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〔要旨〕
- 市場の売り:先週の売りの局面では、ソフトウェア株、金、銀、ビットコインなど、モメンタム主導の市場分野が影響を受けた
- 明るい材料:製造業関連データと企業決算からの示唆は、重いムードの週に明るい材料を提供した
- 今後の見通し:セクター・ローテーションが起こっている局面では居心地悪く感じることもあるが、こうした局面がより持続的な相場上昇の土台を築く助けとなることも多い
製造業データと企業決算に見られる前向きな材料
ファンダメンタルズ環境は引き続き追い風
注目の日程
「どんなに良いことにも、わずかに悪いことが混ざるものだ(Every silver lining has a touch of grey)。」 1987年のグレイトフル・デッドのこの歌詞は、先週の世界市場を特徴づけた混在するシグナルをよく表現しています。もっとも、先週の市場下落がほとんど嵐のように感じられた多くの投資家にとっては、「わずかな」悪いこと、という表現に疑問符がつくでしょう。しかしソフトウェアセクターの売りや1、市場の他のモメンタム主導の分野での調整といった惨状に目を奪われがちですが、S&P500種指数構成銘柄の20%近くが先週、最高値を更新したという事実もあります2。さらに視野を広げれば、ニューヨーク証券取引所の上場銘柄のおよそ3分の2が、依然として200日移動平均を上回って取引されています3。
それでも市場の複数のモメンタムが主導する分野で見られた反転は、とりわけ印象的でした。大きく上昇していた金は下落し4、 銀は急落しました5。ビットコインも同様に下落し6、いまや10月のピークからほぼ半分の水準まで下落しています。この弱気相場はソフトウェア業界にも波及しました。大手AI企業が、従来ソフトウェアが高収益を得てきた領域へより深く踏み込む力をつける中で、長期的なビジネスモデルの持続性に対する懸念が高まっているためです。実際、S&P500ソフトウェア産業(GICSレベル3)指数に含まれる32銘柄のうち、2026年2月5日までの5日間でプラスのリターンを記録した銘柄は一つもなく、マイクロソフト、パランティア、オラクル、セールスフォースといった先端を行くソフトウェア企業は、いずれも2桁の下落となりました7。
製造業データと企業決算に見られる前向きな材料
ここで、私が約束した明るい材料について触れましょう。まず、米国経済の先行指標と見なされるISM製造業購買担当者景気指数(PMI)は、直近の値で予想を上回りました8。ヘッドライン指数は、主に新規受注の大幅な改善に支えられ、大きく上昇し拡大領域に入りました。加えて心強いのは、支払価格指数がここ3カ月、ほぼ横ばいで推移していることです。株式市場と米連邦準備理事会(FRB)が、インフレ圧力を再燃させずに経済活動を安定させようと模索する中で、この組み合わせは望み得る限り最も好ましい状況と言えるでしょう。
次に、企業決算も概ね前向きな材料を追加しました。例えば、アルファベットとアマゾンはいずれも決算説明の中で、来年度に向けた意欲的なAI投資計画を強調しました9。こうした計画は、半導体関連企業や先端データセンター建設に関わる企業の継続的な底堅さを支えると考えられます。さらに注目すべきは、輸送機器、機械、電力技術などの分野で目下進行中のモメンタムを示唆する堅調な決算を、資本財・サービス企業が発表した点です10。エネルギーセクターは、2026年に入って力強い市場リターンを記録しています11。
概して、S&P500種指数の大半のセクターは、年初来プラスを維持しています12。米国以外の株式市場も上昇を保っています13。これらの動きは、私たちが2026年の市場見通しで強調した、ごく限られた銘柄群が勝者の座を占める期間を経て、市場のリーダー(勝ち組となる主導銘柄)がより幅広く入れ替わっていくという「リバランス」のテーマとよく合致しているように思われます。私たちの見立てでは、いま起きているのはサイクルの崩壊でも、懸念されてきたAIバブルの破裂でもなく、むしろモメンタムが一服する局面で通常見られる健全な調整です。
ファンダメンタルズ環境は引き続き追い風
投資家に対するメッセージは、まず深呼吸をすることです。ローテーション局面は、特に数週間前まで力強いパフォーマンスを牽引していた資産に影響が及んだ際に居心地悪く感じられるかもしれません。それでもこうした局面は、より持続的な相場上昇の土台を築く助けとなる場合が多くあります。ジェリー・ガルシアが歌ったように、「私たちは乗り越えられます(”we will get by.”)」。先週の市場のボラティリティや、悪い面(touch of grey)がやや濃さを増したように感じられる感覚を踏まえても、ファンダメンタルズ環境は引き続き追い風的です。最後にもう一度、1987年のグレイトフル・デッドの歌詞を引用するなら、強気相場は「生き残る(”will survive”)」—私はそう見ています。
注目の日程
| 公表日 | 国・地域 | 指標等 | 内容 |
|---|---|---|---|
| 2月9日 | 米国 | 卸売在庫(12月) | サプライチェーンおよび販売動向の指標 |
| 2月10日 | 米国 | 雇用コスト指数(第4四半期) | 労働コスト上昇圧力の指標 |
