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人型ロボット(ヒューマノイドロボット)の最新開発・投資動向を解説
(画像=omune/stock.adobe.com)

人型ロボット(ヒューマノイドロボット)の最新開発・投資動向を解説

大きな転機を迎えようとしているロボット工学分野。大手企業やスタートアップでは「人型ロボット(ヒューマノイドロボット)」の開発競走が激化しており、「ロボットがロボットを大量生産する」といった、かつてはSF映画の中でしか存在しなかった社会が実現しつつあります。

先端技術がロボットの進化を後押し

AI(人工知能)や高度センサー、高密度バッテリーを中心とした過去10年間の急速な技術進歩は、ロボット工学の分野に大きな革命をもたらしました。近年、ロボットは複雑な環境での移動や作業、人間との対話など、高度なタスクを実行するようプログラムされており、すでに物流から製造、建築、医療、農業、介護まで、多岐にわたる産業で活用されています。

その中でも、多くのポテンシャルを秘めた「未来のロボット」として期待されているのが、多様なタスクに対応可能なAI搭載汎用人型ロボットです。ソフトバンクの「Pepper」など、最新の汎用人型ロボットはAIを搭載しており、人間との自然な会話や感情の認識ができるといった、より人間に近い能力を備えています。

大手の開発加速!テスラが新型汎用人型ロボットの最新版公表

世界的な少子高齢化に伴う労働力不足が懸念される近年、従来人間が行っていたさまざま作業を代行する商業用人型ロボットが社会の関心を集めています。ソフトバンクやグーグル、ボストン・ダイナミクス(※1)、ハンソン・ロボティクス(※2)などの大手企業は需要を見越し、続々と市場に参入しています。

(※1)米マサチューセッツ工科大学からスピンオフしたロボット開発企業。
(※2)香港のロボット開発企業。

最近では2023年9月、電気自動車(EV)メーカーであるテスラが、独自に開発中の汎用二足歩行自律型人型ロボット「Optimus」の最新版を公開しました。

完成にはまだほど遠いものの、自律的にモノを分類したり、片足でバランスを取ったりすることができるなどの進歩が見られました。最終的な目標は、スーパーマーケットでの買い物や工場の生産ライン作業など、「安全ではない作業や反復的な作業、退屈な作業を行うロボット」を製造することです。

米AIロボット企業が大型資金調達

スタートアップへの投資も加速しています。特に有望視されているのは、テスラやボストン・ダイナミクスなどの元従業員が参画している米AIロボットスタートアップフィギュア(Figure)です。

同社が開発したロボット「Figure01」は、人型ロボットの器用さと最先端のAI技術を組み合わせ、製造・物流・倉庫・小売業などの幅広い産業のさまざまな作業への対応が可能です。
同社はこの画期的なイノベーションにより、2022年に総額57億ドル(約8,550億円)、2023年5月に7,000万ドル(約105億円)の資金を調達しました。

人型ロボットが年間1万台以上の人型ロボットを生産

開発競走が激化する一方で、商用人型ロボットの量産開始が秒読みに入っています。2023年後半には、米ロボット開発企業アジリティ・ロボティクス(Agility Robotics)による世界初の人型ロボット量産工場開設が、米オレゴン州で開設予定です。「RoboFab」と名付けられたこの工場では、500人の労働者と同社が開発した人型ロボット「Digit」が連携し、年間1万台以上のロボットを生産することになっています。

今後の人型ロボット市場はどれだけ成長する?

深刻化する労働力不足の解消策の一環として、商業ロボットの需要は今後ますます高まることが予想されます。仏市場調査会社レポートリンカー(ReportLinker)によると、世界の人型ロボット市場2023~2030年までの期間に年平均52.8%で成長し、市場規模は396億ドル(約5兆9.400億円)に達する見込みです。

しかし、安全性や信頼性の確保、雇用とのバランス、法的整備、低コスト化など、技術面だけではなく「人間とロボットの共存」という課題も残ります。普及の拡大と共に、このような課題への対応も求められるでしょう。

人型ロボット、投資対象としての価値は?

最後に、将来的に人型ロボットが投資対象としての価値を確立する可能性はあるのでしょうか。高度な人型ロボットの普及が実現すれば、人型ロボットも工場やオフォス、店舗などの設備と同様に、投資対象としての価値も高まる可能性は十分に考えられます。Wealth Roadでは、さまざまな投資の観点から、今後もロボット市場の動向をレポートします。

※為替レート:1ドル=150円
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