収入や社会的なライフステージは年齢とともに変化します。リスク資産の運用も、このような変化に合わせて適応させていく必要がありますね。投資・運用の考え方にはいろいろなものがあるものの、私の経験を踏まえて、私、たぱぞうが考える年代別の投資の仕方について今回はお話をさせて頂きます。あくまでも私個人の考えであり、読む方にとっては参考にならないこともあるかもしれませんが、その際はご容赦ください。
目次
リスク許容度と現金比率の考え方
根本的な考え方としては、ジェレミー・シーゲル氏の著書『株式投資の未来』でも示される通り、長期的な運用は株式を軸とするのが良いでしょう。債券やREITと比べて、長期的なリターンが安定して大きいからですね。
ただし、株式の運用はリスクが大きめです。ここでいうリスクとは、リターンの変動幅、ボラティリティのことです。ボラが高い分、短期的にはマイナスになることもありえます。
リスク許容度は、運用期間が長ければ長いほど大きくなります。そして、運用期間が長ければ長いほどリターンもより大きくなることが期待できますね。
生活防衛資金は、年齢=現金比率(%)を一つの目安としています。20代なら20%といった具合です。ただ、若いうちはさらに積極的に運用しても良いですね。運用期間が長く取れるからです。
これらを踏まえて、「保守的に」年代別ポートフォリオの目安を私なりにまとめました。あくまで私見になりますが、ご参考になれば幸いです。
20代:積極的なリスクテイク期 - リスク資産比率:80%〜100%
失敗を恐れずに経験を積み、まずは王道のインデックス投資から
私自身は、20代から投資を始めました。その頃は日本株の個別株でデイトレ含めて短中期で動かしていました。長期保有が難しい時代でした。それでも時代に応じた修正を重ねて米国株投資の型におさまりました。失敗ができる、取り返しがつくというのは20代の最大の強みですね。
20代前半なら40年近くの運用が可能であり、どのような状況でも取り返すチャンスがあります。また、投資をし始める初期は金額もそう大きくはありません。失敗してもやり直しがききやすいという利点もありますね。
そのため、積極的なリスクテイクが可能といえるでしょう。とはいえ、あれこれ手出しをするのは得策ではありません。S&P500指数や全米の株式に投資する方法あるいは世界株の指数に投資する方法などがまず最初の投資の王道としてはよいのではないでしょうか? 慣れてきたら、指数を超えるアクティブ運用なども検討するのがよいかもしれません。サテライトでは、成長性に期待ができるNASDAQ100や、株とは違う性格を持つBTCや金を含めても良いでしょう。
投資を始める際には、税効率の良いNISAやiDeCoを最大限活用しつつ、コツコツと毎月積立投資を継続する習慣を身に着けていくのが良いでしょう。暴落時には積極的な買い増しをするなど、相場に合わせた柔軟な投資をしやすいのも、20代にぴったりの投資戦略ですね。
30代:攻めの投資を継続 - リスク資産比率:70%〜90%
ライフプランの変化に合わせた調整と急落もチャンスに変えていく
30代は時間的余裕がたくさんある世代です。20代に引き続き株式投資中心のポートフォリオが適切です。極端な話、30代で独身であれば、株式の比率は10割でもよいとも言えます。
家族構成やライフプランの変化が生じ始める世代でもあり、外的な要因でリスク許容度が変わりやすい世代でもあります。リスク資産比率は70%を基準としつつ、個々のリスク許容度に応じて設定すると良いでしょう。
20代から投資を始めてきた方は、投資にもだいぶ慣れてくるころかもしれません。リーマンショックやコロナショックのような急落の時は絶好の買い場です。そのような時には柔軟にポートフォリオを調整しても良いでしょう。
さらに積極的な投資をしたい方は、セクターに絞った攻めの投資なども検討可能です。ハイテク系の銘柄にしぼったり、米国の成長を代表するセクターに投資したりするのも良いでしょう。ただし、そのような銘柄はボラが激しいので、損失も一時的に大きく出る可能性もあります。適切なリスク管理が求められますね。
40代:分散投資の開始期 - リスク資産比率:60%〜80%
株式以外の資産クラスへも目配り
40代になると投資の分散先を真剣に考える時期に入ります。この年代では資産が5000万円や1億円を超えている人は、投資の分散先を検討すべきでしょう。私自身も40代前半で太陽光発電から事業的な投資を始め、その後不動産投資も加わるようになりました。
