パワー半導体の市場規模は2030年までに約370億ドルまで拡大か

電気自動車などに使われるパワー半導体は、今後の市場成長が予測されています。多分野での活用が見込まれており、日本を含む各国政府も積極的な施策を打ち出しています。実際にどれくらいの成長が見込めるのか、パワー半導体市場の現状や将来性を紹介します。

パワー半導体の世界市場

国内のリサーチ会社「矢野経済研究所」が2023年5月に公表したレポート(※)によると、2030年における世界のパワー半導体市場は369.億8,000万ドル(約5兆5,100億円)まで拡大する見込みです。2020年時点では186億2,000万ドル(約2兆7,749億円)の市場規模でしたが、その後の10年間で約2倍に成長するとの試算が出されました。

(※)矢野経済研究所「パワー半導体の世界市場に関する調査を実施(2023年)

<パワー半導体の世界市場規模>

時期 SiC(シリコンカーバイド) Si(シリコン) パワー半導体(全体)
2020年 7.0億ドル 179.2億ドル 186.2億ドル
2021年 12.9億ドル 210.8億ドル 223.7億ドル
2022年 14.6億ドル 224.3億ドル 238.9億ドル
2023年 17.9億ドル 240.2億ドル 258.1億ドル
2024年 24.1億ドル 254.3億ドル 278.4億ドル
2025年 29.2億ドル 272.8億ドル 302.0億ドル
2030年 64.5億ドル 305.3億ドル 369.8億ドル

(※2022年以降は予測値)
(参考:矢野経済研究所「パワー半導体の世界市場に関する調査を実施(2023年) | ニュース・トピックス | 市場調査とマーケティングの矢野経済研究所」

セクター別では、従来のSi(シリコン)に比べて電力損失が小さいSiCの成長率が高く、2030年には市場全体の約17%を占める予測です。

パワー半導体は自動車分野やエネルギー分野での需要増が成長要因

次に、パワー半導体市場の成長要因を紹介します。

<パワー半導体市場の主な成長要因>
・自動車分野での需要増
・再生可能エネルギーの需要増
・脱炭素社会への意識の高まり
・幅広い産業でのIoT普及

上記の中でも自動車分野は、電気自動車(EV)や運転支援システム(ADAS)、コネクテッドカーなどの普及が世界的に進んでいるため、SiCの需要が大きく伸びる見込みです。また、メーカーに加えて各国の政府が次世代半導体政策を進めている点も、市場の成長を後押しすると考えられます。

関連分野も含めてパワー半導体に注目してみよう

市場規模の成長率や将来性を考えると、パワー半導体は魅力的な投資対象になるかもしれません。特に自動車分野やエネルギー分野では、世界の環境意識が高まるにつれて、SiやSiCの需要が伸びると考えられます。このような関連分野も含めて、パワー半導体市場の今後に注目してみましょう。

※為替レート:1ドル=149円

※本記事はパワー半導体に関わる基礎知識を解説することを目的としており、パワー半導体関連銘柄への投資を推奨するものではありません。

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