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新NISAを活用する前に知っておきたい課税口座からの買い直し

新NISAでは非課税の生涯投資枠が大きく拡大します。新NISAの投資枠を有効に活用する際の選択肢となる、課税口座の保有資産をいったん売却して新NISA口座で買い直す方法について説明します。

課税口座から新NISA口座に資産を移す「買い直し」

一般的に、投資資金には給与などの定期収入を充てたり、預貯金をシフトさせたりすることが多いのではないでしょうか。しかし、新NISAでは、年間投資上限額がつみたて投資枠・成長投資枠併せて360万円あるため、その投資枠を簡単に使い切れません。

新NISAの投資枠を使い切れないという場合は、特定口座や一般口座などのいわゆる課税口座で保有している資産をいったん売却し、新NISA口座で買い直す(乗り換える)ことも選択肢となります。

長期間にわたり非課税の恩恵を享受

新NISAでは非課税の生涯投資枠が1800万円に大きく引き上げられ、非課税期間は無期限となるので、従来のNISAのように非課税の恩恵を受けるために投資を急ぐ必要はありません。しかし、将来に向けて運用益が生じる前提であれば、できるだけ長期間にわたり新NISAで運用した方が、より非課税の恩恵を享受できると考えられます。

新NISAで長期間運用しても利益が出る保証はない、という考え方はその通りです。しかし、どのように運用するにしても不確実性はついて回ります。新NISAでも運用できる金融資産(株式や投資信託など)であるならば、資産運用の選択肢として入れておくことがベターではないでしょうか。

新NISA口座での買い直しの注意点

課税口座から新NISA口座に買い直しするメリットは、同じ銘柄であっても生涯投資枠内の簿価保有分については、配当金・分配金や売却益が全て非課税になるということに尽きます。ただし、買い直しをする場合は、同じ証券会社であっても、課税口座で保有している資産を新NISA口座に直接移管することは制度上できないことには注意しましょう。

新NISA口座で買い直すデメリット

課税口座から新NISA口座への買い直しにあたっては、以下のような注意点があるので十分理解しておきましょう。

購入資金を別に用意しなければならないこともある

課税口座で売却と同時に新NISAで購入すれば、運用自体にタイムラグは生じませんが、売却金の受取りは数営業日後になるため、購入資金を一時的に負担する必要があります。

売却益が課税対象になる

課税口座保有資産を売却時に売却益が生じると課税対象となります。

手数料などが発生する可能性

新NISA口座での買い直しは新規購入扱いになるので、手数料などのコストが必要となる場合があります。

株主優待の長期保有優遇がなくなる

長期保有をすると株主優待の優遇が受けられる銘柄があります。新NISA口座で保有しても株主優待は得られますが、買い直した瞬間に保有期間がリセットされ長期保有の優遇がなくなることがあります。優待優遇を得た方が有利であれば、課税口座で持ち続けることも検討が必要です。

課税口座の含み損益の状況と新NISA買い直しの関係

金融商品の将来的な値上がりを期待して課税口座で保有していて、新NISAの投資枠が余っている場合には、含み損益の状況に関わらず、買い直しをする意義があると考えられます。

課税口座で含み損となっている場合

課税口座で保有している資産を売却すると損失が確定しますが、他の課税口座の利益と相殺できる損益通算という仕組みを利用できます。買い直しのために課税口座で生じた損失を最長3年まで繰越して、他の課税口座で出た利益と損益通算することで課税負担が抑えられます。

一時的に損失は発生しますが、金融商品が値上がりしていく前に新NISA口座に移すことで、非課税投資枠の費消を抑える効果があります。

課税口座で含み益となっている場合

課税口座で含み益が生じている場合、売却すると課税されるため、そのまま手をつけない方が良いと思うかもしれません。しかし、将来株価が上昇する前提であれば、いずれ売却時に課税されることに変わりありません。課税口座での含み益が小さいうちに売却して、その後に新NISA口座に移行することで、トータルの課税額は小さくなることが期待できます。

まとめ

新NISA口座で買い直した方が良い結果になるかどうかは将来の値動き次第ですが、値上がりしていくと予想するのであれば、非課税の新NISAで運用しておいた方が有利な結果になる可能性があります。

新NISAの投資上限額を目一杯使い切れる資金があるなら、あえて課税口座保有資産を売却して買い直しをする必要はありません。もし投資枠が残るのであれば、買い直しも選択肢に加え、新NISA口座を使うことを検討してはいかがでしょうか。

※本記事は新NISAに関わる基礎知識を解説することを目的としており、新NISAの利用を推奨するものではありません。

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