いま、経済のあり方が急速に変わりつつあります。お金を払って商品やサービスの提供を受けることにとどまらず、お金を払って誰かの夢を応援したり、自分自身が経験を積んだりといった、いままでの消費の姿とは異なるお金の使い方が注目されているのです。それは経済の価値観を変えるだけでなく、自分自身の価値観を変える機会となるかもしれません。そんな新しい時代のお金の使い方を3つ紹介します。
目次
新しいお金の使い方1:夢の支援者になる「クラウドファンディング」
近年注目を集めているクラウドファンディングは、「新しいお金の使い方」の代表格です。
クラウドファンディングとは、「夢やアイデアがあり、お金を借りたい人」と「夢を支援し、お金を提供したい人」をインターネット上で結び付ける仕組みです。発表された夢のプロジェクトと提供資金への対価に対して、共感、賛同する人たちが資金を提供する、というものです。商品やサービスの開発から、発展途上国の支援、書籍の出版まで、さまざまなプロジェクトがプラットフォームに掲載されています。
矢野経済研究所が2018年に実施した調査によると2017年度の国内クラウドファンディング市場は前年比127.5%増と急拡大しており、1,700億円規模と推計され、2018年以降も20%以上の拡大が予想されています。
このクラウドファンディングが台頭すれば、従来、社会における企業への融資を担っていた銀行の立ち位置は大きく変わってくるかもしれません。国家の根幹を揺るがすような、大きな変革が訪れつつあるといえるでしょう。
新しいお金の使い方2:応援しながら熱狂し、経験を積む「オンラインサロン」
オンラインサロンという言葉を聞いたことがある人も多いでしょう。
著名人をはじめとした「影響力のある人物」が、フェイスブックのグループ機能を活用して作るコミュニティが、オンラインサロンです。サロン運営者に月会費を支払うことで、サロンメンバーになれます。会費は数千〜数万円程度です。
有名なのは、堀江貴文氏やキングコング西野亮廣氏のオンラインサロンでしょう。オンラインサロン内ではさまざまな企画が持ち上がり、場合によっては自分もそれに加われます。サロン応援者を応援しつつ、自分自身もそこでしか得られない経験を積めるのがオンラインサロンの魅力です。
新しいお金の使い方3:自分の価値観を見つめ直せる「寄付(フィランソロピー)」
寄付(フィランソロピー)は、富裕層の間では一般的に行われています。
寄付をすることで、「自分が何に価値を感じるか」「世の中にどんな問題意識を抱いているか」をあらためて問い直すことになります。その過程で自分の中に志が芽生えれば、自然と同じ志を持つ人々と引き合うことになるでしょう。自分自身の価値観を磨くことが、価値ある人脈の構築へとつながっていくことも少なくありません。
この寄付については、寄付先が国や地方自治体だけでなく、指定された公益法人やNPO団体であれば、所得控除や税額控除を受けられます。これらは国が指定している団体であり、一定の信頼をおけるものと言えます。その活動を確認して、自分の価値観や問題意識とすりあわせ、寄付先として検討するのもよいでしょう。所得控除や税額控除が受けられる寄付先は内閣府のホームページで確認ができます。
近年人気のふるさと納税も、寄付という意味では似たような側面があります。ふるさと納税をしている人は、寄付先を選択する時に応援したい自治体の特性をよく学び、「その先の未来」を考えてみてはどうでしょうか。自分が何に共感できるのかを知ることができれば、節税になるなどのメリットとは別に、自分自身の研鑽にもつながるお金の使い方になるかもしれません。
消費だけではない、自分を高めるお金の使い方に注目しよう
現代社会では、インターネットを介してより自由に経済活動が行われるようになり、個人のお金の使い方も新たなステージへとシフトしつつあります。お金を払って商品・サービスを消費するだけでなく、お金を使うことで自分を高めたり、より深く社会に関わったりする……。そんなお金の使い方が、新たな時代を切り開いていくことになるでしょう。本稿を参考にご自身のお金の使い方について、あらためて考えてみてはいかがでしょうか。