S&P500をコアにするなど、軸となる株式投資は引き続き継続するのが良いでしょう。そのうえで、ある程度の資産ができてくると、株式の価格変動がストレスになり始めてきます。そのような場合には、株式以外への投資を本格的に検討するのが良いでしょう。
ハードアセットに抵抗があるならば、不動産投資信託(REIT)やインフラファンドなど、株式とは異なる値動きをする投資対象も見てみると良いでしょう。時代にもよりますが、従来投資してきていない海外株や暗号資産、あるいは金なども投資対象に上がってくるかもしれませんね。
資産規模によっては、私がそうであるように事業要素のある大きな投資も検討対象になりえます。
50代:守りの投資も視野 - リスク資産比率:50%〜70%
育った資産の強みを感じつつ出口戦略を意識した運用へ
50代は定年が見えてくる年代です。15年後には年金支給開始年齢になるため、より慎重な資産運用が求められます。
ideCoを活用した退職控除枠を最大限利用するのが良いでしょう。株式だけでなく、バランスファンドや債券など、値動きの小さいものや比較的元本の安全性の高いものの組み合わせを検討するのも良いですね。キャッシュフローを意識した高配当ものを入れても良いかもしれません。
一般論としては50代からは運用期間が短くなることを考慮し、保守的な運用にシフトしていくことを心がけたいところです。
ただし、この世代になると長く投資してきた人は違った景色が見えていると思います。昔かった株式は利がたっぷり乗り、増配もあり、高配当化しているはずです。そうなるとむやみな利確、アセットの乗り換えが不要となっているかもしれませんね。理想の形です。
60代以上:ポートフォリオ防御強化 - リスク資産比率:40%〜60%
キャッシュフローを重視した運用へ
リタイア後は退職金や年金収入がメインになるため、過度なリスク商品は不要です。値動きのマイルドな商品を取り入れた運用が適切でしょう。
50代のころ以上に、資産の取り崩し方の1つとして、配当収入を重視した運用も相性が良いですね。
場合によっては、60代こそ債券を組み入れるのも一案でしょう。満期まで持ち続けるのであれば、市場の価格変動とは無縁で運用することが可能ですね。
ただし、ゼロ金利での持ち切らない債券は大変な含み損になる可能性を金融機関が示してくれました。金利動向を把握しておくことは大事です。
60代以降は、市場の変動の影響を受け止めるだけの余裕のある資産運用が必要です。一般的には現金比率を高め、無理のない運用を心がけたいですね。一般的、というのは50代のところで書いたような若いころからの資産成長があればそれもまた別の話、という意味です。
まとめ
このように、投資戦略は、年代ごとのリスク許容度に応じ、段階的に変化し得ます。従前は米国株インデックス投資を軸とする投資手法を採用することで、長期的で安定的なリターンが期待されました。
今後は相場環境によってどうなるのかわからない点はあるものの、重要なのは、各年代の特性を理解し、自分の状況に合わせた適切なリスクレベルで投資を継続することです。生活防衛資金を確保することで、相場急落時の狼狽売りを防ぎ、精神的余裕をもって長期投資を継続できますね。
今回は、私、たぱぞうが考える年代別の投資の仕方について今回はお話をさせて頂きました。
投資に正解はない、あるいはそれぞれの人にあった自分なりのやり方が正解になると思いますが、ご参考になったら幸いです。
※本記事は投資に関わる基礎知識を解説することを目的としており、投資を推奨するものではありません。
※本稿は著者の見解に基づくものであり、Wealth Roadの運営会社の見解を示すものではありません。
著者:たぱぞう(資産管理会社経営/投資顧問会社アドバイザー)
2000年より投資を始める。2010年以降、米国株投資を中心に行う。2016年自らの投資観をブログにて書き始める。投資に特化したブログとしては出色のPVを誇る。2017年から2025年春まで、某投資顧問業にてアドバイザーを務める。この間、日経マネー、日経ヴェリタス、ダイヤモンドZAI、ITmediaなどのメディアに複数回取り上げられる。「誰でもできる投資術」「誰でもわかる海外投資」をモットーに執筆中。「米国株を語る会」を開き、投資について語り合う場づくりをしている。