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株式の損切りラインは何パーセント?資産を守る目安の考え方とは
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株式の損切りラインは何パーセント?資産を守る目安の考え方とは

株式の損切りラインは、何パーセントに設定すればよいでしょうか。損切りラインは資産を守るために設定しますが、決め方を誤るとリターンとリスクのバランスをとれなくなる場合もあります。

本記事では、株式投資における損切りラインの目安や、一般的な考え方をまとめました。資産を守りながら運用したい人に向けて、損切りラインを守るコツについてもご紹介します。

株式の損切りラインは10パーセントが目安

資産を守りながらの運用を前提とした場合、株式の損切りラインは10%が目安になります。それ以上の損失を抱えると、多くの資産を失うだけではなく、投資機会を失ってしまう可能性もあるためです。

ただし、資産状況や銘柄の選び方によって、株式の損切りラインを何パーセントにすればよいかは変わります。10%はあくまで目安なので、ご自身の投資手法や目的に合わせて設定することが重要です。

株式の損切りラインを何パーセントにするかの考え方4つ

株式の損切りラインを何パーセントにするかは、どのような方法で設定すればよいのでしょうか。実際には資産状況や目的によって異なりますが、以下では一般的な考え方をご紹介します。

一律で10%に設定する

簡単に損切りラインを設定したい場合は、一律で「10%の下落」に設定する方法がひとつの選択肢になります。

10%はわかりやすい基準であり、もし保有商品が損切りラインに達した場合は、投資資金の1割を失う形になります。具体的な損失額をイメージできるため、人によっては損失確定後の計画がたてやすくなるかもしれません。また、株式投資では損切りの決断が遅れると、損失額が20%や30%のように膨らむ可能性もあります。

これらのケースに比べると、損切りラインを一律10%にする方法はリスクを抑えられることがあります。

投資資金から割合を考える

状況に合わせてリスクを調整したい場合は、投資資金から「保有株式を何パーセントで損切りするか」を考えてみましょう。損切りラインが同じ10%でも、投資資金によって実際の損失額は大きく変わります。

投資資金 株価が10%下落したときの損失額
100万円 10万円
200万円 20万円
300万円 30万円
400万円 40万円
500万円 50万円

(※手数料は含めない金額)

下落時の損失は投資資金に応じて増えるため、最大の損失額を考慮しておかないと、多くの資金を失ってしまうかもしれません。あらかじめ最大の損失額と投資資金を設定しておくと、損切りラインは以下のように計算できます。

<損切りラインの計算式>
最大の損失額÷投資資金×100%=損切りライン

仮に最大の損失額を10万円、投資資金を500万円とすると、損切りラインは2%の下落(10万円÷500万円×100%)になります。同じ流れで、ご自身に合った損切りラインを計算してみてください。

利益の確定時と同じ損失幅にする

損切りラインの設定では、期待している利幅と同じ損失幅にする方法もあります。この方法では、「10万円で利益を確定するなら損失幅も10万円」のように損切りラインを設定するため、期待できるリターン以上のリスクを抱えることがありません。

ただし、相場状況によってはリターンとリスクのバランスを保てないこともあります。たとえば、下落が長く続くと損失だけが積み重なり、利益を得られない可能性があるので注意してください。

金融商品の値動きから考える

金融商品の値動きを分析し、ボラティリティー(価格変動の度合い)から損切りラインを設定する方法もひとつの選択肢です。

たとえば、ボラティリティーの小さい銘柄が下落すると、株価が回復するまでに多くの時間がかかる可能性があります。株価の回復まで待って結果的に資金が長期間拘束された場合、10%の損切りラインだけに固執していると、その資金を使って比較的リターンが高いと予想される他の銘柄への投資機会を逃すかもしれません。

一方で、ボラティリティーの大きい銘柄は、一時的に下落してもすぐに回復する可能性があります。もちろん、一時的な下落だと想定したところ、想定以上に下落することもあるので注意が必要です。

特に様々な銘柄への投資を考えている方は、ボラティリティーに合わせて損切りラインを決めることを検討してみましょう。

何パーセント以外で株式の損切りラインを考える方法

株式の損切りラインは、必ずしも価格や下落率を基準にする必要はありません。「何パーセント」という数値ではなく、相場状況から株式の損切りラインを考える方法もあります。

実際にどのような判断基準があるのか、以下で詳しく解説します。

株価の下落につながる情報がでたら売却する

株式の保有中には、下落につながる情報がでることもあります。たとえば、決算予想で下方修正(※)が発表されると、数時間や数日で株価が大きく下落するかもしれません。

(※)決算をする企業やアナリストなどの専門家が、当初の業績予想を切り下げて修正すること。

そのため、マイナス材料となる情報がでたときは、損切りを検討したいタイミングのひとつです。どのような情報が該当するのか、いくつか例を見てみましょう。

<下落につながる情報の例>
・事前に予想されていた以上の下方修正
・配当方針の変更(減配や無配)
・不祥事の発覚
・経済ショックにつながる出来事(リーマンショックなど)

2020年2月には新型コロナウイルスの影響で、株式や債券などの価格が一時的に下落しました。株価はその銘柄の状態だけではなく、経済状況や政治動向にも左右されるため、日頃から様々な情報に目を通しておくことが重要です。

