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〔要旨〕
- 強いデータと弱いデータ:先週の雇用統計は比較的堅調だったが、住宅関連データは弱含みとなり、インフレは概ね抑制された状態が続いた
- 勝者と敗者:ソフトウェア株は下落したが、シクリカル株は好調に推移し、半導体株は下落局面を迎えてはいない
- 関税、米国債、AI:関税の影響は一部の財にとどまり、米国債への需要は堅調で、AI関連銘柄のバリュエーションの正常化が進んでいる
強いデータと弱いデータ
勝者と敗者
投資家の懸念点に答える
注目の日程
スーパーボウルでは、約18億ドルが賭けられたと推計されています1。そのうち約70%は、勝敗そのものを当てる伝統的な賭けではなく、いわゆるプロップベット(さまざまな個別事象に対する賭け)だったとされています2。国歌斉唱の長さ、勝利した監督にかけられるゲータレードの色、あるいはコイントスの表裏といった対象に、どの程度の金額が賭けられたかは分かりません。ただ言えるのは、表か裏かの賭けの方が、より「有利な賭け」だということです。真に50%-50%の確率であるコイントスは、公平なゲームに近い数少ない賭けの一つと言えます。
こういう話を持ち出したのは、またしても市場にとって厳しい一週間となったからです3。だからといって、投資ではなくギャンブルを勧めたいわけではありません―むしろその逆です。市場は長期的に見て、スーパーボウルのプロップベットよりもはるかに信頼できる対象です。とはいえこの比喩は、最近の経済指標の流れを考える上で有用です。それはまるで、「表でも勝ち、裏でも勝ち」の環境のように感じられるからです。一方では、成長が弱まれば米連邦準備理事会(FRB)による緩和が早まる、あるいはより深化する可能性が高まります。他方で、成長が強まれば、景気循環が健全に維持されているとの見方が補強されます。インフレが抑制された状態である限り、いずれの場合も市場を支える要因となり得ます。
強いデータと弱いデータ
先週は雇用統計が比較的堅調だった一方で4、住宅関連データは弱含みでした5。金利への感応度の高い一部セクターが圧迫されていたとしても、失業率が低水準にとどまる限り、景気後退に陥るのは難しいと言えます。同時に、先週発表された消費者物価指数(CPI)は、財部門を含め、インフレが概ね抑制された状態にあることを示しました6。これはFRBに、利下げを行う余地を与えます。理論上、金利低下は住宅を含め、金利への感応度の高い分野にとって追い風となり得ます。より一般的に言えば、経済成長が崩れない限り、低金利は株価を下支えする傾向にあります。
勝者と敗者
ただし、今月ここまで市場の一部、とりわけソフトウェア株で見られた惨状を踏まえると、このメッセージがどう受け止められるかは理解しています7。痛みは現実に存在します。一方で、資本財・サービスやエネルギーといったシクリカル株が、この1カ月堅調に推移している点も注目に値します8。半導体株についても、広範な下落とは程遠い動きを見せています9。ソフトウェア分野ではより市場の選別が進み、勝者と敗者が明確化しつつあります。同時に、テクノロジー領域で進む投資規模と、その成長に参画できる企業群に対しては、建設的な見方が維持されています。
投資家の懸念点に答える
投資家が昨年懸念していた点について、最後に3つの考察を述べて締めくくりたいと思います。
- 第1に、寄せられた最大の問いの1つは、関税がインフレ要因になるかというものでした。財の観点からは答えはイエスですが、財は消費者物価バスケットの中で相対的に小さな割合を占めるに過ぎず、価格への影響は短期的なものにとどまりやすい傾向があります。最近の落ち着いたインフレデータは、この見方を裏付けるものとなっています10。
- 第2に、世界の投資家が米国債を見限り、米国が債務の資金調達に苦慮するのではないかとの懸念が根強くありました。これに対し、私たちは懐疑的でした。先週の米30年物国債入札はオーバーサブスクライブ(需要が大幅に上回る状態)され、30年物利回りは4.7%を下回りました11。
- 第3に、いわゆる人工知能(AI)バブルについての問いがありました。一部銘柄では明らかに過熱が解消されつつありますが、何もかもがバブルと見なされる必要はありません。直近の変動後も主要指数は過去最高値からそれほど離れておらず12、一部の成長企業ではバリュエーションがより合理的な水準に落ち着きつつあるようです。長期投資家にとっては、よい機会となるかもしれません。
