2023年6月に日本取引所グループ(JPX)が東京証券取引所におけるアクティブETF解禁を発表しました。同年9月に第一弾として6銘柄が上場しましたが、個人投資家を中心に高い関心を集めています。本記事ではアクティブETFの将来性について説明します。
目次
アクティブETFとは何か
上場していない一般の投資信託の取引価格は1日1回算出されます。一方、取引所に上場している投資信託であるETF(Exchange Traded Fund)は、リアルタイムで更新される市場価格で、取引時間中いつでも売買が可能です。ベンチマークとする特定の指数と連動する運用成果を目指す「インデックス連動型ETF」に対し、連動対象となる指数がなく、より高いリターンを追求するのが「アクティブ運用型ETF(アクティブETF)」です。
アクティブETFの上場制度
アクティブETFの上場制度について、東京証券取引所の現時点の規定を整理しておきます。今後のアクティブETF発展の可能性を予想する手掛かりとなるかもしれません。
対象となるETFは、証券会社等が拠出した金銭をもとに、運用会社が市場から調達した株式等を使って発行される「金銭拠出型ETF」のみです。既存ETFで一般的な、証券会社等が市場で買い付けた株式等の現物を運用会社に拠出する「現物拠出型ETF」は対象外です。
また、インバース型を含めレバレッジを効かせたETFは対象外とされています。純資産総額が年間平均10億円未満となった場合、1年以内に10億円以上にならなければ上場廃止となる可能性があります。
さらに取引所指定の値付け業者(マーケットメイカー)が常時気配値を提示することで売買を成立しやすくするマーケットメイク制度の対象となるので、市場での流動性はある程度確保されると考えられます。
アクティブETFのメリット
リアルタイムで取引できる
一般の投資信託は基準価額での取引となるため、注文時点では取引価格が分からないことがあります。しかし、アクティブETFはリアルタイムで変動する市場価格で売買できるので、より適切な価格・タイミングで取引ができます。
ファンドの透明性が高い
ETFは構成銘柄やウェイト等を日次で公表しなければならないため、一般の投資信託と比べて情報の透明性が高くなっています。従来は一般の投資信託に限られていたアクティブ運用が、透明性が高いETFという仕組みで実現できる点は大きなメリットです。
相対的にコストが安い
ETFは一般の投資信託と比べると、相対的に運用コストが安いことがあります。また、発生するコストは商品により異なりますので、コストを比較してアクティブETFを選ぶことも可能です。
アクティブETFのデメリット
運用状況が分かりにくい
アクティブETFには連動対象となる指数がないので、運用目標が適正か、パフォーマンスが良いのか悪いのか、といった運用状況が分かりづらい点はデメリットです。
市場平均を下回る可能性がある
アクティブ運用は市場平均を上回るリターンが期待されますが、市場環境や運用状況によっては市場平均を下回るパフォーマンスとなる可能性もあります。
日本で成長が期待されるアクティブETF
海外ではアクティブETFの普及が進んでいます。英調査会社ETFGIによると、世界のアクティブETF残高は2023年7月末時点で6280億ドル(約94兆2,000億円)に達しています。また過去5年間で5倍に急拡大していますが、これは世界のETF全体の増加ペース(2倍)を大きく上回っており、アクティブETFへの関心の高さが如実に表れています。
アクティブETFの今後は?
2023年10月13日時点で上場しているアクティブETFは日本株を対象とした4社7本だけですが、個人投資家の買いが急増しています。運用会社各社は、日本株以外にも外国株、債券、REIT等を対象としたアクティブETFの投入を計画していますので、今後選択肢は増えていきそうです。
ETFのラインナップが増えると、投資家ごとの運用方法に応じた投資が行いやすくなると考えられます。海外での人気ぶりを見る限り、日本でも資産運用が活発になるに従ってアクティブETFは高い注目を集めそうです。
まとめ
アクティブETFが国内でも解禁され、まだ商品数は少ないものの、今後も新商品が投入される見通しです。市場平均より高いパフォーマンスを期待して運用したい場合は、投資対象としてアクティブETFの活用を検討してみてはいかがでしょうか。
※為替レート:1ドル=150円
※本記事はアクティブETFに関わる基礎知識を解説することを目的としており、特定ファンドの売買や投資を推奨するものではありません。