上昇する根拠がなくなったら損切りする

株価が上昇する根拠がなくなった時点で、損切りをする方法もあります。例としては、事前の予想ほど業績が上がらなかったり、移動平均線が想定外の形になったりしたタイミングが挙げられます。

上昇の根拠がないまま保有を続けると、その後の株価変動は把握していない経済状況や相場、経営環境に左右されます。もし期待に反して株価が下落すると、損失を抱えるだけではなく、損切りのタイミングを見失うかもしれません。

特にボラティリティーの小さい銘柄では、いつまでも利確や損切りのラインに達さず、長期で別の投資機会を失うことも考えられます。その銘柄の保有を続ける根拠がなくなった時点ですばやく損切りをすれば、別の金融商品に切り替える選択もできるでしょう。

PERやPBRから売り時を判断する

PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)は、株価の割安度・割高度を判断できる指標です。以下の式によって計算されており、日本取引所グループは規模別・業種別のPERとPBRを毎月公表しています。

株価÷1株あたりの純利益=PER(倍)
株価÷1株あたりの純資産=PBR(倍)

一般的に、PERやPBRは低いほど株価が割安と判断されますが、実際の目安は会社の規模や業種によって変わります。そのため、上場市場全体の平均値や、同規模・同業種の銘柄と比較することが望ましいでしょう。

PERやPBRから株価が割高であると判断した場合、他の投資家は利益を確定させるために売却することが考えられます。したがって、PERやPBRが高水準になったら、損切りを検討したいタイミングといえます。

なお、PERやPBRも移動平均線と同じく、あくまで目安であることに注意してください。

株式の損切りラインを守るコツ

何パーセントのように株式の損切りラインを設定しても、確実に資産を守れるとは限りません。損切りラインを守れるかどうかは別の話であり、ルールを破って資産を失うケースもあるためです。

ここからは、株式の損切りラインを守る3つのコツをご紹介します。

購入時に損切りの株価を決めておく

保有している株式の評価額は、パーセンテージではなく金額で表記されることもあります。パーセンテージだけで損切りラインを設定すると、取引画面から判断がつかない可能性もあるので、購入時には「損切りの価格」も把握しておきましょう。

購入時の価格や損切りのパーセンテージをもとにすると、損切りの価格は以下の式で計算できます。

<損切りの価格の計算式>
購入時の株価×(100%-損切りのパーセンテージ)=損切りの価格

仮に購入時の株価を1,500円、損切りラインを10%として、損切りの価格を計算してみます。

<損切りの価格を計算>
1,500円×(100%-10%)=1,350円

このケースでは、株価が1,350円に達したタイミングで決済をすると、10%の下落で損切りをしたことになります。

目安のラインをチャートに書き込んでおく

株価の動きをチャートで確認する場合は、証券会社が提供しているチャート分析ツールなどを用い、損切りの目安となるラインを書き込んでおきましょう。視覚的にも損切りラインがわかりやすくなるため、現状の株価がどの水準にあるのか一目でわかることで判断が遅れることを防げます。

なお、チャートに目安のラインを書き込む方法は、購入のタイミングを判断する際にも役だちます。「ここまで下がったら(上がったら)購入する」というラインを書き込んでおけば、多くの候補銘柄があってもチャートの確認だけで投資判断ができます。

逆指値注文やOCO注文を設定する

損切りラインを確実に守りたい場合は、逆指値注文やOCO注文を活用しましょう。

逆指値注文とは、指定した株価以上になったら購入、指定した株価以下になったら売却を自動で行う注文方式です。株式の購入後に、損切りラインを基準に逆指値注文を設定しておくと、想定以上の損失になることを防げます。

また、指値注文(※)と逆指値注文を同時にできるOCO注文も、設定した損切りラインを守れる注文方式です。OCO注文では購入時の株価まで指定できるため、投資タイミングを逃すことも防げるでしょう。

(※)購入時の上限価格や、売却時の下限価格を指定できる注文方式のこと。

なお、逆指値注文やOCO注文の仕組みは、金融機関や証券会社によって異なることがあります。これらの注文方式に対応していない場合もあるので、各社のシステムは事前に調べておきましょう。

株式の損切りラインは見直すことが重要

損切りラインは一貫して守ることが原則ですが、状況によっては見直す必要もあります。

たとえば、利益を重ねて投資資金が増えると、通常は許容できる損失額(損失の割合は同じ)も増やせます。その損失幅に合わせて損切りラインを再設定すれば、資産形成の効率を高められるかもしれません。

どのような場合に損切りラインの見直しが必要になるのか、以下では一例をご紹介します。

<損切りラインを見直すタイミングの例>
・資産が増えて、許容できる損失額が増えたとき
・資産が減り、許容できる損失額が減ったとき
・投資の目的が変わったとき
・景気の変化などで、相場状況が大きく変わったとき

これまでの取引履歴も確認した上で、必要に応じて損切りラインを見直してみてください。

損切りラインで資産を守りながら運用しよう

株式の損切りラインを何パーセントにすればよいかは、投資手法や目的によって変わります。場合によっては数値ではなく、株価に影響する情報や移動平均線などから判断することが望ましいかもしれません。ご自身に合った考え方を選んで、資産を守るための損切りラインを設定してみましょう。

※過去の実績は将来の運用成果等を保証するものではありません。
※本記事は投資に関わる基礎知識を解説することを目的としており、投資を推奨するものではありません。

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