注目の日程
| 公表日 | 国・地域 | 指標等 | 内容 |
|---|---|---|---|
| 2月16日 | 米国 | 大統領の日のため市場休場 | 米国の株式・債券市場が休場、世界的に流動性が低下 |
| 2月16日 | カナダ | ファミリー・デーのため市場休場 | 北米の取引が減少 |
| 2月16日 | 中国 | 旧正月 | アジア市場の流動性が低下 |
| 2月17日 | 英国 | 雇用統計 | イングランド銀行(BOE)政策見通しにとっての重要材料 |
| 2月17日 | カナダ | 消費者物価指数(CPI)(1月) | カナダ銀行の政策を導くインフレ圧力を測定 |
| 2月17日 | ドイツ | CPI(1月、確報値) | ECB政策に対するインフレ示唆 |
| 2月18日 | ニュージーランド | ニュージーランド準備銀行政策決定 | アジア太平洋における金利見通し |
| 2月18日 | 英国 | CPI(1月) | BOEにとって重要なコアインフレ動向 |
| 2月18日 | 米国 | 米連邦公開市場委員会(FOMC)会合議事要旨 | FRBの政策的バイアスに関する洞察 |
| 2月19日 | オーストラリア | 雇用統計 | 労働市場の健全性とオーストラリア準備銀行の見通し |
| 2月20日 | 中国 | 中国人民銀行政策金利決定 | 中国の成長への金融面での下支え |
| 2月20日 | 米国 | 国内総生産(GDP)(第4四半期、速報値)、個人消費支出(PCE)インフレ | 成長の重要指標であり、FRBが選好するインフレ主要指標 |
| 2月20日 | ユーロ圏/英国/米国 | 購買担当者景気指数(PMI)速報値 | 世界経済のモメンタムについての早期の示唆 |
- 1.出所:アメリカン・ゲーミング・アソシエーション、2026年2月
- 2.出所:アメリカン・ゲーミング・アソシエーション、2026年2月
- 3.出所:ブルームバーグL.P.、2026年2月12日、S&P500種指数の4日間リターン(-1.41%)に基づく
- 4.出所:米労働統計局、2026年1月31日、非農業部門雇用者数に基づく
- 5.出所:全米リアルター協会、2026年1月31日、中古住宅販売件数に基づく
- 6.出所:米労働統計局、2026年1月31日、米消費者物価指数に基づく
- 7.出所:ブルームバーグL.P.、2026年2月12日、S&P500ソフトウェア産業(GICSレベル3)指数の1カ月リターン(-17.14%)に基づく。同指数は、アプリケーション・ソフトウェア、システム・ソフトウェアの産業サブグループを含む、主にソフトウェア開発関連の米国大型株の動向を追跡
- 8.出所:ブルームバーグL.P.、2026年2月12日、S&P500資本財・サービスセクター(GICSレベル1)指数、S&P500エネルギーセクター(GICSレベル1)指数の1カ月リターン(それぞれ+6.72%、+16.19%)に基づく。前者は世界産業分類基準(GICS)で定義されるS&P500種指数の中の資本財・サービスセクターを表し、資本財、商業・専門サービス、運輸関連企業を含む。後者は同様にGICSで定義されるS&P500種指数の中のエネルギーセクターに分類される企業で構成される時価総額加重平均指数であり、石油・ガスの採掘、生産、精製、関連機器の関連企業を含む
- 9.出所:ブルームバーグL.P.、2026年2月12日、S&P500半導体・半導体製造装置産業グループ(GICSレベル2)指数の1カ月リターン(+0.66%)に基づく。同指数は、情報技術セクターのうち半導体産業サブグループの米国大型株のパフォーマンスを測定し、半導体の素材、機器、製造装置関連企業の動向を追跡
- 10.出所:米労働統計局、2026年1月31日、米消費者物価指数に基づく
- 11.出所:米財務省、ブルームバーグL.P.、2026年2月13日
- 12.出所:ブルームバーグL.P.、2026年2月12日、S&P500種指数とダウ工業株30種平均に基づく
ブライアン ・レヴィット
チーフ・グローバル・マーケット・ストラテジスト
ベンジャミン ・ジョーンズ
ヘッド・オブ・グローバル・リサーチ
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MC2026-023