ブロックチェーン先進国ランキングでアジア勢が追い上げ、日本は何位？

ブロックチェーン技術の先進性を評価した最新ランキングが発表され、日本もトップ10入りを果たしました。欧米諸国が上位を占める一方で、この勢力図が入れ替わる可能性も浮上しています。上位国の開発・導入動向とともに、ランキング結果を見てみましょう。

ブロックチェーン先進国トップ10

ランキングは米金融メディアInsider Monkey（インサイダー・モンキー）が2024年3月に発表したものです。主な評価基準は、各国のブロックチェーン技術の特許数と2021年のベンチャーキャピタル（VC）による投資件数です。分析の結果、以下の10カ国が上位に輝きました。

※Insider Monkeyを参照に筆者作成

1位 米国

首位に輝いたのは、ブロックチェーン分野における投資規模や革新力、成長力、普及率、研究・開発、人材などの多方面において圧倒的な実績を誇る米国。世界のブロックチェーン市場成長のほぼ半分に貢献しており、大手企業やスタートアップによる市場参戦も大きな原動力となっています。

2021年9月の時点で上場企業の8割以上がブロックチェーン技術を導入していたほか、米国人の5人に1人以上が暗号資産を保有しているなど、実用化が大きく進んでいる「ブロックチェーン大国」です。2025年までにブロックチェーン支出総額（※）が411億ドル（約6兆2,472億円）へ増加すると予想されています。

（※）ブロックチェーンを基盤とする商品・サービスの購入。

2位 英国

2位は「暗号資産技術と投資の国際ハブ」を目指す英国です。法律・規制整備やステーブルコインの合法化など、イノベーション促進の一環としてブロックチェーン技術の導入・普及に積極的にアプローチしています。

3位 カナダ

3位はブロックチェーン分野におけるリーダー的存在として、継続的な成長を維持しているカナダです。政府による積極的なアプローチのほか、スタートアップや企業、学術機関を含むエコシステムを構築し、他国と一線を画すイノベーション環境を築いています。特許順位では米英に大きく差をつけられているものの、最先端の技術研究に取り組む姿勢は際立っています。

日本はガバナンス要素で高評価を獲得

日本は技術力の高さと導入の多様性、投資家保護とイノベーションの促進を両立する明確な規制枠組みが高く評価され、9位に輝きました。

2024年2月には国内VCによる暗号資産投資を合法化する改正法案が閣議決定したことにより、国内におけるブロックチェーン及び分散型金融セクターの活性化が期待されています。日本取引所グループが安全かつ効率的な取引のためにブロックチェーン技術を採用している点も、国際的な注目を集めています。将来的に日本がブロックチェーンガバナンスの世界的リーダーとして、市場をけん引する可能性も考えられます。

一方、特許順位（4位）は際立っているものの、VC投資順位（11位）では他国に引き離されていることから、投資の促進も重要な課題となりそうです。

勢力図が入れ替わりの兆し？

欧米勢が圧倒的な先進性を維持する一方で、最近はこのような勢力図が逆転する可能性が浮上しています。ブロックチェーン技術の発展をリードしてきた米国においては消極的な規制が足かせとなり、過去数年間に渡り開発者が減少している一方、英国は規制の不明瞭さなどの課題が指摘されています。カナダにおいては、暗号資産に投資するファンドに新たな規制を課す法案が提出されました。

対照的に、日本を含むアジア圏においてはブロックチェーンエコシステムの構築が加速するなど、技術面以外の発展要素が注目されているのです。

ランクインはしていないものの圧倒的な特許数と技術力を誇る中国を筆頭に、圏外にはブラジル（11位）やフィリピン（14位）といった優れたブロックチェーン技術を有する新興国もランクインしていることから、今後の展開が注目されます。

2032年までに市場規模が125兆円超え？

紆余曲折を経て、ようやく世界各国でブロックチェーン技術の実用化に向けた開発が本格化し始めました。フォーチュン・ビジネス・インサイトの予想によると、世界のブロックチェーン市場は2032年までに約8,260億ドル（125兆5,520億円）規模へ成長すると期待されています。今後、開発競走の激化や市場成長が進むにつれ、勢力図の入れ替わりも大いに予想されるでしょう。Wealth Roadでは、今後もブロックチェーン市場に関する動向をレポートします。

※為替レート：1ドル＝152円
※上記は参考情報であり、特定の銘柄の売買及び投資を推奨するものではありません