利回りとは投資信託の収益などから投資家に還元する分配金の水準を測る目安となる指標です。しかし、分配金利回りが高いことが投資信託のパフォーマンスの良さを示しているとは限りません。なぜなら過去1年間の分配金累計額が同じなら、直近の基準価額が低ければ低いほど利回りは高くなります。
基準価額は日々変動しているため、基準価額が値下がりした投資信託ほど上位にランキングされている可能性があるのです。また、分配金の種類には運用の成果から支払われる「普通分配金」のほか、元本を取り崩して支払われる「特別分配金」があります。元本を取り崩して分配金を支払うとその分だけ基準価額は下がるため、これも分配金利回りが高くなる要因の一つです。
分配金利回りと合わせてチェックしたいのが分配金に占める普通分配金の比率を示す「分配金健全度」。前述したように普通分配金は投資信託の運用収益から支払われる分配金です。特別分配金とは異なり、元本を支払ってもその分基準価額が下がることはなく分配金健全度が高い投資信託ほど評価が高くなります。
見た目の数字に惑わされず、数字の中身を判断しよう
投資信託を購入するならできるだけパフォーマンスのよいものを選びたいと考えるのは当然でしょう。そのためにも投資信託のランキングは上手に活用したいツールです。しかしランキング上位のものがパフォーマンスの良いものとは限らないことが理解できたのではないでしょうか。大切なのは数字が表す中身を判断できるようになることです。
さまざまなランキングを組み合わせてチェックしながら数字の中を精査することでお気に入りの投資信託を見つけていきましょう。
※本記事は投資に関わる基礎知識を解説することを目的としており、投資を推奨するものではありません。