| 2月10日 | 米国 | 貿易価格指数(12月) | 貿易財におけるインフレ動向 |
| 2月11日 | 米国 | 雇用統計(1月) | 労働市場の主要指標 |
| 2月11日 | 米国 | 米財務省声明(1月) | 財政状況に関する示唆を与える |
| 2月11日 | カナダ | 建築許可件数(12月) | 建設セクターの活動を示す |
| 2月12日 | 米国 | 中古住宅販売件数(1月) | 住宅市場の健全性を示す |
| 2月12日 | 英国 | 国内総生産(GDP)(第4四半期) | 経済成長の指標 |
| 2月12日 | 英国 | 鉱工業生産(12月) | 産業セクターの強さを示す |
| 2月12日 | 英国 | 貿易収支(12月) | 対外貿易収支 |
| 2月13日 | 米国 | 消費者物価指数(CPI)(1月) | インフレの指標 |
| 2月13日 | ユーロ圏 | 国内総生産(GDP)(第4四半期) | ユーロ圏の経済成長 |
| 2月13日 | ユーロ圏 | 貿易収支(12月) | 貿易動向を示す |
- 1.出所:ブルームバーグL.P.、2026年2月5日、S&P500ソフトウェア産業(GICSレベル3)指数のリターンに基づく。同指数は2026年1月30日の市場終値から2026年2月5日までに9.91%下落した。同指数はソフトウェア産業株のパフォーマンスを測定
- 2.出所:エバーコアISI、2026年2月5日
- 3.出所:ブルームバーグL.P.、2026年2月5日、NYSE上場株のうち200日移動平均を上回って引けた銘柄の割合(2026年2月5日の市場終値時点で66.28%)に基づく
- 4.出所:ブルームバーグL.P.、2026年2月5日、トロイオンス当たりの金スポット価格(2026年1月28日に5,417ドルでピークを付け、2026年2月5日には4,779ドルまで下落)に基づく
- 5.出所:ブルームバーグL.P.、2026年2月5日、トロイオンス当たりの銀スポット価格(2026年1月28日に116ドルでピークを付け、2026年2月5日には70ドルまで下落)に基づく
- 6.出所:ブルームバーグL.P.、2026年2月5日、1ドル当たりのビットコインのスポットレート(2026年1月14日に2026年最高値の97,557ドルを付け、2026年2月5日の終値が63,083ドル)に基づく。ビットコインの過去最高値は、2025年10月6日に記録した125,260ドル
- 7.出所:ブルームバーグL.P.、2026年2月5日、S&P500ソフトウェア産業(GICSレベル3)指数のリターンに基づく。2026年2月5日までの5日間で、マイクロソフト、パランティア、オラクル、セールスフォースはそれぞれ9.19%、14.39%、19.25%、11.26%下落した。同指数はソフトウェア産業株のパフォーマンスを測定
- 8.出所:米供給管理協会、2026年1月31日、ディフュージョン・インデックスは、12月の47.9から1月は52.6に上昇した。ISM製造業PMIは、米国製造業の購買・供給担当者への調査に基づく複合指数。50が拡大と縮小の分岐点とされる
- 9.出所:CNBC、“Alphabet resets the bar for AI infrastructure spending”、2026年2月4日;ロイター、“Amazon sees 50% boost to capital spending this year, shares tumble”、 2026年2月5日
- 10.出所:モーニングスター、“Industrials Up on Strong Earnings — Industrials Roundup”、2026年2月3日
- 11.出所:ブルームバーグL.P.、2026年2月5日、S&P500エネルギーセクター(GICSレベル1)指数のリターン(年初来で17.26%上昇)に基づく。同指数はエネルギーセクター株のパフォーマンスを測定
- 12.出所:ブルームバーグL.P.、2026年2月5日、S&P500種指数のGICSレベル1セクターに基づく:エネルギー(17.10%上昇)、生活必需品(12.53%上昇)、素材(10.49%上昇)、資本財・サービス(8.52%上昇)、コミュニケーション・サービス(2.63%上昇)、不動産(2.48%上昇)、公益事業(0.96%上昇)、ヘルスケア(0.07%下落)、一般消費財・サービス(2.31%下落)、金融(2.90%下落)、情報技術(6.84%下落)
- 13.出所:ブルームバーグL.P.、2026年2月5日、MSCIオール・カントリー・ワールド指数(米国を除く)の2026年初来リターン(5.21%)に基づく。MSCIオール・カントリー・ワールド指数(米国を除く)は、米国を除いた先進国および新興国市場の大型株・中型株を対象とし、それらの動向を代表するものとみなされる(運用されていない)指数
ブライアン ・レヴィット
チーフ・グローバル・マーケット・ストラテジスト
ベンジャミン ・ジョーンズ
ヘッド・オブ・グローバル・リサーチ
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MC2026-018